update_information

_2018.01.27  集合イラストをGALLERYに移動しました
_2017.02.21  GALLERYを更新しました(シオン)
_2016.11.11  GALLERYを更新しました(綾)

DL販売第2弾として、総集編 [GHØSTS] が登録されました。
これを機に製本版(完売)の時はモノクロだった挿絵をフルカラー版に差し替えております。
※価格は据え置いております

興味のある方はよろしくお願い致します。

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↓↓↓作品ページはこちらから↓↓↓

[GHØSTS] _011

本日は天候が悪い中、スペースまで来ていただきありがとうございました。
久し振りの腹パンオンリーイベントでしたが、リョナケットとは違うゆったりとした雰囲気の中で楽しむことができました。
よろしければまた次回のイベントでもよろしくお願いいたします。

本日配布した新刊のイラスト16枚、および既刊のイラストについては下記の手順でDLをお願いいたします。


_(DOPE)
こちらからDLして下さい。


_ [CASE:YUKA_2]
こちらからDLして下さい。


_ Lest we Forget : short stories
この記事の「続きを読む」からご覧ください。


sample


sample1


sample2


sample4



パスワードは下記、例の通り【あとがきの段落の頭3文字をローマ字に直したもの】を入力して下さい。
※大文字で入力して下さい

【例】
08
続きを読む

以前からご要望をいただいていたDL販売を開始させていただきます。
取り急ぎ前回の「りょなけっと」で配布した新刊を登録しました。
既刊も随時登録していく予定ですので、興味のある方はよろしくお願い致します。

名称未設定-1



↓↓↓作品ページはこちらから↓↓↓


[DOPE] _017

5月3日(木/祝)に開催される都産祭2018IN台東館内の腹パンチオンリーイベント「HARA☆Pa!10」に参加させていただきます。
思えばHARA☆Pa!10は自分が初めて参加させていただいた同人イベントであり、自分と同じ様な性癖や悩みを抱えている人が他にもいるんだと実感できた思い出深いイベントですので、また参加させていただけることになりとても嬉しく思います。
開催概要は下記の通りとなりますので、もし興味があればよろしくお願いいたします。

_スペースNo.
 「腹2」

_新刊
 COLLECTION_018
 [ Lest we Forget : short stories ]

_内容 / 収録作品
 B5サイズ、44ページ(文章上下2段組)

 今まで書いた短編の中で、個人的に気に入っている下記作品を加筆修正した短編集となります。
 COLLECTION_007: [PARTY_PILLS]
 COLLECTION_008: CARBON COPY SYNDROME/DAHLIA
 PERSONA ※寄稿作品

_イラスト
 フルカラー16枚(差分込み)
 ・ [PARTY_PILLS]
  10枚
 ・CARBON COPY SYNDROME/DAHLIA
  4枚
 ・ゲスト原稿(スガレオン様 新規描き下ろし作品)
  2枚

 ※事情により、本にイラストは収録しておりません。
  購入していただいた方限定で、こちらのHPにてダウンロードしていただく形式となります。

_価格
 1,000円前後を予定


sample


sample1


sample2


sample4

本日はりょなけっとの弊サークルスペースまでお越し下さり、ありがとうございました。
十分に刷ったつもりだったのですが、最後には数部を残すのみでほぼ完売のような状況で、本当に嬉しく思います。
何人かの方には本を手渡す時にお伝えしたのですが、今回本に収録した挿絵のカラーイラストをお求めいただいた方のみの特典として添付致しますので、よろしければお楽しみ下さい。
では、本日はありがとうございました!


お手数ですがパスワードとして
「1ページ目2段目の1〜3行目の最初の文字をローマ字にしたもの」を入力して下さい。

06
続きを読む

本日無事に印刷所から受注完了の連絡が来ましたので、トラブルがなければ無事に本が出せそうです。
当日お越しいただける方はよろしくお願いいたします。


_日時
 2018年2月25日(日)

_スペース
 りょなけっと_O3
 
_新刊タイトル
 COLLECTION_017: [DOPE]

_仕様
 B5サイズ
 モノクロ22ページ(表紙4ページ含)

_内容
 先日投稿したサンプルをご覧ください

_文章
 上下2段組み

_イラスト
 5シーン(モノクロ)
 イラストレーター:スガレオン
 ※今回は印刷の関係でモノクロですが、カラー版はなんらかの形でお届けできればと思います
 
_配布価格
 800円(予定)

sampleのコピー

短いですが、りょなけっと新刊サンプルのラストです。
この後延々腹責めパートが続きますので、興味がありましたらよろしくお願い致します。
金額や詳細などは印刷所さんから入稿OKが出ましたら紹介させていただきます。





「被害者がいないわけないでしょ! 養分を吸収したり、そんな怪しい薬を使ったりなんかしたら影響があるに決まってるじゃない!」と、綾が叫ぶ。アリスは鼻で笑いながら、バカにしたように首を振る。
「だからそれも了承済みだって言ってんの。もちろん私が養分を吸収したらこいつらの活力や生命力は無くなっていく。薬だって必要以上の男性機能を無理やり引き出しているんだから、反動も副作用もある。でもそれも含めて私は説明したし、全部こいつらは理解しているってわけ」
「その通りさ」と、りっぴーが笑顔を貼り付けた顔で言った。「さっきも言ったけど、僕達は全てを了承している。月に一度のこのオフ会の後は一週間はベッドから起き上がれないし、それが過ぎた後もやる気や活力は戻らない。肌は荒れて髪は抜けて、一日の大半は寝て、起きていても頭がぼーっとして何も考えられなくなる。ようやく体調が戻ってきた頃にはまたこのオフ会だ。そんな状態だから僕は大学を退学になったし、一匹蛙さんは教師の、紅の探求者さんは大手企業で研究の職を失った。でも、それの何が問題だっていうんだい? こんなに素晴らしい体験が月に一度約束されていることに比べれば、仕事や家族を失ったり家を追い出されたりすることなんて些細な問題じゃないか。そうですよね?」
 りっぴーが振り返りながら聞くと、他の男二人が頷いた。狂っている、と綾は思った。一時の欲望や快楽を満足させるために一生を台無しにするなんて考えられない。この男達に他の選択肢は無かったのだろうか。
「ま、そう言うわけだから。これ以上痛い目を見ないうちに帰った方が身のためだと思うけど?」
「アリス! それは無いだろう」一匹蛙がアリスの話を遮った。「帰すわけないじゃないか。女子高生はストライクゾーンだ。それにこんな上玉なかなかおらんぞ。心配せんでも、アリスは真っ先に犯してやる。だがこの娘ともやらせてほしい。薬を二本三本と打てば、一日と言わず、二日でも三日でも動けるだろう? その後に死んだって儂は満足だ」
 他の二人から賛同の声が上がる。
「……別にいいけど、これ以上は無理だから。上限は二本。三本以上の量を吸収したら効果が切れなくなって、何が起こるかわからないわよ」と、アリスは呆れた顔をしながら三本の注射器を取り出して手渡した。
 綾が反射的に飛び出す。背後の入り口から逃げる手もあったが、人妖を前にして逃亡することは自分自身が許さなかった。せめて注射器を破壊してから組織に通報して応援を呼びたい。飛び出した綾に対して、りっぴーと紅の探求者が覆いかぶさるように襲いかかる。多勢に無勢とは言うが、綾はなんとか二人の腕をかいくぐり、りっぴーと紅の探求者の注射器を奪って壁に叩きつけて破壊した。まだ筋弛緩剤の効果が残っているが、即効性なだけあって抜けも早いらしく、先ほどに比べて身体はかなり動くようになった。男達へのダメージも通るようになり、りっぴーと紅の探求者の顎先を狙って殴り倒す。
「ぶっふ!?」と、綾に鳩尾を突かれた一匹蛙が呻いて、膝を折って崩れた。その隙に最後の注射器を奪って床に叩きつけた。
 綾はふらふらと襲いかかってきた紅の探求者を後ろ蹴りで蹴り飛ばし、立ち上がろうとしたりっぴーの顎にフックを放った。アリスをどうしようか迷ったが、感情のない表情で睨んでいるだけで襲ってくる様子は無い。綾はうずくまる男達に背中を向けて入り口まで走り、気合いと共にドアノブを殴ってひしゃげさせた。これでドアは壊さなければ開かない。自分も一緒に閉じ込められることになるが、今の状態であれば救援が来るまでもつだろう。綾がリビングに戻る。男達は殴られた苦痛からか、呻きながらのたうっている。りっぴーと紅の探求者は殴られた箇所を押さえながら部屋の中心あたりで仰向きに、一匹蛙は自分の腹を抱えて土下座をする様に壁際に倒れていた。アリスは相変わらずベッドルームの中に立ったまま綾を睨みつけている。
「こちら綾、人妖と戦闘中──」と、綾がイヤホンを耳にはめて話す。相手からの返事を待たずに用件を言う。「ちょっと複雑な状況で、人妖が一体と、一般人の協力者が三人。応援を要請し……」
 綾が目を見開き、言葉が詰まった。
 壁際にうずくまっていた一匹蛙の身体が、更に膨らんだのだ。
「……え?」
 綾が呟くと同時に、一匹蛙が体を起こす。
 手と口の周りが血で汚れている。
 ぶふっ、と一匹蛙が咳をすると、鮮血が壁に散った。ぱらぱらと音がして、ガラス片が床に落ちる。
 綾の顔が青くなった。一匹蛙が何をしたのか気がついたのだ。床と壁に血の跡がある。
 飲んだのだ。
 おそらく舐め啜る様にして。
 あの薬液を。
 破壊された注射器ごと。
 三人分も──。
 ズンッ! と、自動車と衝突した様な衝撃が綾の体に走った。
「──えっ?」
 何が起きたかわからなかった。
 目の前が暗い。視界を一匹蛙の膨れ上がった巨体が塞いでいた。一瞬のうちに距離を詰められ、綾の鼻が一匹蛙の胸に付くくらいまで接近を許していた。綾は目だけを動かして、衝撃のあった自分の腹部を見下ろした。
 一匹蛙の太い腕が、自分の剥き出しの腹に手首まで埋まっていた。
「──え? あ……ぐぷッ……ゔッ……ぶぐッ?! ぐぇあぁぁぁぁああッ!!」
 自分の体に何が起きたのかを理解した瞬間、凄まじい苦痛が綾の脳の中で弾けた。内臓を吐き出してしまいそうな苦痛に綾は濁った悲鳴をあげながらえずく。
「ぶふふふふ……か、帰さんと言っただろう?」
 崩れ落ちる綾の身体を、一匹蛙がセーラー服の奥襟を掴んで支える。がくんと綾の頭が振れた衝撃で、イヤホンが耳から外れて落ちた。イヤホンの中からオペレーターが何かを言った気がしたが、今の綾にはそれを理解するほどの余裕が無い。一匹蛙が目ざとくそれを見つけて踏み潰した。
「ゔぁッ……がはっ……」
 ガクガクと痙攣する綾の身体を満足そうに見下ろしながら、一匹蛙が綾の腹を露出させるようにセーラー服の裾を掴んでまくり上げた。綾は強引に身体を起こされ、頭ががくんと後ろに倒れる。綾はくの字から一気に仰け反る様な姿勢にされ、腹部から胸までが大きく露出して滑らかな肌色が一匹蛙に曝された。
「ほほぅ……やはり美味そうな身体をしているな。年増女が君みたいな身体をしていても下品なだけだが、若い娘のそれはギャップがあって堪らん。そんないやらしい身体で大人を誑かしおって実にけしからん。先生がたっぷりと個人指導をしてやらんといかんな……」
 顔や身体の大部分に血管が浮き出た一匹蛙が歯を見せて笑う様はまさに怪物だった。
 ぼぢゅん! と湿った音が部屋に響いた。

サンプルは以上となります。
こちらで全体の半分ちょいでしょうか。
この後も結構腹責めが続くので、興味のある方はイベントでお買い求めください。
※推敲前なので製本版とは内容が異なる場合があります。

詳細は入稿後にあらためて発表させていただきます。




 男達は路地の奥にあるラブホテルに入って行った。
 入口のそばの小さな看板には周囲の同種のホテルに比べ三割ほど高い料金の他に「予約可」「撮影OK」「パーティールームあり」と書いてあった。綾はどうしたものかと思い、オペレーターを呼び出した。
「こちら綾。男達は『プレジデント』というホテルに入って行ったわ」
「はい、確認しました。その辺りでは高級なホテルみたいですね」
「どうしよう……この手のホテルって、一般のホテルに比べてセキュリティが厳しいって聞いたことがあるんだけど」
「そうですね、事件や事故が起きないように監視カメラは一般のホテルに比べて多いです。特に入室と退室はモニターでしっかり監視されています」
「何か方法はありそう?」
「……ホテルのパソコンに侵入して確認したら、男達はパーティールームに入ったみたいですね。フロントには追加で呼び出されたと伝えて下さい。そこはアダルトビデオの撮影でもよく使用されているので、綾さんが出演する女性のフリをすれば入れると思います」
「全く自信無いけど頑張る……」
「そうして下さい。合鍵がもらえればいいのですが、ダメな場合は一度出て下さい。他に方法を考えます」
「了解、フロントと話した後にまた連絡するから」

 フロントには仕切りがあり直接顔が見えないことが幸いしたのか(監視カメラでは見られているのかもしれないが)、それともこの様なケースが多いのか、フロントの男は綾が撮影の都合で急遽追加で呼び出されたと言うと、ほとんど疑わずにホテル内に綾を入れてくれた。最初はノックして中から鍵を開けてもらうようにと言われたが、もう撮影が始まっているからと咄嗟に嘘をつくと、あっさりと合鍵を渡された。
 綾はオペレーターに侵入成功の報告をし、通信を切った。
 これからおそらく戦闘になる。
 相手は三人だが、見た目や発言からして賎妖……人妖よりも劣る部類だろう。人妖であればわざわざ群れる必要もなく、餌が取れないなどど発言することも無いからだ。力や戦闘能力も文字通り怪物並みの人妖と比べ低く、一般戦闘員でも倒すことは十分に可能だ。ましてや上級戦闘員になれた自分なら三体でも倒すことは出来るだろうと、綾は自分を鼓舞した。
 エレベーターを上がり、一番奥の部屋に向かう。
 徐々に心拍数が上がる。
 防音が行き届いているのか、各部屋に人の気配はするのものの、声や音は全く聞こえなかった。
 おそらく廊下にも設置されているであろう監視カメラを気にしながら、綾は不自然にならない様に静かに部屋の鍵を開ける。
 男の調子外れな歌声と、やたらと明るい音楽が廊下に流れ出た。靴を脱ぐための入口と部屋は引き戸で仕切られている。ドアを開けたらいきなり部屋で男達と鉢合わせすることも考えていたので、綾は溜めていた息を吐き出した。脱ぎ散らかされた汚いコンバースやノーブランドのワークブーツの中に、小さいサイズのエナメルの靴があった。靴を踏まないようにして、綾は素早く部屋の中に入ると、引き戸の側で身を隠しながら部屋の様子をうかがった。
 部屋は思ったよりもかなり広い。
 手前の部屋はリビングになっており、その奥はベッドルームになっている。リビングの中央にガラス製の大きなテーブル。それを扇状に囲む真っ赤なソファ。そこに三人の男達が座っている。ソファーの正面に設えたモニターにはアニメの映像が流れ、りっぴーと呼ばれる男がカラオケに興じていた。癇癪を起こして叫んでいる子供の様な酷い歌声だが、綾の立てる音が消えるので好都合だ。他の二人は携帯電話をいじりながらビールを飲んでいた。三人で飲み直したのか、空き缶が乾き物と一緒にテーブルの上に雑然と並んでいる。アリスはどこに行ったのだろう。
 歌が終わり、ぱらぱらと取って付けた様な拍手が起こった。
「いやぁ、いつ聞いてもすごい声量だな」と、一匹蛙が半ば呆れる様に言ったが、りっぴーは満足げだ。
「ははは、やはり身体がスッキリすると、声の出も良くなりますよ」
「そりゃあスッキリしただろう。入るや否やアリスに玄関で即尺なんてさせれば」と、一匹蛙が汚い歯を見せて笑った。
「ものすごい征服感だったでしょう? 三人の真ん中に跪かせて、洗っていないチンポで取り囲む……。思い出しただけでまた勃起してきましたよ」
 綾は急激に気分が悪くなった。自分が今いる場所で既に行為に及んだらしい。
「それにしても……」と一匹蛙がゲップをしながら言った。「あの女子高生は惜しかったなぁ……生意気そうだが美人だったし。もう少しで胸が揉めるところだったのに、意外と力が強くて抵抗されてしまったが……」
「本当に一匹蛙さんがダッシュした時はマジかよって思いましたよ。酔っ払うと見境が無くなるの、少しは自覚してくださいよ。あれ絶対あの娘にワザとだってバレてますからね」
 三人が笑い合う。一匹蛙は美味そうにビールを飲みながら続けた。
「ちんちくりんな割に胸は結構デカかったし──もう一度会ったら絶対にどこかに連れ込んで、チンポ突っ込んでヒィヒィ言わせて、あの強気そうな顔にたっぷりと精子ぶっかけてやる……」
「わ、私もしたいですよ……。じじ、実はさっきアリスとしてる時に、あ、あの女子高生のことを思い出しながら、だだ、出したんですよ。む、むしゃぶりつきたくなる様な、ふふ、太ももしやがって……くそッ……」
 綾は自分のことまで話題になるとは思わず、本当ならすぐにでも飛び出して男達のにやけた横っ面をぶん殴りたかった。男達は聞くに耐えない下衆な内容の会話を続けているが、アリスの姿を確認するまでは我慢しようと思い耐えた。
 ふと、男達が色めき立つ。
 部屋の奥のバスルームからアリスが姿を表した。男達の視線がそれに集まる。綾もそれにつられて部屋の奥を見て、目を疑った。
 アリスはほとんど紐と言える様な水着を着ていた。
 凹凸の乏しい薄い身体に、かろうじて胸の先端と局部を隠す黒い布。同じ素材でできた二の腕までを覆う長手袋と編み込みの入ったニーソックスが卑猥さに拍車をかけている。男達は興奮した様子でソファを立ち、アリスの元に向かった。
「いやぁ眼に毒だねこれは!」と、一匹蛙がわざとらしく目頭を抑えながら言った。「まったく、そんなけしからん格好をして大人を誘うとは! アリスには徹底的な教育的指導が必要みたいだな!」
「一匹蛙先生の言う通りだよ。アリスみたいないやらしい子供には、正しい大人が矯正してあげないとね」
「わわ、悪い子だなあり、アリスは! みみみみ、見てごらん? ぼぼ、僕のおちんちんが、こ、こんなになっちゃったじゃないか!」
 男達の声は興奮のために震えている。紅の探求者は早くも下半身を露出していた。
 アリスは虚ろな目で男達を見上げている。
 一匹蛙が膝立ちになって醜く唇を突き出し、アリスにキスをしようとしたところで、綾が猛然としたスピードで飛び出した。
 突然床を蹴る大きな音が聞こえ、男達とアリスが入り口の方を見る。次の瞬間、一匹蛙がリビングの奥のベッドルームにまで吹っ飛んだ。綾はアリスを巻き込まないように一匹蛙の左頬を殴り飛ばしていた。一匹蛙の巨体がベッドに落ちる。綾は床と摩擦音を響かせながら止まり、男達と対峙するようにベッドルームに背中を向けて片膝と片手を床に着くようにして構えた。
「な……なんだ?」
 突然のことにりっぴーが綾とアリスを交互に見る。ふッ、と綾が鋭く息を吐きながら床を蹴り、呆気にとられている紅の探求者との距離を一気に縮めて腹に拳を埋めた。紅の探求者はまったく動けず、「おぶッ?!」と濁った悲鳴をあげながらその場にうずくまる。
「……え? ち、ちょっと待って! ちょっと待ってよ!」と、りっぴーが手の平を見せながら叫んだ。突然侵入してきたセーラー服の女子高生に仲間が殴り倒されるという事態に思考が追いついていないのだろう、その顔は今にも泣き崩れそうだった。「一体なんなんだよ! ぼ、僕達が君に何をしたんだ?! け、警察を呼ぶぞ!」
「呼べるもんなら呼んでみなさいよ! さっきの会話全部聞いてたから。わざと人に抱きついてきた挙句、こんな小さな女の子を集団で襲っておいて、よくそんなことが言えるわね!」
 綾がありすを背後に隠すように庇いながら叫んだ。りっぴーは一瞬身体から力が抜けたような表情になり、すぐに激しくかぶりを振った。
「き、君はさっきの……? ち、違う! 誤解だ! その子は──」
「何が誤解なのよ! 詳しくは連行してから組織で聞かせてもらうから」
 綾が胸の前で自分の指の関節を鳴らしながら距離を詰める。りっぴーは壁際まで追い詰められ、どすんと尻餅をついた。綾は反撃を警戒しながら、男の顎先に正確に狙いをつける。賤妖とはいえなるべく最小のダメージで捕獲したい。綾は息を吸いながら腰を捻って拳を引き絞った。
 どん、と背中に軽い衝撃があった。同時に、チクリと腰のあたりに痛みが走る。
「んッ?! な、何?」
 綾が振り返る。
 アリスの整った顔が見えた。
 体当たりをしたらしい。
 そっとアリスの身体が離れる。
 手に光るもの……注射器だ。
「……てめぇ、余計なことしてんじゃねぇぞ」
 小さいがドスの効いた声が、アリスの薄く開かれた唇から溢れた。
 次の瞬間、ありすの左手が残像が残るほどのスピードでうねった。
「ぐぅッ?!」
 衝撃が綾の脇腹を貫いた。綾の歯の隙間から鋭い悲鳴が漏れる。それはアリスの小さい身体と細い腕からは想像できないほど重い衝撃だった。綾は思わず膝を着いてうずくまる。
「補給の邪魔しないでよ……こっちは命かかってんだからさ」
 アリスが空になった注射器を背後に放り投げながら言った。膝立ちになったため、アリスの顔と綾の顔が同じ高さになる。正面から見たアリスの顔は表情がほとんど無く、唇もほとんど動かない。まるで人形が体の中に埋め込んだスピーカーから話しているみたいだ。
「ほらぁ……だから誤解だって言ったじゃないか」
 りっぴーが立ち上がり、うずくまっている綾を見下ろしながら言った。綾は体に力が入らず、視界がわずかに歪むのを感じる。脇腹を殴られた衝撃と、打ち込まれた薬液のせいだろう。吐き気やめまいは無いが、身体が酷くだるい。即効性の筋弛緩剤的なものだろうか。
 りっぴーが綾のセーラー服の裾を掴み、強引に綾を立ち上がらせた。
「んー? ブラしてないの? なんだ、もしかして期待してたのかな? 心配しなくてもたっぷり可愛がってあげるから安心していい……よっ!」
 ぐずり、と綾の腹部に衝撃が走った。
「ゔぶぅッ?!」
 りっぴーのごつい拳が、綾の脱力した腹部にめり込んだ。ごつい拳が剥き出しの腹に埋まり、綾の滑らかな皮膚を巻き込んで痛々しく陥没する。
「ほらほら、なに倒れようとしてるの? あんな大立ち回りしたんだから、反撃されても文句言えないよね?」
 どずん……どずん……とりっぴーは全く手加減せずに容赦無く綾の腹部に拳を打ち込んだ。りっぴーは体格が大きいため筋力もあり、小柄な綾は腹部を突き上げられるたび身体が浮き上がる。
「あ……んぶッ?! ごぶッ?! ゔッ! ゔぐッ! ぐあッ!?」
 無抵抗な綾を散々嬲り、りっぴーが満足そうに溜息を吐いてセーラー服から手を離す。綾はたまらず糸の切られた操り人形の様に床に崩れ落ちた。通常であればこんな雑な攻撃などまったく問題ではないのだが、体が思う様に動かないため全てまともに食らってしまう。
 綾は膝立ちになり、呼吸がままならずに腹部を押さえたまま、苦しさと悔しさが混じった表情でりっぴーとありすを見上げる。
「そうだ。アリスちゃん、ちょっと予定と違うけれど、今日はもうアレちょうだい」と、りっぴーが綾を見下しながら言った。
 アリスはふんと鼻を鳴らすと注射器を取り出し、りっぴーに投げてよこす。りっぴーは慣れた手つきでそれを腕に刺した。血液が注射器内に逆流し、薬液と混ざり合ってどす黒く変色する。りっぴーは「ほーっ」と間抜けな声を出しながら、薬液と混じった血液を自分の体内に注入した。
「あ……ああぁ……あはぁ……」りっぴーが虚空を見上げながら口を開け、不明瞭なことをもごもごと言い出した。「お……おおぉ……きたきたきた……」
 綾は背筋が寒くなるのを感じ、思わず身体を後ろに引きながら「な……何を打ったの……?」と独り言の様に言った。
「あぁ……男性ホルモンを超強化するやつ……みたい」と言いながら、りっぴーは片手で口を押さえ、呻いた。両方の鼻の穴から血が吹き出している。額の血管も浮き立ち、吐き気に耐えている様に見えた。
 ふん、と、りっぴーが吠える様に唸った。身体が一回りほど膨らんだ様に見える。いや、事実膨らんだのだろう。汚いフリースの袖や胸、ジーンズの太腿部分がパンパンに張っている。りっぴーは毟り取る様に身につけている衣服を全て脱いで、下着のみになった。異様に筋肉が膨れ上がった身体の中心に、勃起した男性器が下着の布を押し上げて天井に向かって脈を打っている。
 あまりの光景に、綾は自分の背中にムカデが這い上がっている様な悪寒を感じ、「ひっ」と小さい悲鳴を上げる。だが、それも一瞬だった。綾は頭を振り、気持ちを奮い立たせる様に地面を蹴った。身体の動きが鈍くても、これ以上状況を悪化させるわけにはいかない。
 右手に出来る限り渾身の力を込めてりっぴーの鳩尾を撃ち抜く。だが、りっぴーはほとんど効いていないらしい。
「ダメダメ、女子高生がこんな乱暴なことしちゃあ……」りっぴーが自分に打ち込まれている綾の右手を掴む。「不良JKには、大人がお仕置きをしなきゃね」
 どぎゅる……というすさまじい音と共に、りっぴーの鈍器の様な拳が綾の鳩尾に突き込まれた。
「ゔぶッ! ん……んぐおぉぉぉぉぉおお!!?」
 悪夢の様な衝撃に、綾は限界まで目を見開き、口から唾液を吹きながら地獄の様な悲鳴を上げた。あまりの威力に綾の身体は背中が天井に付くくらいまで跳ね上げられ、全く受け身が取れない状態で床にうつ伏せに落下した。りっぴーがしゃがみ込み、綾の髪の毛を掴んで無理やり顔を上げさせる。
「わかったかい? 殴られる方はこんなに痛いんだよ? ま、僕はあまり痛くなかったけれど」
「ゔぁッ……がふっ……くっは……」
 鳩尾を強かに射抜かれたため、綾はまともに呼吸ができず、涙と涎を垂れ流しながらりっぴーの顔を焦点の合わない瞳で見つめた。その顔を見たりっぴーは興奮度を益々高めたらしい。
「ぐっ……ふぅッ!」綾は力を振り絞り、りっぴーの顔を平手打ちにした。乾いた破裂音が響き、りっぴーの身体が僅かにぐらつく。その隙に転がる様にしてりっぴーから離れ、リビングへ移動して体制を立て直す。「くはッ! はぁ……はぁ……」
 ベッドルームの暗がりの奥から男二人がのっそりと歩いてきた。一匹蛙と紅の探求者だ。二人ともりっぴーと同じ薬を打ったのだろう。すでに服を脱ぎ捨て、垂直に勃起させた男根を見せつけるようにしている。二人とも筋肉が一回りほど膨れ、血走った目で綾を睨みつけていた。
「おお! これは驚いた!」一匹蛙が大げさに両手を広げて言った。だらしなく垂れ下がった腹に薬液で筋肉が膨らんだ手足のその姿は本当に蛙のように見えた。「すわ警察が殴り込んできたのかと思ったら、君はさっきの女子高生じゃないか。こんなに早く再会できるとは思わなかったよ。わざわざ儂にブチ犯されに来たのか? 今なら明日の朝まで抜かずに腰を振り続けてやるぞ! ぐははははは!」
「な……なんなの……?」と、綾が腹を押さえながら言った。男達三人の背後からありすが姿を表す。「どういうこと……? あんた達、人妖じゃないの?」
「ジンヨウ……? 何だいそれは?」と、りっぴーが不思議そうに言った。
「なんだ……お前あの組織の戦闘員か」と、アリスが言った。男達と綾の視線がアリスに集まる。「本当にムカつく組織だな。こっちはこっちで好きにやってんだから放っておいてくれない?」
「じじじ、ジンヨウって言うんだ。に、人間じゃないってことは前に聞いたけれど」と、紅の探求者が言った。「ア、アリスがまだ『アイス』って名乗っていた頃……じ、冗談だと思っていたよ」
「おお、そういえば言っていたな。なんでも寿命が縮むとか、英気が失われるとかいうやつだろ?」
 一匹蛙の言葉に、りっぴーが手を叩いて「思い出した」と言った。
「『アイス』時代の頃か。そう言えばそんなこと言ってたな。セックスして養分を得るだとかなんとか……あまり気にしていなかったからすっかり忘れてた」
 綾が信じられないという様子で首を横に振る。人妖と知りながら、この男達は関係していたというのだろうか。
「僕達、あるアングラサイトでね……いわゆるロリコン掲示板で知り合ったんだよ」と、綾の引きつった表情に気が付いたりっぴーが手を広げながら語り出した。「最初は持っている写真や動画をその掲示板にアップして仲間内で見せ合うのが主な活動でね。だいたいは規制がそんなに厳しくなかった頃の写真集やビデオの一部だったり、海外のものだったりするんだけど、そういうのって既にみんな持っていたり見飽きたりしているものばかりでね。供給が極端に少ないから仕方がないんだけど、みんな新ネタに飢えていたんだよ。だからそのうち、ネタを自分でこしらえる奴が出てきた。学校の運動会を盗撮したり、更衣室にカメラを仕掛けたりしてね。生々しい新ネタに興奮したし、悔しかったよ。リアルでもパッとしないし、ロリコン掲示板でも乞食みたいな存在だなんて我慢できなかった。だから僕も色々やった。バイト代をはたいて中学生と援助交際してハメ撮りをアップした時は、神だ、なんて呼ばれて崇められたよ。あれは気持ちいいもんさ。自分が特別な存在になったみたいだ。普段の生活では後ろ暗い思いをしているロリコン野郎が、勇者だの神様だのってね……。一度やると止められないし、他の神と競うようになる。その当時競い合っていた神々が、一匹蛙さんと紅の探求者さんさ」
「そ、そんな時に管理人からメールが来たんだよ。いいい、良い話があるから直接会わないか? お、オフ会しようってね」と、紅の探求者がどもりながら言った。一匹蛙が話に割って入る。
「少し遅れて待ち合わせ場所に行ったら、いやぁ驚いたね。この御二方の他に、天使みたいな女の子がいるじゃないか。高校生や中学生までなら金か脅しでどうにかなるが、小学生となるとさすがに難しくてな。誰かどうやって調達したのかと思ったら、管理人の『アイス』だって名乗られてひっくり返ったわ! まさかロリコン掲示板の管理人がロリだったなんて夢にも思わんだろう。しかも自分を抱いてくれる男を探すために掲示板を立ち上げたって言うじゃないか。まさに願ったり叶ったりだ。その後はこの男性機能を強化するとかいう薬を打ってもらって、朝までぶっ続けでやりまくりよ。いやぁ、儂の人生はこの為にあったと言っても過言ではないな。アリスとの出会い以外のことは、人生のオマケみたいなもんだ」
「そういうこと」と、アリスが面倒臭そうに言った。「つまり、ここには被害者はいないってわけ。私はこの男達から養分を得られて、こいつらは私とセックスできて満足してる。誰も困っていないの。だから邪魔しないでくれる?」

2月25日(日)のりょなけっとに参加させていただきます。 新刊はまだ制作途中ですが、下記のような雰囲気で綾が上級戦闘員になりたての頃の話を書きたいなと思いますので、興味がありましたらよろしくお願いいたします。

サークルカット



 ガソリンと排気ガスの混ざった匂いがした。
 その匂いは歩道を歩いている神崎綾のすぐ脇に連っている、渋滞した車から吐き出されている。
 車は酷い渋滞で歩行者が悠々と追い越せるほどの速度でしか進んでおらず、乗っている人達は皆険しい顔をしていた。
 綾はそれらを横目に見ながら、厚手のダッフルコートのポケットに手を入れて歩道を歩いている。さっきから何回も肩がぶつかり、小柄な綾はその度に身体がよろけた。
 二月の夜の冷たい空気に綾の吐く息が白く溶けていく。
 イヤホンからはオペレーターの定期的な指示が飛んでくる。現場は近いらしい。
「その横断歩道を渡ったら右手に見える路地に入ってください。綾さんから見て二時の方向の、薬局とアイスクリーム屋の間の路地です」
「なんだか……ものすごく暗いんだけど……」眉をハの字に下げながら綾が言った。その路地は綾が言う通り人工的な光に包まれたメイン通りとは対照的に闇が深く、奥には青や赤の毒々しい光がうっすらと浮かんでいた。「これ、任務以前に私補導されないかな? あきらかに未成年が入っちゃいけないところだよね……?」
「まぁ……綾さんみたいな人は、普通はあまり入らないですね」と、イヤホンからオペレーターの少し困った声が響く。
「いや、わかってるよ。ここまで来て引き返すつもりなんて全く無いし。上級戦闘員になって初めての任務だから絶対成功させたいし。ただ、今日ばかりは他の服にした方が良かったかなぁって……」
 と言いながら、綾は路地と自分の服装を交互に見た。ダッフルコートの裾からは茶色いプリーツスカートが覗いている。明らかに学校の制服のそれで、綾は誰が見ても部活か塾を終えた下校中の生徒に見えた。実際、綾はダッフルコートの下に白と茶色を基調としたセーラー服を着ている。それも半袖の夏用だ。これは制服ではなく自分の所属する組織の戦闘服なのだ、と言っても誰も信じないだろうし、そもそも戦闘服とは何かと聞かれたら返答に困る。仮に本当のこと……自分は人間を糧にする怪物、人妖(ジンヨウ)と戦う組織の戦闘員であり、これから人妖退治を遂行しに行くのだ。この格好は動きやすさとモチベーションを上げるために自分の好みで選んだものであり、決して自分の学校の制服ではない。そもそも自分の母校はブレザーなのだと言ったところで状況は悪化するばかりだ。そして目の前の暗い路地の奥にはラブホテルや性風俗店のネオンが怪しく光っている。セーラー服を着た女子生徒が夜中に通る道ではない。
「援助交際している不良女子高生みたいな雰囲気出していけばいいのかなぁ。誰か適当な男の人捕まえて……」
「綾さん、そんなことできるんですか?」
「……たぶん無理。逆ナンなんてしたこと無い」
「そもそも彼氏居たことも無いですもんね。モテそうなのに」
「それは余計なこと。まぁ、思い切って行くしかないか。いざとなったら走って逃げ……あっ」
 突然、綾にスーツを着たサラリーマン風の男がぶつかってきた。不意のことで、綾は小さな悲鳴を上げてよろけた。
「おーっと、ごめんよ!」
 男はわざとらしくふらつきながら、よろける綾を追いかけて覆いかぶさるように抱きついた。近距離で吐かれた男の息は、酒と生臭い食物が混ざり合った堪え難い臭いがした。
「ちょッ?! 何すんのよ!」
 身体を駆け上がってきた不快感から、綾は反射的に男を突き飛ばした。男は酷く酔っ払っているらしく、バランスが取れずに壊れた玩具の様に足をばたつかせながら後方に下がり、尻餅をつく直前に仲間らしき男二人に支えられた。
 もともと強気な顔つきの綾が歯を食いしばって噛みつきそうな表情をするとそれなりに凄みがある。突き飛ばされた男と仲間にさっと緊張が走った。
「まぁまぁまぁ! 本当にごめんなさい。この人ちょっと酔っ払っちゃって」と、汚い眼鏡と汚いフリースを身につけた学生風の男が駆けてきた。体格はラグビー選手のように大きかったが、表情は怯え切っており、両方の手の平を綾に向けながら必死に謝罪や言い訳の言葉を早口でまくしたてている。ぶつかってきたサラリーマン風の男は濁った目で綾をじっと見続けている。サラリーマン風の男の中年太りと言う言葉では片付けられないほど病的に突き出た腹が、スラックスからだらしなくはみ出たワイシャツを押し広げている。よく見るとそのスーツは季節に合っていない春夏用の薄い生地のもので、ところどころ擦り切れていた。その男を、頭の側部と後方以外の髪の毛が無くなった中年の男が支えている。目をぎょろりと見開き、血色が悪い焦げ茶色の唇が醜く窄まっていた。思わぬ反撃に遭い驚愕しているのかもしれないし、最初からこんな顔なのかもしれない。
「本当にすみません! この通り謝りますから、酔った出来事として勘弁して頂ければ……。さ、もうすぐ待ち合わせ時間ですから行きましょう。『紅の探求者』さん、『一匹蛙』さんを起こしてあげて下さい」
 紅の探求者と呼ばれたハゲ頭が、一匹蛙と呼ばれたサラリーマン風の男を抱える様に立ち上がり、綾が向かう予定の路地に向かって歩き出した。一匹蛙は濁った目で綾を睨む様に見続けている。学生風の男はその背中をさする様にしながら、綾を振り返って何度か頭を下げた。
「何あれ……」綾は眉を寄せたまま、誰に言うでもなく呟いた。ぶつかった衝撃か、イヤホンからは小さなノイズが流れている。やがて霧が晴れる様にノイズが消え、「大丈夫ですか?」とオペレーターが心配そうに言った。
「あ、うん、ちょっとトラブル。少し絡まれただけだから。ただ、変な男達が先に路地に入って行っちゃった。この後私が行くと後をつけてるいみたいでやだなぁ……」
「変な男達?」
「三人組で、若い男が一人と、オジサンが二人。ハンドルネームみたいな名前で呼んでいたから何かのオフ会の帰りかも……」
 お世辞にも華やかとは言えないし、そもそも繋がりが全く見えない連中だった。相当酒も飲んでいる様子であったし、路地の奥に消えて行ったことからこの後の行動が容易に想像できる。酒を飲みながらどの様な会話をしていたのか、あまり内容を想像したくない。
 綾は一呼吸置くと、気持ちを入れ替えて路地に向かった。
 わかっていたとはいえ、客引きや通行人が不思議そうな顔で綾を見る。綾はなるべく通りの端を、家に帰るための近道なのだという風を装って歩いた。思いの外帰宅が遅くなったので、普段は通らないこの道を仕方なく歩いているのだという様に。幸い、声をかけられることは無く、警察の姿も見えなかった。
 ふと、自動販売機の前にたむろしている先ほどの三人の姿が見えた。三人は飲み物も買わず、輪になって談笑している。てっきりどこかの店に入ったとばかり思っていた綾は心の中で舌打ちをして、携帯電話を弄るふりをして電柱の陰に隠れた。適当に電話帳を開き、早くどこかへ行けと念じながら男達を見る。三人は笑みを貼り付けたまま、身振り手振りで大げさに話している。何をそんなに嬉しそうに話しているのか。
 綾はオペレーターに断ってから通信を切ると、男達の近くの塀に向かって集音マイクを投げた。それはビー玉程度の大きさで、スポンジの様な素材に包まれているので何かにぶつかっても音がしない。そして衝撃が加わると粘着質のゲルが出て壁や地面に貼り付く。集音マイクは無事に男達の近くの塀に貼り付き、周波数を合わせた綾のイヤホンから声が聞こえてきた。
「いやぁ……それにしても今だに信じられないですよ。一匹蛙さんや紅の探求者さんと出会うまでは、ずっと独りで苦しんでいましたから」
「そ、それはこちらも同じですよ『りっぴー』さん。ここ、この出会いはまさに奇跡です。同じ苦しみを抱えるもの同士、そ、相互補助の精神は欠かせない。た、ただ、残念ながら我々の様な存在の母数は少ない……。大っぴらに正体を明かすことは、ままま、まず出来ないですからね」
「失礼、吐いてスッキリしました。再会が嬉しくてつい飲みすぎまして……。へへ、紅の探求者さんが言った通り、同じ問題を共有するこの同志達の結束は何よりも強いものです。エリートどもは難なく欲望を満たし、餌を採れるというのに、我々はその『おこぼれ』にあずかることも出来やしない。持って生まれた者と、何も持たずに生まれた者の差のなんと悲しく残酷なことか……」
「まぁまぁ、暗い話をしても始まりません。とにかく今は相互補助できる幸運に感謝しましょう。これから仲良く『餌』を分け合うんですから……」
 何の話をしているのだろうと綾は思った。
 話し振りから何か後ろ暗い内容であることは理解できたが、どうにも回りくどい言い方で気持ちが悪い。ただ、「餌」という単語に嫌な予感が湧き上がった。人妖は人類の異性との粘膜接触によって養分を得る。そして人妖の中には人類を「餌」と呼称する個体が少なくない。
「おっと、噂をすれば餌が来ましたよ……」と、りっぴーと呼ばれた学生風の男が小声で言った。
 他の二人の男と綾がその視線の先を追う。
 暗い路地から女の子……おそらく十代前半と思しき少女が男達に向かって歩いてきた。
 少女は肩に着くくらいの長さの綺麗な黒髪で、黒づくめのロリータファッションを見に纏っている。顔つきは整っているが、怯える様な表情で俯いたまま歩いていた。唇をキュッと結び、どこか悲壮感を漂わせている。
「やあやあ『ありす』ちゃん! また会ったね」
 りっぴーが走ってくる我が子を受け止める時の父親の様に腕を広げたが、「ありす」と呼ばれた少女はそれを無視して、俯いたまま男達の輪の中に入り「あまり見られると……」と消えるような声で言った。綾の表情に不安の色が浮かぶ。
「あああ、相変わらずせっかちだなぁ。ま、わわ、私達もこんな所で、きき、君みたいな女の子連れ回していたら、い、いつ職質されるかわからないから別にいいんだけどどど……」
「最終的にはどうせ”する”んだから早めに行きますか。本当はありすちゃんとの再会を祝して二次会でも行きたいところですが、コンビニで酒を買って部屋で飲んだ方が何かと楽そうだ」
 男達が「ありす」を囲む様にして路地の奥へ移動し始めた。綾はイヤホンの周波数を切り替えると、気がつかれない様に男達を尾行しながらオペレーターに簡潔に状況を伝えた。

短いですが、久しぶりの腹責めパートです。清書(製本)時にはもっと腹責めシーンのボリュームを増やしたいですね。




 地下室の空気は淀んでいた。
 窓は無く、微かに汗や体液の臭いが混じった湿気が汚れた床すれすれの高度に滞留している。天井には大型の換気扇が埋め込まれていたが、今は稼働していないらしい。
「ん……ぅ……」
 話し声が聞こえて、美樹は目を覚ました。身体が動かないのは、おそらく拘束されているからだろう。漆喰を目の前に押し付けられた様な曖昧なグレーの視界の隅に、久留美の薄桃色の髪の色が浮かんだ。
「ゔぁッ……あ……はずと……さん……ッ……」久留美の声が聞こえ、美樹は顔を上げた。次第に明瞭になってきた視界の隅で、久留美は釣り針にかかった魚の様に顎を上げ、天井を見ながら呻いた。「も……無理……でず……ッ」
 ひび割れた白いタイルと薄汚れたコンクリートで造られた地下室には、久留美と蓮斗、そして美樹がいた。地下室はそれなりの広さがあったが、所狭しと拷問器具が置かれている。久留美は拘束は自ら壁に背中を付けて立ち、自分からシャツを捲り上げて、白魚の様に滑らかな身体のラインを晒している。そしてその久留美の華奢な腹部を、蓮斗は握った拳で嬲る様にグズグズとこね回していた。
 久留美の苦しそうな息遣いには少なからず女としての悦びの色が混じっていた。
 美樹は先刻、蓮斗に浴びせられた人工チャームにより苦痛が快楽に変わる感覚を味わった。不意のことで一時はその感覚に流されそうになったが、時間の経過とともに効果が薄れていることと、普段からの精神鍛錬の賜物で今では何とか正気を保っていられている。だが、久留美は自分とは違いごく一般的な年端もゆかない少女だ。数日間の監禁による恐怖は耐え難いものだっただろう。監禁や誘拐などの被害者は、閉鎖空間で長時間に渡り緊張状態や恐怖を味わうと、しばしば加害者に対して好意を抱いたり、加害者に気に入られたりするような行動をとることがある。少しでも犯人に気に入られて自分に危害を加えられる可能性を少なくするための生存本能に基づいた合理的行動だ。その心理に加え、薬物に似たチャームの効果で久留美が正気を失ってしまうのも無理はない。蓮斗のサディスティックな欲望を満足させるためのマゾヒストとして……。
 いつ終わるとも知れない恐怖と苦痛に耐え続けるよりは、偽りでも……たとえ正気を失ってでも快楽に押し流されてしまった方が良い。人間とはそういうものだと美樹は思った。そしてその行動は悪ではない。
 美樹は顔を上げる。
 蓮斗も久留美も、まだ美樹が目覚めたことに気がついていない。
「久留美ちゃん……まだ頑張れる?」
 気怠るそうな声で蓮斗が久留美の耳元で囁いた。久留美は立っているのもやっとな様子で膝をガクガクと震わせながら頷く。まるで二回戦目の性交に挑む恋人同士の様だ。
 蓮斗は久留美の肩を抱いて拷問器具が置かれている部屋の隅に連れて行くと、久留美の肩を押して座るように促した。久留美は不安そうな表情を浮かべたまま素直に従う。蓮斗は久留美を背後から抱きしめる様な格好で自分も床に腰を下ろすと、近くにあった器具を手にとって久留美に見せた。
「ひ、ひぃッ?!」
 その禍々しい器具を見た瞬間、久留美は思わず喉の奥で悲鳴を上げた。
 それは羽の様な取っ手の付いた、黒いエナメルを巻きつけた馬の男根にような形をしていた。
 怒り狂った様な亀頭は子供の頭ほどもあり、久留美を睨みつける様に反り返っている。
「は……蓮斗さん……ま、まさか……」恐怖のあまり久留美の歯がガチガチと鳴る。久留美は性行為の経験は無いが、一般的な男性器の大きさは把握しているつもりだった。だが、蓮斗の持つ凶暴すぎる器具は明らかに規格を超えていた。こんなもので貫かれたら命に関わるのではないか。
「大丈だよ。アソコには入れないから」蓮斗が久留美の耳を舐める様にして囁く。「でも、こっちには挿れちゃうけどね」
 蓮斗が久留美のヘソにディルドの亀頭をあてがう。久留美の肩が恐怖からびくりと跳ねた。蓮斗は取っ手を両手で握ると、力を込めて自分の身体に向けて引き付ける。ぐぽりと音がして、蓮斗の身体とディルドに挟まれた久留美の腹部に凶悪な鬼頭が埋まった。
「ぐぷッ?! がッ?! あああッ!」
 蓮斗がディルドを引く力を強めると、華奢な久留美の腹部に黒光りしている暴力が更にめり込む。胃を潰され、久留美の喉の奥から濁った悲鳴が漏れた。
「げぅッ?! げあぁッ! ばずど……ざんっ……おなが……ぐる……じ……」
「いいよ……もっと気持ちよくなって……」
 久留美が限界だと訴える様に必死に首を振るが、蓮斗は興奮をますます昂らせている様だ。蓮斗は押し込んでいたディルドを一瞬引き抜くと、リズミカルに久留美の腹部にディルドを押し込み始めた。まるで性交の時のピストン運動の様に、久留美の腹部にぐぽぐぽと黒い先端が埋まる。M字型に足を開いてめくり上がったスカートから覗く久留美のショーツが、分泌液で徐々に透けていく。
「ゔあッ!? ごッ! がぁッ! やらッ! はずどさん……はすと……さんッ!」
 久留美の久留美が背後を振り返り、蓮斗に向かって舌を突き出した。蓮斗はその唇を吸う。久留美も蓮斗もお互い目を閉じて、貪る様に舌を絡ませている。
 その隙を、美樹は見逃さなかった。
 美樹は頭を素早く横に振る。後ろで一つに縛った黒髪が揺れ、さらりと顔にかかる。その中の一本を美樹は素早く咥えた。ぐいと引っ張る。再びさらさらと髪の毛が元に戻った時、美樹は一本の細長い黒い針金を咥えていた。全身に隠した武器のうちのひとつで、緋色のリボンで留めて髪の毛の中に隠していたものだ。美樹はそれを器用に咥え直すと、手首を拘束している腕輪に付いた南京錠の鍵穴に差し込んだ。無骨な鍵ほど仕組みは単純だ──人間と同じ様に。
 美樹はものの数秒で片手を自由にすると、一分かからずに全身の拘束を解いた。
 二人はまだ唇を吸いあっている。
 美樹は素早く飛び出し、蓮斗に向かって突進して行った。

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