update_information

_2017.02.21  GALLERYを更新しました(シオン1枚)
_2016.11.11  GALLERYを更新しました(綾2枚)
_2016.11.06  いただいたイラストを公開しました
_2016.10.03  新作の短編を公開しました

いさあき(http://isaaki.web.fc2.com)さんの描かれたイラスト、「端境さん」で二次創作させていただきました。

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こちらの絵はいさあきさんが描かれるイラストの中でも特に好きなものです。
「和服とマスク」「彼岸花と向日葵」「和傘と傷跡」など、どこかアンバランスで不穏な空気感。「端境さん」自体の美しいけれど虚ろでどこを見ているのかわからない表情。どのようにでも解釈ができるとても懐の深い絵なので、書いていてとても楽しかったです……。

今回は初めて文庫本サイズで書いてみたのですが、やはりイラストが無ければこちらの方が読みやすい気がしますね。
後半にいつも通りテキストを載せますが、文庫本サイズのPDFもダウンロードできるようにしてありますので、お好きな方でお読みください。
いさあきさん、ありがとうございました!


_PDFはこちらから
※リンクが開けない場合は下記URLをそのままコピーしてブラウザでお読みください
http://roomnumber55.com/端境.pdf







_テキストは「続きを読む」からご覧ください。


続きを読む

ありがたいことに、普段仲良くしていただいている宮内ミヤビさんが二次創作をして下さっています。
現在物語が佳境であり、自分としても続きが本当に楽しみです。
是非こちらからご覧下さい。


また、自分としてもキャラ動かしの練習を兼ねて前日譚的なものを書いてみましたので、お時間があればご覧ください。
※腹パンやリョナはありません







 レイズ・バーは東京駅に直結している会員制の店で、その好立地に反して客の入りはまばらだった。人気が無いのかと思いきやどうやら完全予約制で、他の客との距離にゆとりを持たせるために一日の客数を制限しているらしい。
 サンローランの黒いタイトスーツを着た鷹宮美樹はソルティードッグのグラスを傾けながら店内を見回した。
 豪奢なテーブル席がメインで、一面ガラス張りの眼下には東京駅が見える。
 一人客は自分しかいないようだ。
 ほとんどが二人連れか四人連れで、年齢層は高め。男性も女性もかなり身なりが良い。騒いでいる客は皆無で、客たちは静かに話をしたり声を出さずに笑ったりしている。
 どうにも居心地が悪い、と美樹は思った。
 任務とはいえ、年齢を偽ってバーで酒を飲むなど今までしたことがない(もっとも酒を飲めとは言われていないのだが)。店の雰囲気を見るに、紹介さえあれば誰でも入れる名ばかりの会員制ではなく、料金でもふるいをかけているのだろう。いきがった勤め人や学生は一人もいなかった。
 空になったソルティドッグのグラスをコースターの上に置きながら、美樹は任務を頭の中で思い返した。
 ある男が人妖ではないかとの疑いをかけられている。
 人妖とは人間を栄養源とする怪物だ。恒久的に栄養源を得るため、目立った行動を嫌う性質がある。しかしその男は他の人妖とは違い、日本のウイスキーメーカーの代表を務めている。当然おいそれと会える人物ではなく、疑う材料はあるものの決定的な証拠に欠けるため、最終手段として囮として近づき人妖の特徴である「獲物を見つけた時に縦に裂ける瞳孔」を直接目視することになった。人妖でなければそれでめでたし。だが仮に人妖であった場合、当然至近距離で対峙することになるため今回の任務では美樹に白羽の矢が立った。
「失礼致します。例のものをお持ちしました」店の中央で丁寧にアドリブを弾いていたピアニストが交代すると同時に、疲れた表情のバーテンダーはうやうやしく一本のウィスキーボトルをカウンターの上に置いた。ラベルにはタロットカードの「皇帝」の絵柄が描かれている。バーテンダーは愛おしそうにそのボトルを撫でると、慣れた手つきで栓を抜き、足つきのショットグラスに慎重に注いでコースターの上に置いた。そして投げ込んだ石が作った池の波紋が落ち着くのを待つようにじっとウイスキーを見つめてから、隣のコースターに置かれたグラスに水を注いだ。「こちらがレイズモルトのタロットシリーズ、『皇帝』になります。当店にいらっしゃるお客様の中でも、ご指示がなければお出しすることはありません。特に貴女の様な若い方でこれを口にできるのはかなり幸運なことかと思います。正規のルートではない、いわゆるプレミア価格では数十万円に達することもあります。それでも、飲みたいという方が多いのです」
 バーテンはそう言うと、カウンター越しに座っている美樹を見た。綺麗に梳かれた艶のある長い黒髪が凛とした顔つきと見事に調和している。ソルティードックを二杯ほど飲んだ後のせいか、その顔はわずかに赤みを帯びていた。美樹はアメジストの様な瞳で少量注がれた琥珀色の液体をじっと見つめる。
「なるほど……」美樹はグラスをそっと持ち上げて、口の窄まった縁に鼻を近づけた。「素晴らしい香りだ。すまないが、一人でゆっくりと楽しみたい。申し訳ないが……」
「もちろんです。私もできることなら味わってみたいものです。では、ごゆっくり……」
 バーテンが静かに美樹の前から離れると、音楽が少し大きくなった様に感じられた。美樹は少し迷ったが、ウィスキーを少量口に含んだ。飲まない方がいいと言われてはいたが、そこまで絶賛されるほどのものであれば味わってみたい。舐めるような量だったが、プレミア価格で何十万というそのワインはアルコールの刺激が舌を刺す荒々しいもので、香りや甘みは影に隠れてしまっている。美樹はかすかに眉間に皺を寄せ、チェイサーを流し込んだ。
 なんだこれは。
 バーテンを追い払うために香りが良いと世辞を言ったものの、香りも味も好みでは無い。美樹はどちらかといえば下戸な方で、ウイスキー自体にそもそも明るくないが(そもそも未成年なのだが)、これなら数千円で売っているスコッチの方が好みだと思った。こんなものを有難がって数十万の金を払って手に入れる物好きがいるとは信じ難い。
 美樹は自分にしか聞こえない大きさで溜息を吐くと、軽くグラスを押しやった。バッグからショートホープを取り出す。一瞬スーツにタバコの匂いをつけるのもどうかと思ったが、そうせずにはいられなかったのだ。スーツは今日の任務のために組織から支給されたものだし(任務が終われば美樹のものになる)、バーのカウンターに座って目の前の酒に手をつけずにぼうっとしているわけにはいかない。何よりさっきのバーテンに飲まないのかと言われるのも面倒臭かった。
 ターゲットが現れる様子は無い。
 本当に居心地が悪い。
 任務でなければすぐにでも帰りたかったし、自分一人では到底上手くこなせるとは思えない。頼みの綱の助っ人の到着も遅れている。美樹は短くなったタバコを灰皿に押し付けると、続けざまに二本目を取り出した。


「すみません、遅くなりました」
 美樹が四本目のショートホープを灰にした頃、軽く息を弾ませながらようやくシオンがバーの中に入ってきた。肩を出したディオールの黒いワンピースドレスに、真っ白い肌と腰まである長い金髪が映えていた。バーの入口に立ってる店員がずっとシオンを目で追っている。シオンも普段とは違うやや濃いめのメイクをしているため、二十代前半には見えた。
「遅かったじゃないか」と、美樹が灰皿にタバコを押し付けながら言った。
「無茶を言わないでください。許可を取るのが大変だったんですから」美樹の隣に座りながら、シオンが軽く頬を膨らませた。「そもそも今回の任務は美樹さんが受けたものではないですか。複数の上級戦闘員が同一箇所の任務を遂行するのは基本的に禁じられているのはご存知ですよね?」
「ああ、確かターゲットが思わぬ強敵だった場合や、なんらかの事故があった場合に犠牲を最小限にするためだろう。任務以外でも、移動や宿泊は全て個別に行うことが原則だったな」
「そこまでわかっているのなら、今回の許可を取り付けるのがどんなに大変だったかわかりますよね?」
 シオンがぐいと顔を近づけ、美樹の鼻の頭を人差し指で軽く押しながら言った。どうやら本当に大変だったらしい。美樹がわかるさ、と言いながら鼻を押しているシオンの人差し指を握ってテーブルの上に下ろした。
「悪かった。だが、来てくれて助かった。今回の任務はどう考えても私は適任じゃない。どうせ見た目や雰囲気だけで選ばれたんだろう」
「任務の振り分けはAIも関与していますから、適性が無いということは無いはずですが……」
「だがどう考えてもお前の方が適任だ。支配系の人妖の調査にはオペレーターではなく戦闘員が行うことは珍しくない。私も何回か駆り出されたことがある。だが、今日の様に接触が伴う調査は苦手だ。お前みたいに愛想を振りまいたり、誰とでも話を合わせられる豊富な話題を持ち合わせていたりしたのなら、バーテンひとりあしらうのに気を揉む必要もなかった。そしてそもそも私は酒に強くはない。お前は国柄的におそらくザルだろう。たぶん」
「それは人種的偏見というものです」
 再びシオンが唇と尖らせながら美樹の鼻を押した。
「すまない、酒が入っているんだ。少し口が軽くなっている。私が下戸なのは知っているだう?」
「えっ? 飲んだんですか? もう、任務中だというのに……あら?」
 シオンがカウンターの奥に目をやった。バーテンダーがおしぼりを持ったまま会話が途切れるタイミングを待っている。シオンがにこりと笑って会釈をすると、バーテンダーはようやくゼンマイを巻かれた人形のように動き出した。
「……失礼致します。先ほどおっしゃっていた御連れ様ですね。メニューはこちらになりますので、お決まりになりましたら……」
「ありがとうございます。すみません騒いでしまって……まぁ、これは」シオンがおしぼりを受け取りながら、カウンターの上のボトルに目をやった。ふっ、と一瞬シオンの目が細くなる。それは美樹がなんとか気付くくらいの僅かな変化であり、それがシオンの仕事の顔であることを美樹は知っていた。「レイズモルトのタロットシリーズ! 実物を見たのは初めてです!」
「ご存知ですか。おっしゃる通り、レイズモルトのタロットシリーズの一本。世界で二百本ほどしかありません。天才醸造家、薊冷士(あざみ れいじ)氏の産み出した傑作モルトです。卓越した類稀なる技術により、一度飲んだだけではその魅力に気がつくことは難しいですが、まるで麻薬のように虜になる人も多く、数少ないボトルは世界中で奪い合いになっております」
 まるで自分の手柄のようにバーテンダーが言った。シオンの見た目と仕草を見て、心なしか得意げになっているようだ。シオンも自分の口の前で手の平を合わせながら、ウイスキーの製法について話をしている。本当にこいつを呼んで良かったと美樹は思った。おそらくバーテンダーの目にシオンは、日本語が上手くて酒に詳しく、美人で愛想の良い外国人に映っているのだろう。
 シオンが未成年で普段は全く酒を飲まず、レイズモルトの存在を知ったのも美樹が調査同行を頼んだ数日前で、ウイスキーの知識もおそらくそのタイミングで調べたものだと知ったらどんな顔をするだろうか。
「では、レイズモルトの製法はほとんど秘密なのですか?」と、シオンが驚いたような表情で言った。
「そうです。糖化や発酵、蒸留までは社員が行いますが、熟成から瓶詰め直前の段階において薊氏は醸造所から自分以外の社員全員を締め出して一人で醸造所に篭ることがあるとか。一般的な製法であれば熟成の段階で何らかの手を加えることは本来無いのですが、このステップが薊氏の作るレイズモルトがレイズモルトたる所以であると言われております。いやはや、醸造所の中で一体何が行われ、どのような魔法が使われているのか……」
「魔法だなんて、なんてロマンチックなのでしょう……」
 シオンの目が輝いている。バーテンダーの得意顔を見て、美樹はタバコが吸いたくなった。
「そろそろ召し上がってはいかがですか? せっかくの機会です。魔法を味わってみては……」
「……ええ、いただきます」シオンが宝物を抱くようにグラスに口をつけた。少量を口に含み、上品な仕草でハンカチで口元を押さえながら舌の上で転がしている。「はぁ……なんて個性的で素晴らしいのかしら。男性的で逞しく芯がある力強さがありながら、魔女の悪戯の様なスパイスも感じられる……こんなウイスキーが存在したなんて」
「一口ではその癖の強さから全てを理解するのが難しいですが、そのグラスを飲み終えることにはきっと虜になっていると思います」
「魔法にかかってしまうわけですね……薊冷士さん、一体どんな方なのかしら。出来ることならお会いして見たいものですね。きっと素敵な方なんでしょう……」
 シオンが手を組みながらうっとりと言うと、バーテンダーが思わせぶりに咳払いをした。
「……もしかしたら、お会いできるかもしれません」
「まぁ、本当ですか?」
「ええ、表には出していないのですが、このバーの名前の通りと言いますか……オーナーが薊冷士氏その人なのです。本日も奥のプライベートルームにいらっしゃいます。内密にしていただけるとお約束していただけるのなら、お時間があるか聞いてみますので……」
「もちろんです! ぜひよろしくお願いいたします」
 バーテンダーが店の奥に引っ込むと、シオンはグラスの水を飲んだ。
「どうだった? そのお高いウイスキーは?」と、美樹が聞いた。
「お酒のことはよくわかりませんが、好みではないですね……。ただ、味のバランスが崩れているような気がします。絶賛されるほどのものでは……」
「だろうな」
「美樹さんも?」
「ああ、良くはない思う。他の一般的なウイスキーの方が好みだ。バーテンも言っていただろう? 癖はあるが、なぜか虜になる……と。乱暴に言い換えると、美味くはないがなぜか飲みたくてたまらなくなる……と言うことだ」
「……とんだ魔法使いもいたものですね。予想が当たっていないことを祈っていたのですが」シオンが先ほど口元を押さえていたハンカチを取り出す。中心が薄い青色に染まっていた。「おぞましいことを考えるものですね」
「それは?」
「開発途中のチャームの検査薬です。正確さはまだ確かではありませんが、一応黒ですね……」
「……似たような話があったな。ラーメンに麻薬を入れて通い詰めさせるという」
「やめて下さい。チャーム入りのウイスキーに比べたら、麻薬入りのラーメンの方がマシかもしれません」
「違いないな。ん……白黒がはっきりしたら、早く帰りたかったんだが」
 背後を向いた美樹の視線の先をシオンが追う。上等なスーツに身を包んだ男が足音も無くこちらに歩いてきた。両手で大事そうに一本のボトルを持っている。
「失礼。私のウイスキーを気に入っていただけたようで、ありがとうございます」男が恭しく頭を下げた。「薊冷士と申します。あなた方のような若く、そして美しい方々に気に入っていただけるとは光栄です。この『逆位置ラベル』はいわゆるプライベートストックで、私が個人的に親しい関係の方にしかお譲りしていません。本日の素晴らしい出会いを記念して、一本差し上げましょう」
 薊は目つきが鋭く常に笑みを浮かべ、自他共に自分の能力を認めているという雰囲気の男だった。上品な香水の香りと共に差し出したボトルには、逆位置になったタロットカードの法王の絵柄が描かれている。
「まぁ、そんな貴重なものいただけません……」シオンが立ち上がり、軽くスカートの裾をつまんで頭を下げた。
「気にしないで下さい。特にと思った方には必ず差し上げるようにしているのです。よろしければ奥に自室がありますので、この出会いに乾杯しませんか?」
「すみません。パートナーと部屋を取っていますので、これで失礼します。あいにく二人とも下戸なものですから」
 美樹がシオンの肩を抱きながら言った。シオンが少し目を大きく開いて美樹を見る。
「これは失礼。では、このボトルはお持ちください。このボトルを飲んでまた私を思い出していただけたら、いつでもお越し下さい」
「ええ、近いうちにお会いできると思います」
 美樹の言葉に薊は笑みを浮かべると、カウンターの上にボトルを置いて踵を返した。カウンター横の扉を開けて、バーの奥のプライベートルームに戻る。豪奢な調度品の他に、クイーンサイズのベッドやバーカウンターまで備えられている。室内には上品な香りが漂い、間接照明が効果的に使われた趣味のいい部屋だ。薊は葉巻に火をつけると、携帯電話を取り出した。
「ああ、私だ。次のターゲットだが……」

お礼がかなり遅れてしまい申し訳ありませんが、先日のりょなけっとでは弊スペースまで多くの方にお越しいただき、ありがとうございました。
サークル活動を始めて2回目のイラスト無しの文章のみの本ということで、正直当日までお手にとっていただけるかかなり不安だったのですが、蓋を開けてみると本当に多くの方に手にとっていただけて本当に感謝しております。
さて、今回は先日のりょなけっとで配布させていただいた「COLLECTION_016 RESISTANCE CASE: YUKA_2」について、普段から仲良くしていただいているスガレオンさんがご厚意でイラストを描いてくださいました!
衣装などかなりスガレオンさんらしいアレンジが施されており、またシーンイラストもとても魅力的なものとなっております。
ぜひとも先日の本と一緒に楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

_閲覧方法
ブログの「続きを読む」をクリックしていただき、指示に従って「COLLECTION_016 RESISTANCE CASE: YUKA_2」の裏表紙に記載されているPINコード(表記の通り大文字)を入力してください。

※今回のイラストは「COLLECTION_016 RESISTANCE CASE: YUKA_2」を手にとっていただいた方へのお礼となっておりますので、全体公開は控えさせていただきます。申し訳ありませんが、ご了承ください。

友香立ち絵

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続きを読む

無事に入稿が完了しましたので、正式に告知いたします。
久し振りの腹パンチメイン本となりますので、興味のある方は是非お手に取ってみてください。



_配布イベント
 りょなけっと7
 2017/02/26(日) 11:30〜15:00
 東京卸商センター3F展示場
 http://www.ryonaket.com/top.html
 スペース「地8」

_新刊タイトル
 COLLECTION_016 RESISTANCE CASE: YUKA_2

_内容
 とある合同誌のために書き下ろした「COLLECTION_002 RESISTANCE CASE: YUKA」を完全リメイクしました。ストーリーや時系列などすべて新しくした完全書き下ろしとなりますので、前作をお持ちの方でもお楽しみいただける内容になっております。時系列としては「COLLECTION_001 RESISTANCE CASE: AYA」の少し前の話となります。

_装丁
 B5サイズ モノクロ20ページ(上下2段組み)
 ※都合により挿絵はありません。
 イラストを楽しみにされていた方には申し訳ありませんが、文章のみになります。イラストについては完成次第、何らかの形でお届けできればと思います。

_予定配布価格
 500円

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※追記
今回スペースにスガレオンさんが遊びに来ていただけることになりました。
新刊(500円を予定)も持って来ていただけるとのことですので、よろしくお願いします。
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 佳奈が教室を開けると、充満したアルコールの臭いでむせそうになった。
 教卓にどっかりと座った男と目が合う。男はコンビニで買った安物のウイスキーを煽ると、げふっと下品な音を立てて息を吐いた。酒の臭いがさらに強くなる。男は顎ひげに付いたウイスキーの水滴を拭うと、汚く染めた短い金髪をばりばりと掻いた。鉄板で焼いた様な黒い肌に、筋肉を誇示するかの様に黒いタンクトップと切り込みの深いビキニパンツを身につけている。
 場違いな臭いと、場違いな男。
 時刻は夜八時。教室のカーテンは全て閉まっている。佳奈は学校に誰もいないことはわかっていたが、なるべく音を立てないように教室の引き戸を閉めた。
「遅せぇよ、もう少しで時間切れだぜ。時間は守れって学校で教えてくれなかったのか? あ?」
 男の乱暴な口調に佳奈の肩が震えた。
 男は舐めあげるような視線で佳奈を見る。グレーのスカートに濃紺のブレザー。肩に着く程度の長さの髪。遊んでいる風でも、生真面目すぎる感じでもなく、綺麗に整っている今風の生徒。
「す、すみません……」
「次は気をつけろ。ところで、ちゃんと着てきたんだろうな? 見せてみろ」
「……はい」
 佳奈は下唇を噛みながらブレザーを脱いだ。震える指で苦労しながらシャツのボタンを外し、スカートのホックを外して近くの机の上に置いく。しゅるり、しゅるりと布の擦れる音が教室内に響き終わると、佳奈は学校指定の体操服姿になった。男の視線を感じ、佳奈は手を組んで下を向く。
「ひひひひ……いいぜ。俺の言った通りちゃんと体操着で来やがって。イヤイヤ言いながら、やる気満々じゃねぇかよ?」
「……あ、あの」
「あ?」
「これで本当に……あのことは黙っていてくれるんですよね?」
「なんだよはっきり言ゃあいいだろうが? お前と彼氏が放課後の教室でサカってたことだろ。お互い猿みたいにヘコヘコ腰振り合いやがって、傑作だったぜ」
「……ッ」
 佳奈が耳を赤くしながら唇を噛む。
 迂闊だった。
 お互い初めての恋人同士で、先日初体験を済ませたばかりだった。放課後の教室で時間を忘れて話し込んでいるうちに、辺りはすっかり暗くなっていた。話題も自然と先日の出来事になり、お互い照れながら当時のことを遠慮がちに話しているうちに、自然と体同士が密着し始め、それから先は夢中だった。
 その翌日、教室内での一部始終を収めた写真が靴箱に入れられてた。
 佳奈は、渓谷に架かる吊橋を渡っている最中に足元の板が外れたような気持ちになった。
 写真の裏には、その日の夜に今日と同じ教室に来るように書かれていた。行かなければどうなるかわかったものではない。佳奈はその日を抜け殻の様な気持ちで過ごし、指示された通りの時間に教室に行った。
 教室にはテレビでしか見たことのないような、色黒で筋肉質の男が座っていた。夜の渋谷や新宿を徘徊していそうな雰囲気で、できれば一生関わりたくないタイプの人間だ。男は数十枚の写真をちらつかせ、学校中に知られたくなかったら身体を差し出せと要求してきた。
 断ることなどできるわけが無い。
 なぜ夜の学校にこの場違いな男がいたのかはわからないが、世間に知られたら自分や彼氏が生きていけなくなるようなものを、この男は握っているのだ。
 まだ二回しか経験の無い佳奈を男は床に押し倒し、長い時間をかけて佳奈を愛撫した。
 男の性技は凄まじかった。
 初めは嫌悪感で泣いていた佳奈だったが、身体中のあらゆるところを的確に嬲られ、十五分も経たぬうちに佳奈は学校中に響き渡るような声をあげて絶叫し、腰を痙攣させながら何回も絶頂した。男は上着すら脱いでいなかったというのに。彼氏と長い時間をかけて分け合った快感など、男の指がもたらす暴力的な絶頂の津波にすぐに上塗りされ、ゴミの様に押し流されてしまった。
 佳奈は前戯だけで何回も失神させられ、虫の息の中で彼氏よりもふた回り以上大きな男根を挿入された。
 彼氏のものでは届かなかった場所を簡単に抉られ、押しつぶす様なピストンに頭の中が真っ白になり、佳奈は今までしたことがない様な表情を男に晒しながら狂い果てた。日付が変わる頃にようやく男は佳奈を解放したが、佳奈は身体中を様々な分泌物や男の放出した白濁にぐちゃぐちゃになりながら朝日が昇るまで起き上がることができなかった。
「……あ」
 男は教卓を降り、床を踏み鳴らすように佳奈の元に近づくと、佳奈の履いているブルマーを掴むように下腹部を撫でた。ぐじゅっ……という音を立てて男の指が沈み込む。
「……ひうッ?!」
「なんだこりゃあ? もうぐちゃぐちゃじゃねぇか。どうせこの前のことを思い出してたんだろ? 勝手に濡らしてんじゃねぇぞボケが!」
「ひっ……ふ……す、すみませ……んむっ!?」
 震える佳奈の唇を男が強引に吸うと、近くの机に佳奈を押し倒した。


 東京を出発してから一時間も経っていないというのに、窓の外に見える灯りの数はかなり少なくなった。
 おそらく田園地帯に入ったのだろう。
 真冬に比べて日が延びたとはいえ、夜に見る田んぼは光を吸収する黒い沼の様で、その中にまばらに浮かぶ家の灯りはさながら沼に浮かぶ船を思わせた。その船の間をくぐり抜けるように、マイクロバスほどの大きさの車両が静かな音を立てて走っている。
 組織の所有する戦闘員専用の輸送車だ。
 大きさに反して、輸送する戦闘員は車両一台につき基本的に一人。なぜならそれは移動できる控え室だからだ。運転席と戦闘員用の後部は完全に仕切られ、中は小さめのプライベートジムの様に改造されている。床は柔らかい樹脂張りで、エアロバイクやロッカーの他に各種計測器具もある。
 その中で上代友香は入念に身体をほぐしていた。
 床に尻をついた状態で足を限界まで広げ、ふうっ……と長く息を吐きながらゆっくりと上体を倒す。胸が押し潰され、顎が床に着くか着かないかというところで、運転席と繋がっているスピーカーから若い男の声が響いた。
「到着しました。現在、二十一時十三分。周囲に人影はありません。問題が無ければ任務開始願います」
「了解……ですっ」
 友香は開脚前屈の体勢から勢いをつけて上体を起こすと、そのまま後方にごろんと転がってから跳ね起きた。とんとんとその場で軽く跳び、身体の状態を確認する。異常はない。身体は軽く汗ばむ程度に温まっているし、関節の可動も良い。脳の出す指令を筋肉が忠実に遂行する準備は万全だ。
 友香は体操服の様な上着の裾や、レーシングショーツに似たショートパンツを直すと、オープンフィンガーグローブを嵌めて自分の頬を両手で叩いた。
「ウォーミングアップ終了しました。上代友香、すぐにでも任務開始可能です」
「わかりました。現在他のチームも予定通り現場に到着、順次作戦開始しています。今作戦の確認ですが、この近辺に複数生息していると思われる人妖の調査と、発見した場合は掃討。こちらのターゲットは下位タイプ……賎妖と思われますが、油断は禁物です。下位タイプは上位タイプと違い、チャームに加えてなんらかの特殊能力を持つ場合が多いので……」
 人妖……人類を栄養源とする未知の生命体。
 見た目は人間と区別できず、男性型と女性型がおり、特殊能力や驚異的な力を持つ。詳しいことはわかっていないが、食事は必要なく、それぞれ異性の粘膜から養分を吸収して活動する。また、捕食を効率的にするために分泌液……通称チャームには人間の異性を魅了する特殊な効果があるという。
「チャームに加えて特殊能力……そんなに抗えないのかしら。チャームって……」
「人間は弱い生き物ですからね。普通に市販されているタバコやアルコールですら、一度依存症を発症してしまうと解脱することは恐ろしく難しい。それが麻薬や覚醒剤をはじめとした薬物依存になるとさらに悲惨です。チャームにそれを上回る依存効果があるとすれば」
「考えたくもないわね……人妖の被害者からの通報は極端に少ないって聞くし、できれば一生味わいたくないものね」友香は双眼鏡を覗きながら言った。輸送車の窓からターゲットが棲むと言われる高校を見る。三階の教室の一つ。厚いカーテンの隙間から光が漏れている。「調査は必要無さそう……学校に棲むなんて、物好きな人妖もいたものね」
「水道や電気が通っていますし、使おうと思えばガスもあります。浮浪者の様な生活をしている賎妖に比べれば、ある意味快適なのかもしれません」
「おまけに栄養源である人間は向こうから集まってくる……か。昼間さえやり過ごせれば確かに潜伏場所としては悪くないのかもしれないわね」
 友香が輸送車を降りると、冷たい夜風が頬を撫でた。
 振り返って運転手に合図を送ると、輸送車は来た時と同様に静かな音を立てて走り去った。こちらから連絡するまで近くの目立たない場所で待機する手はずになっている。
 グラウンドを囲っているフェンスを軽々と越え、そのまま身を隠すようにフェンスに沿ってゆっくりと歩く。プールの脇を抜け、昇降口の近くまで来る。予想通り警備会社のロゴが入ったのセキュリティのランプが緑色になっている。通常、最後に帰宅する職員が操作して、ランプを赤色の警備中に切り替えるはずだ。おそらく栄養源である人間を招き入れるために、人妖内部から切ったのだろう。ということは、ターゲットは今まさに「食事中」か……。
 扉の大きさに反して簡易的な鍵をキーピックで開け、わずかに開いた隙間に身体を潜り込ませるように中に入る。人妖は一体とは限らない。ドミノの様に置かれている靴箱の間を足音を立てないように抜けると、廊下はしんと静まり返っていた。非常口を示す緑色のランプと、火災報知器の赤い光が床や壁を照らしている。普段は活気あふれる場所であるだけに、死に絶えたような今の様子は不気味さに拍車をかけた。
 友香は目を閉じ、耳を澄ます。
 ──音。
 遠くから──くぐもった声のようなものが聞こえる。
 おそらく輸送車から見た三階の教室からだろう。友香はグローブの装着具合を確認すると、緊張した表情で正面の階段を上った。しゃがんだ状態で、階段の内側の壁に沿うようにして一段一段登る。とっさの回避には不向きだが、この方が上階からは死角になりやすい。
 二階を過ぎたあたりから、音は次第にはっきりと聞こえるようになった。
 女性の──嬌声だ。
 むしろ叫び声に近い。
 校舎内が静まり返っている上に、コンクリート製の壁は音をよく響かせる。
 三階に到着すると、廊下の左奥の教室から明かりが漏れていた。
 今や嬌声ははっきりと聞こえ、男の唸るような息遣いや声も聞こえてくる。
 友香はできる限り急いで廊下を進んだ。
 途中、左側に渡り廊下があった。渡り廊下の先は体育館だ。
 教室まで近づくと、友香はスライド式のドアにはめ込まれたガラス窓から中を覗いた。
「ああああッ! も、もうダメッ! もう、い……イッで……イッでるがらぁッ! じぬっ! 死んじゃうッ!」
「オラッ! オラッ! 俺が出すまで止めねえって言ったろうが! 勝手に死んでろクソアマ!」
 友香は反射的にドアに背中を着けた。
 教室の向かいは女子トイレだ。
 緊張と衝撃で早くなった自分の息遣いが聞こえる。
 教室から漏れる光を背負い、トイレの奥の暗がりがやけに濃く感じる。何かが這い出てきそうで不気味だった。
 友香は息を整えると、振り返ってガラス窓から中を覗いた。窓は湿気で曇っていたが、かろうじて中の様子がうかがえる。
 教室の中央あたりで、黒く日焼けした肌の男が腰を振っていた。男はタンクトップだけを身につけ、友香に背を向けている。丸太のような太腿や引き締まった尻が見えた。男の正面の机には学校の体操服を着た女性──おそらくこの学校の女子生徒が半裸で仰向けに寝かされ、男が激しく腰を打ち付けられている。皮膚同士がぶつかる破裂音を立てて男が腰を振るたびに、机と床ががたがたと大きな音を立てた。そしてそれ以上に大きな声で、女子生徒は自分の髪の毛を掻きむしりながら白目を剥いて嬌声をあげている。普通にしていればおそらく美人なのだろうが、涙や涎で顔をぐちゃぐちゃに汚しながら半狂乱に叫ぶその姿は、男に力で屈服させられた一匹の無様な雌にしか見えなかった。
「おがじくなるッ! おがじぐなるぅッ! も……許じ……んぶぁぁッ!」
「おらっ……! 出すぞッ!」
「んあぁぁぁッ! あ……うぶッ!? あぎっ──」
 男は肩を震わせて痙攣すると、それと同時に女子生徒の身体もびくんと跳ねた。
 ──あ……射精……したのかな?
 友香はハッと我に返った。
 獣の様な激しい行為に思わず息を飲んで、時間も忘れて一部始終を見てしまった。結合部こそ見えなかったが、実際の性交を見たのは初めてだった。事が終わった女子生徒は大きく胸を上下させている。頭が机の縁から落ちて、仰け反るように顎を天井に向けたまま失神していた。男が移動すると、女性器から白く濁った液体がゴボリと溢れて床に落ちた。男は捲れ上がった女子生徒の上着を雑巾のように引っ張り、自分の股間の辺りを雑に拭っているらしい。
 男は突然振り返って友香のいるドアの方に向かって歩き出した。色黒の肌に短い金髪、自信と欲望に満ち溢れたような眼光が友香の目に映る。
 咄嗟に友香はドアから離れ、背後の女子トイレに身を隠した。
 呼吸が乱れている。
 手洗い場の鏡には両手で口を押さえる自分の姿が映っていた。
 ──ガラリ。
 ドアが開いた。
 息を止める。
 ライターを擦る音。
 タバコの匂い。
「シャワー浴びたらもう一発するからな。まだ伸びてんじゃねぇぞ」
 男の籠った声が聞こえる。廊下から教室内に向けて言い放ったのだろう。
 友香は男が十分に遠ざかると、そっとトイレから顔を出す。男は体育館の方へ行くらしく、渡り廊下を曲がって消えていった。友香はタイミングを見て足音を立てずに教室に入ると、うっと呻いた。汗と脂が混ざったような甘酸っぱい匂いと、窓が曇るほどの湿気に少し目眩がした。女子生徒は机に仰向けに寝そべったまま、脱力したようにだらしなく脚を開いている。衣服が汗を吸って身体に張り付き、女性器からは白く濁った液体が溢れて机に溜まり、糸を引いて床に垂れている。
「大丈夫? しっかりして」
 友香が女子生徒の肩を軽く叩く。
「あ……きゃあっ!」
「落ち着いて。私は上代友香。あなたを助けにきたの」
「……え?」
「名前……聞いてもいい?」
「……佳奈。木村佳奈……です」
「佳奈ちゃんか……同い年くらいだよね?」
 ゆっくりと話す友香に、女子生徒は徐々に落ち着きを取り戻してきた。友香は手近にあったタオルで佳奈の身体を拭きながら、男のことを聞く。佳奈は涙ぐみながら、男に脅され身体を求められていることを告白した。男は昼間は街中をぶらついたり人を脅して金品を巻き上げたりしており、夜に職員を含めて全員が学校から帰宅すると、戻ってきて空き教室や保健室などで寝ているという。また、弱みを握られ身体を提供している女性は複数おり、毎晩のように行為に及んでいるらしい。
「酷い……」
「私も嫌なの……でも、逆らって写真をネットに上げられでもしたら私も彼氏も生きていけない……。でも、それ以上に許せないのは──」佳奈は目を伏せながら言った。「最近は……自分でも少し期待てて……」
「……期待?」
「き、今日は呼ばれるのかなって……時々。あの人、本当に凄くて……ごめんなさい、こんな自分が許せないの……彼氏がいるのに、最低だよね……」
「大丈夫、佳奈ちゃんは悪くない。それはあいつの持っている能力みたいなものだから」
「……能力?」
「詳しくは言えないけれど、あいつには人を魅了する力があるの。そして、私はあいつを倒す訓練を受けているから、もう安心して。あとは私に任せて。絶対に助けてあげるから……」


 友香と佳奈は渡り廊下で別れた。
 佳奈は汚れた格好のまま、制服とタオルを持って階段へと向かった。友香の一刻も早くこの場所を離れたほうがいいという提案で、着替えはグラウンドの隅で行うことにした。プールのそばであれば背の高い茂みや水道もある。
 途中、佳奈は何度も振り返って友香に頭を下げた。
 友香は片手を振って返すと、グローブを締め直して渡り廊下の中央に立った。おそらくもうすぐ男が帰ってくるだろう。佳奈をもう一度犯すために。実戦を前に、友香は足の底から熱のようなものが這い上がってくるのを感じた。
 それにしても……と友香は思った。自分と同い年くらいの子があそこまで乱れるほど、チャームというものは強烈なのだろうか。白目を剥き、舌を限界まで出して喘ぐ佳奈の顔が脳裏に浮かぶ。そして、恋人がいるのに心の隅では男に犯されることを期待してしまうとも言っていた。
 ──人間は弱い生き物ですからね。
 ──一度依存症を発症してしまうと解脱することは恐ろしく難しい。
 オペレーターの言葉が蘇る。
 もし自分がチャームに冒されたら、あのようになってしまうのだろうか。
 寒くはなかったが、背中が微かに粟立つのを友香は感じた。
 

 渡り廊下を半分ほど渡ったところで、男は足を止めた。
 蛍光灯の下には体操服を着た見慣れない女が腕組みをして立っている。一瞬佳奈かと思ったが、佳奈の自信なさげな顔とは違う。少し幼さが残っているところを見ると、歳は佳奈と同じ十七、八くらいだろう。男はシャワーの後でまだ少し湿っている短く刈り上げた後頭部を掻いた。
「なんだぁ……てめぇ?」男は首をかしげながら目を細めた。男の低い声にも友香は微動だにしない。「居残り練習してた陸上部……ってわけじゃあねぇよな?」
「上代友香──あなた達人妖の敵よ」
 友香は男をまっすぐに見ながら、静かに言った。腕組みを解くと、足を肩幅に開いて床の感触を確かめるようにゆっくりと構える。
「ケッ! 例の組織か……アンチレジストとか言ったな? 俺はこの通り昔のツレとは縁切って独りで楽しくやってんだ。見逃してくれよ」
「そうはいかないわ。佳奈ちゃんをはじめ、複数の女の子に暴行しているんでしょう? 弱みに付けいるなんて、随分と卑怯な手段ね」
「あつらも楽しんでるんだぜ? 俺はメシを食うよりも楽に栄養補給が出来て、女達はぶち込まれてよがりまくる。佳奈だって彼氏がどうのって口ではイヤイヤ言いながら、ちょっとばかし焦らしてやると早く入れてくれって股開きやがるぜ。ウィンウィンの関係ってやつだ……お前には関係ねぇだろうが」
「それだってあなた達人妖のチャームの効果でしょう? 佳奈ちゃんだって本心じゃないわ」
「本心だったらどうするんだ? 自分の意思で俺の元に来ているとすれば」
「そんなはずは無いわ」
「そんなはずはあるんだよ……俺にチャームの能力はねぇ」
「……えっ?」
 友香が驚いた顔をする。男は一瞬天井を見ると、友香を見て笑った。
「出来損ないってやつさ……お前らの組織は賎妖って呼んでいるらしいな。まぁ、俺みたいにチャームが全くねぇ奴は珍しいみたいだがな──」
「でも、きっかけは弱みを……」
「きっかけなんて何だっていいんだよ。薬や酒に溺れている奴らは何だってあんなに被害者ヅラしてんだ? 他の人妖から爪弾きにされて以来、色々やって生きてきたぜ。ヤクの売人やってる頃、中毒者たちは最後には決まって俺を非難してきやがった。あいつから買わなければ、こんなことにはならなかったってな。泣きながら売ってくれって頼み込んできたと思ったら、最後には全員俺のせいだと手の平を返しやがる。無理やり勧められたとか騙されたとか言いながら、快感に抗えずに手ぇ出し続けてるのは紛れもねぇ自分自身の選択だろうが。ヤッってる最中の女どもの顔を見せてやりたいぜ。それとも、自分で体験してみるか? あ?」友香は一歩下がって身構えた。男がじりじりと距離を詰める。「よく見りゃあ、なかなかエロい身体つきしてんじゃねぇか。お前もヒィヒィ言わせて、明日には俺のチンポのことしか考えられないようにしてやるよ」
 男が友香に突進するように飛びかかると、友香は軽い身のこなしで躱して距離をとる。男はゆっくりと友香の足元から脳天までを舐めるように見た。動きやすそうな靴に健康そうな太腿。鋭角なラインのレーシングショーツにセパレートになっている上着。肩に着かない程度のスポーティーな長さにカットされた黒髪に、整った顔つき。男は唇を舐めると、口の端に溜まった唾液を音を立てて啜った。
「……あなたの相手なんて、絶対に嫌」
 友香はぎりっと歯を食いしばると、男と距離を詰めながら右足で床を蹴った。そのまま窓枠に左足をかけて飛んだ。友香の身体は床と平行になりながら錐揉み状に回転し、男の頭に打ち下ろすような回し蹴りを放った。男は対処しきれず、友香の足の甲が男の脳天をしたたかに叩くいた。男は、ぐぎっ……という悲鳴をあげる。おそらく自分でも初めて発した声なのだろう。首を押さえながら驚いたような表情を浮かべた。友香は着地と同時に、流れるように男の顎を蹴り上る。そして男が仰け反ると同時に後ろ蹴りを放った。
 男は低い悲鳴をあげながら、ベルトコンベヤーで運ばれるように後方に転がっていった。友香はふっと溜めていた息を鋭く吐く。
「うぐ……ガキがぁ……ッ!」
「……さすが人妖、ずいぶんと丈夫ね」上体だけ起こして睨みつける男に対し、友香がゆっくりと歩きながら距離を詰める。「アンチレジストの戦闘員と戦うのは初めて? ちなみに一般戦闘員の私なんかよりも、上級戦闘員はもっとすごいわよ」
 男は唸り声を上げながら友香に抱きつく様に飛びかかった。友香は難なく横に躱すと、男の鳩尾に膝を突き込んだ。ぐにゃり……と柔らかいゴムの様な頼り無い感触。
「なっ?!」
「ハッ! まさかこんなに早く使わせるとはな!」
 友香は膝蹴りを放っている足を引き、勢いをつけて回し蹴りを放つ。男は避けようともせずにそのまま蹴りを頬に受けた。男の首はスプリングの付いた人形の様に勢い良く左右に揺れる。友香が距離を取ると、男は両手で自分の頭を挟んで振動を止めた。
「……なんなの?」
「へへへ……驚いたか? 俺は自分の身体をゴムの様に柔軟にできるのさ。漫画みてぇに伸ばしたりはできねぇが、攻撃を無力化しているうちにいずれ相手は体力の限界を迎える。攻撃が効かないんなら負けることはねぇ」
「能力をベラベラと……口も柔らかくなったみたいね」
「うるせぇよ……余裕ぶってられんのも今のうちだ!」
 正面から突進して来る男を横に躱し、男の膝を真横から蹴る。通常では折れる角度で男の膝が曲がるが、跳ね返る様にすぐに元の形に戻った。男はバランスを崩したものの、ダメージはほとんど無いらしい。友香は何回も掴みかかろうとする男を躱しながら、関節を狙って攻撃を当てる。まるで蒟蒻を蹴っているような感触だった。友香が顎に伝う汗を拭うと、男は勝利を確信したような笑みを浮かべた。
「消耗してきてるなぁ……大人しくした方が身のためだぜ?」
「確かに厄介な能力ね……打撃系が全く効かないなんて」
「厄介じゃなくて無敵なんだよ。俺は一度も負けたことはねぇ」
「でも戦闘に関しては全くの素人みたいね。攻撃もさっきから掴みかかるばかりだし、本当に相手が消耗するのを待つだけ。技術の習得や努力は全くしてこなかったんでしょう?」
「当たり前だろ? 無敵は努力しても何の意味もねぇ」
「それはどうかしら? あなたの能力の特性はだいたい理解したわ」
「理解したからなんだってんだよ! 攻撃が効かなきゃ意味ねぇだろうが!」
 男が友香に突進する。ワンパターンの攻撃に友香は落ち着いた表情でそれを躱し、男が伸ばした腕を取って肘を膝で蹴り上げた。通常であれば肘が粉々に砕けているだろうが、肘はありえない方向にぐにゃりと曲がっただけだ。男のニヤついた表情。友香は男の腕を取ったまま、裏拳で男の後頭部を叩いた。男の首がぐにゃりと前に折れ、バネ仕掛けのおもちゃの様に後頭部と背中が着く。その瞬間に友香は男の背後に回り、首に腕をまわして一気に締め上げた。
「ぐッ?!」
「やっぱり呼吸は必要なのね……」
「がッ……がァッ!」
 男は手を振り回しながら背後の友香を掴もうとするが、完全に男の死角に入り込んでいるため届かず、その手はでたらめに空を切るだけだった。
「色々わかったわ。軟体化は確かに厄介な能力ではあるけれど、軟体化させている最中は身動きが取れないんでしょう? あなたは私の攻撃を察すると人形の様に動くのを止めて、全くガードをしなかった。もっとも、ガードする必要も今までは無かったのでしょうけれど……」友香が男の首を絞める腕に力を込める。「だから攻撃し続けて軟体化させていれば、あなたは動けずに私は簡単にバックを取れる。あなたがしっかりと防御や攻撃の手段を身につけて、軟体化はあくまでもいざという時の補助にしていれば、私も苦戦したかもしれない」
「げぶッ……」
 男の身体が痙攣し始める。友香は男が落ちてからの対応を考えていた。まずは待機させているオペレーターに連絡を入れ、回収班の到着前に手近なもので拘束を……。
「ま、待って!」
 渡り廊下に声が反響する。
 友香が怪訝そうな表情で男の影から覗くと、佳奈が思いつめた表情で渡り廊下の先に立っていた。
「佳奈……ちゃん?」
「お、お願い……その人を連れて行かないで……」佳奈が小走りで近付いてくる。そばまで来ると男と友香の様子をどぎまぎとしながら交互に見つめた。男が薄く目を開けて呻く。「ご、ごめんなさい……。い、一度は帰ろうとしたんだけど……私もう……その人がいないとダメで……」
「佳奈ちゃん……なんで……?」
「彼氏じゃ……もうダメなの……。満足できないの……何回かしたんだけど……その人と比べると全然ダメで……。さっき帰りながら、もうその人に抱かれることがないって考えたら……頭がおかしくなりそうで……」
「でも、佳奈ちゃんは弱みを……」
「わかってる! でも、もう弱みなんて関係無いの……身体が……きゃあッ!」
 男が力を振り絞って佳奈に手を伸ばす。佳奈を背後から抱き込むようにして細い喉に腕を回し、ギリギリと締め上げる。
「ごいづ……ごろずぞ……」
 男の絞り出すような声。
 友香はくっと息を漏らしながら、男の首を締め上げる力を緩めた。
「ゲボッ! ゲホッ! ウェッ! はぁ……はぁ……てめぇ……」男は佳奈を抱きかかえたまま倒れ込み、激しく嘔吐きながら友香を睨み上げた。佳奈は戦慄した表情で震えている。「許さねぇぞ……俺をここまでコケにしやがって……犯すだけじゃ足りねぇ……ボロボロになるまでいたぶってから、死ぬまでイかせ続けてやるよ」
 男は鬼のような形相で涎を垂らしながら立ち上がる。佳奈を引きずるようにして友香の前に立ち、歯の隙間から肉食獣のような呼吸をしながら友香を見下ろす。友香も悔しそうに男を睨み上げるが、佳奈を救出しない限り迂闊な行動はできない。
「おい、わかってんな。少しでも変な気起こしたらこいつの首の骨をへし折るぞ」
「……卑怯者」
「はっ! こいつに言えよ。おい、まずは棒立ちになれ。両腕も垂らすんだ。防御したり避けたりしたらわかってんだろうな?」男が見せつけるように右手の拳に力を込める。友香は悔しそうな表情のまま、肩の高さで構えていた両拳をゆっくりと下ろした。「──腹にも力入れんじゃねぇぞ!」
 ずぷんッ……! という水っぽい音が渡り廊下に響く。
「ゔぐぅッ?!」
 上着とショーツの隙間、ちょうどヘソのあたりを殴られ友香は呻いた。佳奈はひぃっ……と引き攣った様な悲鳴をあげる。友香は男の指示通りにノーガードで腹筋も固めないでいたため、男の鈍器の様な拳は友香の腹部に深々と埋まり、内臓にダイレクトに衝撃を伝えた。
「へへへ……やはり女の身体だな。随分と華奢じゃねぇか」
 ぐぼっ……と音を立てて男は友香の腹から拳を抜くと、すぐさま二撃目、三撃目を同じ箇所に突き込んだ。ずぷん……ずぷん……と腹を殴られるたびに、友香の身体は男の拳を支点にくの字に折れる。
「ゔぅッ! ぐぶッ!? くっ……は……はぁ……ゔぶッ!」
「ひひ……いい顔するじゃねぇか。さっきまでの余裕はどうした? 抵抗するならしてもいいんだぜ? こいつがどうなってもいいならな!」
「うぅ……くッ……」
 友香が無言で男を睨みつける。明確な侮蔑の視線に男の顔から笑みが消えた。
「なんだその目は? 自分の立場わかってんのかよ!?」
 ぐりゅッ……という音と共に、友香の鳩尾の男の拳が付き込まれた。友香の体は電気が走ったようにビクッと跳ね、今までとは異質の苦痛が足元から駆け上がった。
「がぁッ?!」
「おらおら! ナメてんじゃねぇぞコラ!」
「ゔぅッ! がふッ! うぐッ! あぐッ! げぼッ! おぅッ!」
 友香は腹と鳩尾を交互に連続で殴られ、その度に友香の身体は跳ね上がったり折れたりを繰り返した。膝はすでにガクガクと痙攣し、最後に鳩尾を突き上げられた瞬間一気に力が抜けて崩れ落ちた。尻を床に着けた状態でしゃがみ込み、そのまま両手で腹を抱える様にして前かがみにうずくまる。
「へへへへ……ちょっとばかしキレちまったぜ」
「うぐっ……はぁ……せ、正々堂々と……したらどうなの?」
「うるせぇ、どんな手使っても勝ちゃあいいんだよ。おら、いつまでミノムシみてぇにへばってんだ? まだ俺の気は済んでねぇぞ」
「あぐっ……くっ……あ……?」
 男が友香の髪を掴んで強引に引き起こす。友香が膝立ちの姿勢になると、ちょうど目線の位置に男のビキニパンツがあった。前部が槍の様に隆起している。知識として男の反応を理解している友香は息を飲んだ。
「あ? なんだ、こいつが気になるのか? へへ……スケベめ。仕方ねぇな、見せてやるよ」
 男がパンツを下にずり下げると、赤黒い男根が勢いよく跳ね上がって男の腹を打った。それは何本もの太い血管に覆われた上に何かを埋め込んだような不自然な凹凸があり、まるで男に寄生したグロテスクな芋虫のように見えた。
「ひ……ひぅっ!?」
 初めて見た臨戦態勢の男性器はあまりにも暴力的で、たまらず友香は悲鳴をあげた。同時に、佳奈がうっとりとしたようなため息を漏らす。
「お? なんだチンポ見るの初めてかよ? 俺のは特別スゲェからな。満足するまでいたぶったらたっぷりとコイツの凄さを味わわせてやるよ。処女にはキツイかもしれねぇがな」
 男は友香の奥襟を掴んで無理矢理立たせると友香が力が入らないうちに鳩尾を突き上げた。
「うあ゙ッ?!」
「へへへ……ここが特に効くみてぇだな?」
 ドブン……ドブンと悪夢のような音を立てて男は友香の鳩尾を責め立てた。息も継げないような責め苦に友香は徐々に目の焦点が合わなくなり、舌を出したまま瞳がまぶたの裏に隠れ始める。佳奈は友香の惨たらしい悲鳴が聞こえないように耳を塞ぎながら、目を瞑って震えていた。
「がぁッ?! ごぷっ! んぐッ!」
「おら、そろそろイかせてやるよ!」
 男は倒れかかる友香の身体を、奥襟を掴んで無理矢理立たせる。友香はすでに意識が半分飛びかけ、両腕がだらりと垂れていた。男はまったく容赦をせず、前かがみになった友香の鳩尾を突き上げるように拳を突き上げた。ずぷんッ……という水っぽい音が響き、友香の鳩尾に拳が深々とめり込む。
「があぁぁッ?!」
 友香の身体は反射的にびくんと跳ねた。男がすぐさま拳を引き抜いても、鳩尾を守る上着にはクレーターの様に陥没した跡が残り、その威力の凄まじさを表している。友香は凄まじい攻撃をまともに喰らい、しばらく焦点の合わない目をしながら身体をガクガクと震わせた。男が友香の奥襟を離すと、床に前かがみに倒れ込んだ。
「ったく、手間かけさせやがって。これで終わりじゃねぇぞ。俺に逆らったことをとことん後悔させてやる……」
「あ……あの……」ぐったりとしている友香と男を交互に見ながら佳奈が言った。誰に向けた言葉でもないし、その後の言葉が出てこなかった。どうしたらいいのかわからないという様子だ。友香がここまで酷い目に遭ったのは自分のせいだろう。しかし、友香があのまま男を倒してしまえば自分は一生消えない熱を抱えながら生きていくしかなかったかもしれない。「私は……どうすれば……?」
 ふっ、と視界が暗くなる。
 見上げると、男が目の前に立っていた。蛍光灯を背負い、逆光で影になった顔の中で血走った目が自分を見下ろしている。そして自分の顔の位置には、今まで見たこともないほど強く勃起している男の性器が脈打っていた。
「知るかよ。こいつ殴って興奮しちまった。とりあえずしゃぶれ」
「え……? そん……な……」
「いいから口開けろ便所が! 手加減しねぇからな!」
「え……ゃ……やっ……嫌ッ! むぐぅッ!? ゔぇッ! ごッ!? げぇッ!?」
 男は佳奈の頭を両手で掴むと、力任せに佳奈の喉奥まで男根を突き込んだ。佳奈の後頭部を突き破りそうなほどの勢いで男は腰を振り、渡り廊下には佳奈の内臓を吐き出すような悲鳴が響き渡った。

りょなけっと7に参加いたします。
配布物はまだ作り始めたばかりですが、久し振りに文章メインのものになる予定です。
よろしければ是非お立ち寄りください。

_りょなけっと7
_2017/02/26(日) 11:30〜15:00
_東京卸商センター3F展示場
_http://www.ryonaket.com/top.html

サークルカット2_edited-2

サークルカット2_edited-1

準備すべて終わりました。
初参加のため準備期間や参加方法など勝手がわからず至らない点も多いかと思いますが、新刊が用意できました。
興味のある方はどうぞよろしくお願いいたします。

_日時
 2016年12月31日(3日目)

_スペース
 東ホール タ56b

_新刊タイトル
【Mezzanine】

_内容
 B5サイズ フルカラー28ページ(文章部分9ページおよび奥付1ページはモノクロ)
 イラストは7シーン差分含め13枚(綾3シーン、美樹2シーン、シオン2シーン)
 キャラ紹介1枚(カラー)

_配布価格
 1,000円

お品書き

_イベント
 コミックマーケット91

_日時
 2016年12月31日(3日目)

_場所
 東京ビックサイト 東ホール タ56b

_新刊タイトル
【Mezzanine】

_内容
 B5サイズ フルカラー28ページ(文章部分9ページおよび奥付1ページはモノクロ)
 イラストは7シーン差分含め13枚(綾3シーン、美樹2シーン、シオン2シーン)
 キャラ紹介1枚(カラー)

_配布価格
 1,000円前後を予定

_注意
 今回の新刊はリョナはほとんど無く、当サークルのオリジナルキャラクターを使った二次創作的な内容になりますので、当サークルのキャラクターやストーリーと直接的な関係はありません。
 また、ストレートな性描写が苦手な方はご注意ください。
※名義も二次創作用の「basement」を使用しております。


_サンプル(美樹)

 プールに併設された男子更衣室の中央には五人ほどが座れる大きさの長椅子が置かれているのだが、それはもっぱら荷物置きとして使われている。プロスポーツ選手が使う様なパーソナルスペースが確保された広いロッカールームならばさておき、一般的な更衣室というのは換気も悪く、こもった湿度やカビの臭いで一秒でも早く出たいと全員が思っているからだ。
 だから今日の様に練習を終えた後の水泳部員が三人、濡れた水着を着たまま長椅子に横並びで座っていること自体とても珍しいことだった。
「……どうする?」
「どうするって言われても……なぁ?」
「……チャンス」
「え?」
「チャンスだろこれ? お前らも、いつかヤリてぇって言っていたじゃねぇか。いつも澄まし顔の堅物のくせに身体はよ……クソッ! いつかヒィヒィ言わせてやりぇと思っていたんだ」
「……落ち着けって。とりあえず、一回聞いてみるってのは?」
「なんて聞くんだよ? こんな格好して何してたんですかって聞くのか? 今まで黙っていたけれど実は私コスプレが趣味なのとでも答えられたら、ああそうですかって言って写真返すのかよ?」
 部員の一人が興奮した様子で封筒の中から写真を取り出すと、指に挟んでひらひらと振った。三人の視線がその写真に集まる。
 三人が練習を終えて更衣室に入ると、室内には不思議な甘い匂いが漂っていた。頭がくらくらして、動悸が早くなりそうな匂いだった。そして長椅子の上には数枚の写真が入った封筒が置かれていた。練習前にはたしか無かったはずなのに……。
 写真にはこの学院の水泳部部長、鷹宮美樹が写っていた。
 美樹は水泳をはじめとした運動全般が得意で、おまけに成績も上位だ。実家は神社で、早朝や休日には巫女の仕事もしている。部長としての仕事や指示も的確で、悩んでいると向こうから声をかけてくれるなど面倒見も良い。
 唯一の欠点は、硬いこと。
 笑顔を見たことが無いと言われるほど笑わず、冗談も全く言わない。

 だから、写真に写っている美樹の姿は驚くべきものだった。

 写真の中の美樹は緋色の丈の短いプリーツスカートを履き、ノースリーブで胸元のみを隠すような白衣を着ていた。腹部や肩のあたりからは黒地のインナーが覗き、右手には鈍く光る手甲を嵌めている。まるで巫女を模したアニメのキャラクターのような格好だった。撮影場所は深夜のどこかの路地裏のようだ。写真の中の美樹はナイフを持った相手に表情一つ変えず、斬撃を手甲で受け流しながら一撃で相手を昏倒させていた。
 写真を見ているうちに、部員達の頭の中がチリチリと痛み出した。甘い匂いも強くなっている気がする。
「趣味なのか理由があるのかは知らねぇけどよ、まともじゃねぇだろ? こんな格ゲーのキャラみたいな格好してチンピラ相手に大立ち回りしているなんて……それに」男子部員が封筒を見る。定規で引かれた様な文字で<秘密>と書かれている。「これを送りつけた奴は、部長の秘密だって言ってるぜ。俺たちにチャンスをくれたんだ。何回あの身体で抜いたと思ってんだよ……俺は独りでもやるぜ。来たけりゃお前らも来いよ」
 男子生徒の一人が立ち上がる。腰に掛けていたバスタオルが落ちると、水着を押し上げるようにして彼の股間が大きく隆起しているのがわかった。残りの二人も顔を見合わせると、互いに頷いた。
「確かに、一度思い知らせてやった方が部長のためかもな……あの硬い性格のままだったら将来苦労するだろうし、女らしい振る舞い方を教えてやるか」
「俺もそう思うわ。それに最近忙しくて抜いてないから溜まってるしな……」
 唾液の分泌が多くなり、心臓の鼓動が早くなる。
 甘い匂いは増々強くなっていた。

「鷹宮部長……ちょっといいすか?」
 独りで居残り練習をしていた美樹は男子部員の声に振り返った。美樹をよく知らない者が見れば怒っている様な表情に見えるが、付き合いの長い部員たちはそれが何の感情の揺らぎも無いごく普通の表情であることを理解していた。
「……どうした?」
 表情を変えずに美樹が聞く。
 おそらく何かの間違いで、神様が美樹を創る時に最高のパーツだけを使ったのだろうと部員たちは思った。たまに見かける生徒会長も大概だが、美樹も負けず劣らず近寄りがたいような美しさだ。美樹の細い顎から水滴が滴り、競泳用の水着を押し上げている胸に垂れる。男子部員の一人がそれを見てゴクリと唾を飲み込んだ。
「お前達ももう少し練習するのか? 何ならフォームくらい見るが」
「いや、フォームよりも見てもらいたいものがあるんすよ。コレなんですけど……」
 写真を見た瞬間、切れ長の美樹の目が微かに大きく開いた。明らかに動揺している。
「あれ? どうしたんすか? 部長、驚いた表情できるんですね」
「……どこでこれを?」美樹の目が鋭く光る。弓矢で射抜かれるような視線に、男子部員達は微かに怯んだ。「お前達には関係の無いことだ。忘れろ。関わるとロクなことが無いぞ」
「そ、そんなこと言っていいのか?」後ろに控えていた男子部員の一人が微かに声を震わせながら言った。「前からその命令口調が気に入らなかったんだ……事情は知らないけれど、バレたらマズいんじゃないか? 何ならここにいない奴がデータ持っているから、ネットにバラ撒いたっていいんでだぜ?」
 ハッタリだった。写真だってついさっき手に入れたものだし、送り主もわからない。もちろんデータもどこにあるかわからない。だが、美樹は確かに動揺したようだ。
「それは……やめた方がいい」
「だったらタダって訳にはいかねぇな……向こうで落ち着いて話しようぜ? こんな開けた場所じゃあいつ人が来るかわからないしな。ちょうど男子用のシャワー室が空いてるんで……」

「そんなに怖い顔すんなよ……楽しもうぜ?」
「そうだよ。別に痛い目に遭わせたり金取ろうって訳じゃあないんだからさ……」
「ただ、ちょっとコレを気持ち良くして欲しいだけですから」
 美樹が体を捩ると、鉄パイプとゴムホースが擦れて軋んだ音を立てた。男子生徒達はシャワー室に入ると、すぐさま美樹の両手首を頭の後ろに回した状態でシャワーの配管に拘束した。強引に胸を突き出すような姿勢をとらされ、青色の競泳水着が美樹の濡れた身体のラインを浮かび上がらせた。男子生徒達は誰ともなく水着を脱ぎ、腹に付きそうなほど反り返った男性器を見せつけるようにして美樹を取り囲んだ。
「くっ……」美樹が悔しそうな声を漏らしながら歯を食いしばる。必死に自分を取り囲む男性器から顔を背けようとするが、それでも自由度はたかが知れている。「止めろ……こんなことをしても、何もならんぞ……ッ」
「大丈夫だよ。少なくとも俺達は気持ち良くなるから……」部員の一人が美樹の腋に亀頭を擦り付けながら言った。「へへへ……部長の腋、気持ち良いなぁ。スベスベで……」
「じゃあ……俺はこっちで」もう一人が鳩尾のあたりの布を摘むと、美樹の皮膚を傷つけないように気をつけながらハサミで切り取った。下乳のあたりに丸く穴が開き、化学繊維が胸の張力に引っ張られて大きく広がる。男子生徒がそこに男性器を突っ込むと、仰け反って声を漏らした。「おぉ……部長の胸やべぇ……。スベスベの風船にチンポが包まれてるみたいで……あぁ……」
「お、お前達、変な気を起こすな……今止めるのなら、このことは忘れてやるから……」
 美樹の言葉に、部員三人が舌打ちをする。
「あのさぁ……部長のそういう態度が前から気に入らなかったんすよね」
「そうそう、黙ってりゃあ美人なのに、そういう上から目線なところがな」
「マジでムカついたわ。このまま腋に出して勘弁してやろうかと思ったけれど、自分の立場を教えてやった方が良さそうだな」
 左右から美樹の両腋を嬲っていた男子部員達が、男性器を美樹の顔に向けてしごきだした。胸に男性器を埋めている男子部員も腰の動きが早くなる。
「な……何を……する気だ?」
「なにカマトトぶってんだよ? 男がこの後どうなるかなんて知ってるだろ? 何日も溜めた濃い精液をたっぷり顔にぶっかけてやるよ」
「へへ……綺麗な顔がベトベトに汚れると、ものすごく興奮するよな……。その性格ならどうせ精液の味も知らないんだろ? たっぷり味わえよ」
「胸の中でも盛大にブチ撒けてやるよ……やべ、腰止まらねぇ……」
「なッ……や……やめろ……ッ」
 男性器は猛烈な悪意を持って美樹の顔に銃口を向けている。美樹は歯を食いしばって必死に顔を背けようとするが、拘束がきつくほとんど身動きが取れない上、その様子は男子部員達の嗜虐心を更に昂らせた。部員たちは美樹の腕や腋、胸に男性器を押し付けながら、射精に向けて興奮度を加速させる。男性器をしごく手はどんどん早くなり、パンパンと小気味良い破裂音を立てながら美樹の胸に腰を打ちつけている男子生徒は歯を食いしばって一秒でもその快感を長く味わおうと耐えている。
「……お前達……恥ずかしくないのか? こんなことをして……」
「うるせぇな。誰のせいでこんなにガチガチになったと思ってんだよ。責任取れよ?」
「まぁ一発出してやったらしおらしくなるだろ。女として自覚を持ってもらわねぇとな」
「ほぉら……もう直ぐ出るよ……その綺麗な顔にたっぷり……」
「くっ……貴様ら……」
「部長の胸マンコやべぇ……チンポ溶ける……おぉ……うおッ!?」
 胸を犯していた男子部員の腰が震えると、男性器が爆発したかと思うほど激しく脈打った。同時に、胸の間にドロリとした熱い粘液が吐き出され、柔肉に染み込む様に広がってゆく。
「んあぁッ?! む……胸が……あぁ……」
「俺も出る……こっち向けよ……うッ!」
「ああッ……出るッ……部長の顔に出すよッ……あああッ! 」
 美樹の顔を狙っていた男性器もほぼ同時に爆発し、何の躊躇いも無く美樹の顔に精液を浴びせた。若い身体から放たれた精液は勢いと量が物凄く、強烈な臭気と共に美樹の身体に纏わり付いた。

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※文章、画像は全て縮小、切り取り処理をしております。また、修正は意図的に大きくしています。

_イベント
 コミックマーケット91

_日時
 2016年12月31日(3日目)

_場所
 東京ビックサイト 東ホール タ56b

_新刊タイトル
【Mezzanine】

_内容
 B5サイズ フルカラー28ページ(文章部分9ページおよび奥付1ページはモノクロ)
 イラストは7シーン差分含め13枚(綾3シーン、美樹2シーン、シオン2シーン)
 キャラ紹介1枚(カラー)

_配布価格
 1,000円前後を予定

_注意
 今回の新刊はリョナはほとんど無く、当サークルのオリジナルキャラクターを使った二次創作的な内容になりますので、当サークルのキャラクターやストーリーと直接的な関係はありません。
 また、ストレートな性描写が苦手な方はご注意ください。
※名義も二次創作用の「basement」を使用しております。

_サンプル(シオン)


「へぇ……いい家具揃ってんな」
「そうだな。初めて入ったけれど、もっと無機質な部屋だと思ったぜ」
 三人の男子生徒達は生徒会長室の中を物珍しそうに見回しながら、口々に感想を言い合った。部屋の隅にはメイド服に似た戦闘服を着たシオンが俯きながら、落ち着かない様子で指を組んだり解いたりしている。
 男子生徒達はひとしきり会長室の中を物色すると、誰ともなく全員が服を脱ぎ始めた。複数の全裸の男と際どいメイド服を着た女が一つの部屋にいる。落ち着いたカフェの様な会長室は、異様な雰囲気に包まれた。
「あの……」シオンが俯きなが言った。「本当に、これで皆さんが助かるんですよね……?」
 先日、男子生徒達に奉仕を強要させられ、なんとかその場は収まった。しかし翌日シオンが登校すると、靴箱に新たな封筒が入れられていた。中には昨日シオンが男子生徒達に奉仕している時の写真と、一週間以内に犯人を見つけられなかった場合は再び男子生徒達に奉仕をすること、奉仕しなかった場合は男子生徒達を手にかけるといった内容の手紙が入っていた。そしてシオンの調査にも関わらず男子生徒達を拘束した犯人は見つけることができず、被害者である男子生徒達も調査に非協力的……むしろ妨害するような素振りであったため、あえなく今日の期限を迎えてしまった。
 男子生徒達は下卑た笑いを浮かべながら残念だと言い合い、シオンに先日の戦闘服を着たまま生徒会長室で待機するように命令した。
「俺達も殺されたくないんだ、助けてくれよ会長」男子生徒の一人が会長室のソファに座りながら言った。足を開くと、既に勃起した男根が天井に向けて垂直に立ち上がる。「んじゃ、頼むぜ?」
 シオンは下唇を噛みながら男子生徒の足の間にひざまづくと、男根を両手で恐る恐る上下にしごいた。シルクの白手袋と包皮が擦れ会い、しゃりしゃりと音を立てる。
「うおっ……!? やべぇ……力加減が絶妙で……」
 ソファに座る男が仰け反ると、他の男達も息を荒げながらシオンを取り囲んだ。無理もない。金髪の美少女メイドが床にひざまづいて、ソファに踏ん反り返る男の肉棒に奉仕しているというシチュエーションだけで興奮するのだ。そしてそのメイドが自分達の憧れの生徒会長だとしたら、正気を保つ方が難しい。
「口も使えよ……頭良くても、こっちの覚えは悪いのか?」


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※文章、画像は全て縮小、切り取り処理をしております。また、修正は意図的に大きくしています。

冬コミを目指して制作していた本が、無事に印刷できる状態になりました。
何かトラブルが起きなければ当日に新刊が出せますので、興味がありましたらよろしくお願いいたします。

_イベント
 コミックマーケット91

_日時
 2016年12月31日(3日目)

_場所
 東京ビックサイト 東ホール タ56b

_新刊タイトル
【Mezzanine】

_内容
 B5サイズ フルカラー28ページ(文章部分9ページおよび奥付1ページはモノクロ)
 イラストは7シーン差分含め13枚(綾3シーン、美樹2シーン、シオン2シーン)
 キャラ紹介1枚(カラー)

_配布価格
 1,000円前後を予定

_注意
 今回の新刊はリョナはほとんど無く、当サークルのオリジナルキャラクターを使った二次創作的な内容になりますので、当サークルのキャラクターやストーリーと直接的な関係はありません
 また、ストレートな性描写が苦手な方はご注意ください。
※名義も二次創作用の「basement」を使用しております。

_サンプル(表紙)
サンプル2


_サンプル(綾)

 神崎綾はふらふらと階段を登ると、屋上に通じるドアのある踊り場に腰を降ろした。太ももに片肘をついて手の平に額を乗せると、肩に触れるか触れないか程度の長さの明るめの茶髪が重力で垂れて手の甲に触れる。
 ドアの前には使われなくなった机や椅子がバリケードの様に乱雑に置かれている。
 屋上は立ち入り禁止のため、わざとそうしているのだろう。
 人が来ることはほとんど無いから、綾は悩み事がある時は決まってここを訪れた。
 はぁ……と綾は長い溜息を吐いた。
 濃紺のダブルのブレザーに包まれた背中が微かに震えている。
「なんで……」綾が自分にしか聞こえない声量で呟いた声は、遠くから流れる部活動の声にすぐにかき消された。自分の髪から微かに香るシャンプーの香り。綾は顔を上げて右手に握りしめている写真を見ると、震える様なため息を吐いた。「……どうしよう」
 今朝、自分の靴箱の中で写真の入った茶封筒を見つけた。茶封筒は所々がヨレて古ぼけており、差出人も宛名も書かれていない。
 中に入っていた数枚の写真には、埠頭の倉庫群に佇む自分の姿が写っていた。
 覚えている。
 四日前の深夜に任務をこなした時のものだ。もちろん写真の中の自分は、いま身につけている母校の制服とは違う、組織から支給された戦闘服を着ている。戦闘服と言ってもショート丈になったセーラー服の様なもので、様々な機能はあるが一見して普通の服に見える。デザインも自由で、セーラー服を着たことが無い自分の憧れもあってこのデザインをリクエストしたものだ。写真は時系列になっていて、自分が大柄な男数人と対峙し、男の攻撃を難なく躱しながら打撃数発で全員をノックアウトする一部始終がはっきりと映っていた。

(明日の二十二時。この格好をして一人で体育倉庫に来い。来なければこの写真を個人情報付きでネットに流す)

 写真の裏には汚い字でそう書かれていた。
 ぐしゃり……と綾は写真を握る。歯を食いしばりすぎて折れそうだ。これは組織の存在が明るみに出る危機だと綾は思った。綾の所属する組織は人類を養分とする生物、「人妖」の発見と処分を目的としている。人妖は見た目は人と全く変わらないため、すでに多くが社会に紛れていると考えられている。一般に知れ渡ったらパニックが避けられないため、人妖や組織の存在は徹底した秘密主義が取られているのだ。もし自分の写真がきっかけで組織の存在が明るみになればと考えるとゾッとする。
「行くしか……ないよね」
 綾は頭を振りながら呟いた。組織の存在を知られるわけにはいかない。おそらく相手は一般人だ。隙を見て対処するしかない……。

 体育館の中は真っ暗だったが、よく見ると壁から一筋の光が漏れていた。壁に埋め込まれるように設計された体育倉庫の灯りが点いている。
 ごくり……と綾の喉が鳴る。
 母校の制服とは違う、短く茶色いプリーツスカートの裾を握ると、革の手袋が泣く様な音を立てて軋んだ。
 時刻は二十二時ちょうど。
 綾がなるべく音を立てないようにノックをすると、中からくぐもった声で「おう、入れ」という声が帰ってきた。思いつめた気持ちで鉄製の重い扉を開ける。
「おぉ……誰にも見られていないだろうなぁ?」
 積み上げられた白いマットの上には、灰色のツナギを着た男が座っていた。胸元に紺色の糸で「野崎」と刺繍されている。歳は四十代そこそこに見えるが、でっぷりと突き出た腹が怠惰な生活を思い起こさせた。
「……野崎……さん」
「まさか本当にその格好で来るとはな……。よくわからんが、止むに止まれぬ事情があるんだろう? それにしても、実際に見ると本当にエロい格好だなぁ」
 語尾を伸ばすしまりの無い声で野崎が言った。よりによってこの男か……と思い、綾は下唇を噛んだ。野崎はこの学校に体育教師として籍を置いているが、素行が悪く現在は授業や担当を受け持ってはいない。たまに用務員の様な雑用をしているところは目にするが、ほとんどは巡回と称して学園内を徘徊しているだけだ。盗撮用のカメラを仕掛けているとか、女子の持ち物を盗んでいるとか、悪い噂には事欠かない。
「いやぁ驚いたぜ神崎……最初は変な趣味でもあるのかと思ったぞ?」野崎が嫌らしい笑みを浮かべたままのっそりと立ち上がると、綾の背後に回り込む様にゆっくりと近づく。耳元に顔を近づけて、匂いを嗅ぐように鼻をすんすんと鳴らした。「まさか神崎がコスプレみてぇなセーラー服着て、ゴロツキ相手に大立ち回りとはな……度肝を抜かれたぜ」
「……写真」
「あぁ?」
「写真……返してくれませんか?」
 綾が背後の野崎を振り返り、出来るだけ低い声で言った。部屋の中を沈黙が包み、耳の奥がきぃんと鳴る。気圧されながらも至近距離で綾の整った顔を見た野崎は泣き笑いの様な曖昧な表情を浮かべていた。ヤニで汚れた歯と黄色い斑点のある白目が目に入り、綾は本能的に顔を逸らした。
「へへ、なんだよずいぶん思いつめてんな……ただならぬ事情ってやつか? 正体がバレるとまずい正義の味方でもしてんのかよ?」
「……言う必要は無いです」
「ふん……ま、俺は別に神崎が何をしていようが興味は無いんだがなぁ……」いきなり野崎の両手が背後から綾の胸を鷲掴みにした。ぐにゅぐにゅと捏ねる様に動かすと、張りのある肌と弾力が野崎の芋虫の様な指を押し返す。「この身体には滅茶苦茶興味があるんだよなぁ。それにこのエロいセーラー服……前から目をつけていたが、この写真を手に入れてからは何回も抜かせてもらったぜ」
「いッ?! や……このッ!」
「暴れんじゃねぇ! 自分の立場わかってんのかぁ? 変な気起こしてみろ。もうクリック一つで拡散する準備は出来てるんだぜ? 何なら今すぐやってやるぞ」
 野崎が画面の割れたスマートフォンを取り出す。どこかのSNSの画面が見えた。
「ぐっ……や、やめ……」
「やめてほしいんだろ? だったらそれなりの態度をしろや……」
「くっ……」
 野崎に背中から抱きかかえられる様な体勢で抵抗していた綾の動きが弱まる。振り返る様にして憎々しげに野崎を睨みつけるが、野崎は意に介さずにべとつく様な笑みを浮かべている。
「へへ……そういや何回もズリネタにはさせてもらったが、お前と実際に話すのはこれが初めてだなぁ。まずは挨拶代わりにキスでもしようや」
 綾の顎に手を当てて顔を動かせないように強引に固定すると、野崎は蛇が獲物に噛み付く様な素早さで綾の唇を吸った。
「んぅっ?! んんんッ!」
「んふふふ……ぢゅる……」
 野崎は左手で綾の胸をこね回しながら、右手で抱え込む様に綾の顔を押さえて唇と舌をねぶる。キスとはとても呼べない様な暴力に綾の目からは自然に涙が溢れた。粘度の高い体液にまみれたナメクジの様な舌の蹂躙は数分間続き、ようやく野崎は何本も糸を引きながら綾の唇を解放した。
「ぶはぁっ……へへ、どうだ? 気持ち良かっただろ?」
「うぁッ……はぁ……はぁ……」
「……何を泣いてるんだ? まさか初めてだったのかぁ? ひひ……気に入ったぜ。抵抗したらわかってるな?」
 ぶちゅっ……と音を立てて、再び野崎が綾の唇を吸う。放心状態で半開きだった口に強引に舌をねじ込まれ、綾は大きく目を見開いた。唇を奪われたと同時に錠剤の様なものが綾の口内に放り込まれたらしく、野崎の舌によって奥まで押し込まれた。一瞬のことに綾は考える間も無く反射的にそれを嚥下する。
「ぷはっ……はぁ……な、何……?」
「へへ……まったく至れり尽くせりだぜ。写真に加えて即効性の催淫剤まで用意してくれるなんてなぁ……今夜は楽しもうや」
「さ、催……淫……? う、うそ……んあぁッ?!」
 野崎が胸を揉みながら綾の首筋に舌を這わせ、右手をスカートの中に入れる。舌が首筋に触れた瞬間、綾の体がビクッと跳ねた。
「ん? なんだブラつけてねぇのか? へへ、満更でもねぇじゃねぇか……高校生だったら、これから自分が何をされるかわかるだろ? なぁ、神崎?」
 下水が泡立つような声で野崎が言った。ぞくりと綾の背中に鳥肌が立つ。だが、同時に血液が沸騰する様なゾクゾクとした感覚が太ももの辺りから湧き上がってきた。先ほど飲まされた催淫剤がもう効いてきたのだろうか。嫌だ。こんな男に体を触られて、反応するわけにはいかない。綾は必死に歯を食いしばって湧き上がる感覚に耐えた。
「や……やだ……お願い……」
「へへ……ま、初日だからな。今日は軽めのやつで勘弁してやるよ。そうだな……フェラチオで勘弁してやる。フェラは知ってるか? お前が俺のチンポを舐めたり、しゃぶったりして俺を気持ちよくさせるんだ。俺が満足できたら、今日だけは写真をばら撒くのを勘弁してやるよ」
「そ、そんなこと……できるわけ……」
「俺は別にどっちでもいいんだぜ? どうしてもってお願いするんなら、考えてやるって話だ……」
 野崎はスカートに手を入れて、焦らすように綾の太ももの内側を撫でさすりながら耳元で囁く。綾はふるふると首をふると、俯きながら目をぎゅっと閉じた。下腹部から湧き上がる感覚は既にドクドクと脈打つようになっており、全身が汗ばんでくる。まりの屈辱感に涙が溢れ、綾の視界がぼやける。おそらく野崎は勝ち誇った様な笑みを浮かべているだろう。
「う……す、すればいいんでしょ……この変態……」
「ひひ……なんとでも言えよ。俺も教師だからな、俺好みに奉仕できるように指導してやる」
 野崎はすごい勢いでツナギと下着を脱ぐと、弛みきった身体を晒してマットに仰向けに寝転んだ。綾は喉の奥でぐっと悲鳴を飲み込む。想像していたよりもかなり太い男根が、野崎の股間から天井に向かって隆起している。先端から溢れた先走りが蛍光灯の光を反射してぬらぬらと光り、まるで別の生物が野崎の股間を食い破って出てきた様に思えた。経験が無い自分にこんなものを挿れられたらと考えると、背中に冷たい汗が流れた。なんとか口だけで満足してもらわなければ……最悪の事態だけは避けなければならない。
「うぷっ……はぁ……んっ……んぐっ……んっ……」
「へへ……おっ……おおっ、神崎が……俺のを……ッ!」
 綾は憎々しげに野崎を睨みつけると、野崎の足の間に跪く様にして股間に顔を埋めた。嗅いだことの無いような臭いにむせそうになりながら、野崎の男根を咥える。強がってはみたもののどうしていいのかわからず、男根の先端を舌でちろちろとくすぐった。予想外の動きだったのか、野崎の身体がびくりと跳ねた。
「ぐうっ?! へへ……いきなり尿道責めとはな、お前才能あるぜ? よし、まずは舌で円を描く様に舐めまわしてみろ。ひひ……太くて大変だとは思うがな」
「んぐっ……ん……んぅっ……んっ……んふっ……」綾は難儀しながら舌を動かし、ゆっくりと舌を動かして言われた通り亀頭を舐め回した。指示通りに出来ているのかのかわからず、綾は上目遣いで野崎を見る。野崎もこちらを凝視しており、目が合った。位置的に野崎に見下されているようで情けない気持ちになったが、少なくとも痛がっている様子は無い。不本意だが早めに満足させて、一刻も早くこの行為を終わらせたかった。
「ぐぅっ……おおぉ……いいぜ。口の中に唾が溜まってるだろ? 俺に聞こえるように音を立てて飲み込め」
「ん……ごきゅ……ごくっ……ん、んふぅっ」
 男根の臭いが鼻に抜け、綾は溜息を漏らした。催淫剤の効果なのか、嫌悪感が徐々に薄れてくる。頭に霧がかかるようにぼうっとしてきた。まるで男根の熱が口内を通じて、脳を徐々に溶かしているみたいだ。
「いいぜ……次は上下運動だ。唇を窄めて、竿全体をしごく様に動いてみろ」
「んぅっ……んっ……んっ……んぐっ……」
「もっと唇を締めろ。さっきみたいにこっちを見ながらしゃぶれ。上目遣いでな」
「んふぅっ……んぅっ……んっ……」
「もっと奥まで咥えろ。チッ、仕方ねぇ……手伝ってやるよ」
 不意に綾の頭を撫でる様に野崎の手が添えられる。綾が不思議に思って野崎をちらりと見た瞬間、強引に頭を野崎の体に引き寄せられた。喉奥まで男根を突き込まれ、予想外の出来事に綾の目が大きく見開かれる。
「ぐぼぉッ?! ごっ! ぐぅッ! おおッ!」
「へへへ……これがイラマチオってやつだ。男が主導権を握って、女の口をオナホールにするやり方さ。お前をズリネタにする時は毎回させてもらったぜ……」野崎は綾の頭を両手で押さえたまま、自分の腹に綾の鼻を打ち付けるようにして揺り動かした。綾は呼吸もままならず、必死に野崎の太ももの付け根を押さえて少しでも抽送が浅くなるように抵抗する。涙を流しながら苦しそうな表情を浮かべる綾を見下すと、ゾクゾクとした征服感が野崎の背中を駆け上がった。「おおぉ……へへ、オナニーの鉄板ネタだからな……もう出ちまいそうだ。男がこの後どうなるか知ってんだろ? じっくり味わってから飲めよ?」
「んぅ? ん、んうぅッ?! んんんッ!」
 一瞬遅れて野崎の言葉の意味を理解し、綾が必死に首をふる。男の性的快感が高まると射精することは知識として知ってはいたが、まさかこのまま自分の口の中に出されるなんて聞いていない。精液自体もどんなものかよく分からないのに、ましてや「味わってから飲む」なんて出来るわけがない。百歩譲って将来できるかもしれない恋人の出したものならともかく、相手は嫌悪感すら抱いている野崎だ。その野崎の精液を……。
 綾は野崎の腹を押して必死に男根を引き抜こうとするが、体制的に頭をがっしりと押さえられて抜くことが出来ず、むしろそれが上下運動となって野崎の射精感を高める助けになっていた。野崎の腰がビクビクと痙攣し始める。
「うおぉぉッ! 出るッ! 神崎に……おほッ!? おおおッ!」
「んぅッ! んんんッ! んぅっ……ゔッ?! んぶぅッ?! んんんんんッ!!」
 男根がブルッと震えると、口の中で水道の蛇口を開けられた様に、野崎の男根から大量の粘液が綾の口内にぶちまけられた。射精の勢いと熱さに驚いて綾は大きく目を見開く。綾がパニックになって思考が飛んでいる間にも、ゴムのポンプから断続的に押し出される様に射精は続き、口の端からドボドボと溢れた。
「飲め! こぼしてんじゃねぇぞ。お前が出させたんだからな……責任持ってありがたく受け止めろ」
「んっ……んあぁ……うぅぅッ」
 ここまでしたのに、満足してもらえずに写真をばら撒かれたらたまらない。あまりのことに綾は涙を流しながら、しがみ付く様にして必死に野崎の男根を咥え続けた。まさか射精がこんなにも暴力的なものだったなんて……そしてその射精自体が自分のフェラチオによってもたらされた結果だなんてと考えると、無性に切なさと虚しさが湧き上がってきた。だが、同時に下腹部のあたりが熱を持っているのも感じる。女性としての本能が催淫剤で増幅させられっているのかもしれない。精液の熱が。脳に。
「ぐぅぅっ……よし……そのまま口の中に溜めてろ」ちゅぽん……と音を立てて野崎の男根が綾の口から抜かれる。綾は鈍った思考のまま、風船のように膨らんだ頬に精液を溜めて涙目で野崎を見た。「へへ……エロいな。そのままじっくり味わえ。舌で転がすようにして味わったら、口をゆすぐみてぇにグチュグチュしてみろ」
「んうっ……んっ……んっ……うぷっ……んぐっ」
「ひひひ……すげぇ征服感だぜ。どうだ? わざわざお前のために出してやった精液の味は?」
「うぷっ……んぶぅっ」
 綾が泣きそうな顔をして首を横に振る。
「へへ……そうか、そんなに美味いか。そろそろ飲んでもいいぞ」
「んっ……ごきゅッ……ごくッ……ごく……ぷはぁッ! はぁ……おぇっ……はぁ……はぁ……」
 仰向けに寝そべった野崎に土下座をする様な体勢で、綾はマットに両手を着いたまま肩で息をした。嘔吐感を必死に堪えているのだろう、額には脂汗で前髪が貼り付き、思いつめた様な表情をしている。射精したばかりの野崎は、一度引きかけた情欲が睾丸のあたりから再び湧き上がってくるのを感じた。


サンプル1


※文章、画像は全て縮小、切り取り処理をしております。また、修正は意図的に大きくしています。

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