口内をまさぐる粘ついた感触。まるで太いナマコが口の中を這い回っているような錯覚に襲われる。由里は嫌悪感と共に目を覚ますと、目の前には男の顔があり、一心不乱に自分の唇を吸っていた。

 

「む?…んん!?…んんむぅ!!」

 

あわてて顔を背け、男と繋がった唇を離す。口の中にはまだ男の生臭い体液の味と、今流し込まれた唾液の味が残っていた。

 

「お、おはよう由里ちゃん。お、おいしい唾液だったよ…ととと、蕩けそうだ…。ゆ、由羅ちゃんも全然起きないから、が、我慢できなくてねぇ…」

 

「ゆ、由羅!?き、キモオタさん…な、何でこんなことするんですか?わ、私…」

 

「は、初めてだったのかい?ぶふふ…大丈夫だよ。もう由里ちゃんは僕のものだからね。僕以外の人とキスなんてしないよ。ぼ、僕の体液にはね、び、微力ながら相手を魅了する力があるんだ。き、きっと、だんだん我慢が出来なくなってくるよ」

 

由里は先ほど飲まされた男の体液の味を思い出して吐き気を催した。しかし、それ以上に後ろ手に手を縛られ自分の足下に倒れている由羅の安否が気になった。仰向けに倒れ、完全に失神している。

 

「こ、こんなこと…お、お願いします…もう止めてください…由羅…由羅と、倉庫の人たちを助けてください…」

 

「ぶふふふ、そ、そうはいかないよ。ぼ、僕も生きるためにはそれなりの糧が必要だからね。ま、まぁ倉庫の女達は飽きたから解放しても良いけど、君たち2人はそう簡単に手放せないなぁ…と、特に、ゆ、由羅ちゃんのお腹を殴られた時の表情がたまらなくてね…ふ、普段強気の顔が苦痛に歪んで…も、もっと虐めたくなってくるよ!」

 

「や、やめて!お願いします、私は何でもしますから、ゆ、由羅にこれ以上…」

 

「ぐふふ、さ、さっきもそう言って、ぼ、僕のを舐めてくれたよね。ほ、本当に妹思いだ…。じ、じゃあ由羅ちゃん以上に良い表情を見せてくれるかい?」

 

「えっ…?」

 

「ぐひひひ、ゆ、由羅ちゃんの分までいたぶらせてってことだよ。お、お腹をたくさん虐めてあげるから、たくさん感じてねって意味だよ…。こ、怖いかい?」

 

当然怖いに決まっている。先ほどの戦闘で男の重い拳を何発も受けて来たので、その威力は身体で理解している。しかも今自分はボイラーに縛り付けられ、男の攻撃をかわすどころかガードすることも出来ない。その上背後に密着したボイラーのせいで、衝撃を後ろに受け流せずにダメージが100%自分に降り掛かってくる。想像を絶する苦痛が自分を襲うだろう。

しかし、それ以上に由羅を助けたいという気持ちが勝り、由里は男に進言した

 

「わ、わかりました…。な、何でもしてください…。い、虐めたいなら…たくさん虐めていいですから…だから由羅は…」

 

男はニタリと満足そうに笑うと、じっくりと時間をかけて拳を引き絞り、おびえた表情の由里の腹に狙いを定めた。

 

「あ……ああ……」

 

由里の身体が恐怖のために小刻みに震える。

 

「ほ、ほら…いくよ…いくよぉ…」

 

「ゆ…由羅……私………頑張るから………」

 

ドギュウッ!!

 

男は容赦なく由里のくびれた腹部に拳を埋め、しばらく抜かずに腹の感触を味わった。

 

「う…うぐぅっ!?………あ、あうぅ……」

 

「ほらぁ…顔を良く見せてぇ…」

 

男は右手で由里の腹を嬲りつつけ、左手で髪を掴み顔を上げさせる。

 

「あ…あぐ…く、苦し……えぅ……」

 

「んん~。思った通り由里ちゃんの方が腹筋が弱いみたいだねぇ。柔らかくて、内蔵の感触まで分かるよ…表情も…」

 

ズッ……ズギュッ!!

 

「がっ…がはぁっ!!あ…みぞ…おちに…」

 

男は勢いよく由里の腹から拳を引き抜くと、すぐさま鳩尾を貫いた。由里は一瞬目の前が暗くなるほどの衝撃を受けたが、それは絶妙に急所から外され、失神するまでは至らなかった。男は無理矢理上げさせている由里の顔が苦痛に歪むのを満足そうに覗き込んでいた。

 

「ぐふふふふ…いいねぇ…由里ちゃんの弱々しい表情もそそるよぉ…。ゆ、由里ちゃんはじわじわ攻めた方がいいねぇ…」

 

男は鳩尾に埋まったままの拳を捻り、さらに奥まで埋めた。男の力任せの攻めを、自由を奪われている由里はただただ受け止めるしかなかった。

 

グリィィィィ!!

 

「ぐっ!?ぐあぁぁぁ!!がっ…あぐっ…や……やぁぁ……」

 

ぴったりとしたレオタードによって浮き上がらされた由里の滑らかなラインを描く胸の間に、男のゴツゴツとした腕が痛々しく突き刺さっている。

 

「むふふふ……いい……いいよぉ……キ、キスしようかぁ?」

 

「んむっ!?……ぐ……んんむぅ……」

 

男は拳でぐりぐりと由里の腹部を嬲りながら、同時に由里の口内を蹂躙した。上唇と歯の間を舐め、舌の裏側をくすぐり、舌全体を啜った。由里は男の唾液の効果で徐々に頭がぼーっとなり、身体の中心が熱を帯びる感覚を味わった。

 

「ぷぁっ……うぅ……腕……抜いて……下さい」

 

「むふぅ…美味しいよぉ…う、腕は抜けないなぁ…む、むしろ増やしてあげるよ?」

 

男はおもむろに顔を上げさせている左手を離し、右手を鳩尾に埋めたまま左手で由里のへその辺りを容赦なく突き刺した。レオタードが男の拳を巻き込み、痛々しく陥没する。

 

ズギュゥッ!!

 

「がぶぅぅうう!!あ…ああ…」

 

予想外の上下への同時攻撃に、由里の小さな桜色の唇からはあふれた唾液が一筋流れ伝い

、垂れがちの目が大きく見開かれた。

 

「おおおお…こ、これはいい…じゃ、じゃあ、両手で胃を挟み込んであげるよぉ!」

 

ボグッ!!ズギュゥッ!!!

 

「げふぅ!!う…うぇぁぁぁぁぁ………」

 

両手の拳が同時に由里の腹部に埋まり、左右から胃を押しつぶした。先ほど無理矢理飲まされた男の白い体液が逆流し、胃液と一緒にボタボタと地面に落ちる。

 

「あああ…凄いよぉ。ぼ、僕のここも、凄いことになってるよぉ…」

 

男はスラックスのジッパーを下げると、バネのように勢い良く肉棒が跳ね上がり、自分のでっぷりと突き出た腹に当たった。赤黒く攻撃的に勃起したそれは男の興奮の度合いを表し、今にも由里に襲いかかってきそうな勢いだった。

 

「あ…ああ…そ、そんなに大きく…で、でも…私……もう……」

 

「ぐふふふ、ゆ、由里ちゃんのせいだからね。ど、どうやって鎮めてもらおうかなぁ?」

 

男は再び由里の髪を掴み、拳を握りしめると、足下からくぐもった声が聞こえた。

 

「ん……ゆ、由里…?」

 

由羅が目を覚ますと、真っ先に由里の惨状が目に飛び込んで来て、顔から血の気が引いて行った。

 

「ん…くぅ……わ、私…どうなって…?……!?こ、これは」

由羅が目を覚ますと、すぐに自分の体の異変に気づいた。由羅はボイラーのレバーや支柱に手足を大の字で開かれたまま固定されていた。腕や足にはギチギチと痛々しいほど工事用のナイロンロープが食い込み、ロープの跡が赤く腫れていた。

「ぐふふふ、い、いい格好だよ由羅ちゃん。無防備で。な、何も出来ないでしょ?」

「お前…この…卑怯者!な、何する気よ?」

精一杯強がって見せるが、その目には明らかに恐怖に怯える色をしていた。このような状態にされて、男に自分がされることといえば決まっている。犯されるか、いたぶられるか、最悪殺されるか…。どちらにしろ、ろくな目にあわないのは決まっている。視線を泳がすと、男の後ろに由里が倒れていた。由里は両手を後ろに回され、由羅と同じ工事用のロープで手首を縛られ寝かされていた。

「ゆ、由里!?どこまで外道なのお前は!?」

「ひひひひ…さぁて、目が覚めたばかりで悪いけど、さ、早速楽しませてもらうよ…。ぼ、僕のここも、もう爆発しそうになってるからね…」

男が由羅の前に立ち、頭を掴んで下を向けさせる。

「あっ!な、なにす…あぁぁ……」

由羅の視線の先には、はちきれそうなほど膨れ上がった男の男根が、スラックスのファスナーの間からそそり勃っていた。

「ふ、2人が可愛過ぎるせいで、こ、こんなになっちゃったんだよ!せ、責任取ってくれるよね?」

「ど、どうしろって言うのよ!?そんな汚いもの…早くしまってよ…」

初めて見る男性器に顔を真っ赤にして目をそらすが、頭をがっしりと押さえつけられているために嫌でも視界に入ってしまう。由羅としても興味が無いわけではない年頃なので、目をそらしてもまたチラチラとそれを盗み見てしまう。

「ぐふふ…興味津々なんだね由羅ちゃん。さっきからもの欲しそうに見ちゃって…」

「なっ!?ち、ちがっ…こんなの、全然」

「そ、それなら、もっと大きくなるように協力してもらおうかぁ?」

「き、協力って……何すれ……ぶぐぅぅぅぅ!!」

背中に感じる冷たく固い金属の感触と、男の鈍器のような拳が与える激痛。その間に挟まれ、由羅の細い腹部は痛々しいほどひしゃげられていた。

「がっ!?がっ…あ…」

「ぐふふふ、い、いいよぉ…。ぼ、僕はこういうのじゃないと興奮しないからねぇ…も、もっと苦しんでる顔を見せておくれ」

「こ……この……変態……うぐあぁああ!!」

「いい…いいよぉ…お腹を殴られてる女の子の表情はこの上なく卑猥だねぇ。も、もっと見せて」

ズギュッ!ドブッ!グチッ!ドギュウッ!!

「ごふっ!!ぐはぁあ!!…や、やめ…うぐっ!?ぐはぁああ!!」

絶え間無く与えられる苦痛。由羅は口の端から飲み込めなくなった唾液を垂らしながら喘ぎ続けた。

 



数分後、由里が目を覚ますと視界に映ったのは男の後姿と、その向こうでボイラーに縛り付けられぐったりとうなだれる由羅の姿だった。手は縛られていたものの、自由な足で這うようにして近づいていった。

「ゆ、由羅を離して!…お、お願い、もうやめて!わ、私が…私が何でもするから!」

「ぐふふ…お、お、お姉ちゃんはずいぶんお寝坊さんなんだねぇ…」

「……由里……ダメ…由里だけでも……ここから…逃げ……」

「だめだよ!お願い!私が何でもするから!これ以上由羅に酷いことしないで!」

「ひっ…ひひひ…何でも…かい?」

「うん、何でもする!だから…」

「由里……だめ……」

「ぐふふ…それじゃあ、こ、これの相手をしてもらおうかなぁ…」

「ひ、ひっ!?」

男は由里に向き直ると、露出しっぱなしの男根を由里に見せつけた。それは執拗なほどの由羅への攻撃で男の興奮が最高潮に達し、赤黒く変色した先からは透明な液がにじみ出ていた。あまりのグロテスクさに由里は小さく悲鳴をあげてしまう。

「ひひひひ、お、お姉ちゃんも見るのは初めてかい?な、何でもするって言ったよねぇ?じ、じゃあ、由羅ちゃんの前でこっち向きに膝まづいて…」

由里は素直に由羅の前に行くと、男に向かって両膝をついた。

「こ、これでいいの?な、何をすれば…?」

「ぐふふふ…僕のこれを舐めて、もっと気持ち良くしてもおうかなぁ?」

「なっ!?この変態!!どこまで性根が腐って…うぐうっ!!」

男のあまりの要求に激高した由羅だが、すぐに男の拳が由羅の腹に突き刺さる。由里の目の前で男の男根がびくりと跳ねた。

「わ、わかりました!舐めます!舐めますから…これ以上由羅をいじめないで!」

「ぐふふふ…いいよぉ…それじゃあ、は、早くしてもらおうか?」

由里は当然フェラチオなど未経験であるどころか、なぜ男が男根を舐めさせたがっているかすらも理解できなかった。しかし、それ以上に由羅を助けたいという気持ちが勝り、しばらく躊躇いがちに男根を見つめていたが、意を決して口に咥え込んだ。

「んむっ……うっ……おぇ……ん……んんん……」

男根は強烈な匂いと味を放っており、思わず胃液が逆流してくるのを感じたが、必死に耐えて咥え続けた。しかし、舐めろと言われたもののどうやっていいかわからず、ただ舌先でおずおずと先をくすぐるくらいしかできなかった。

「んん~。おっ…おお…。くくく、ゆ、由里ちゃんが、ぼ、僕のを…。で、でも、やり方が分からないみたいだねぇ…。口をすぼめて、くちびる全体で上下にしごいて…あ、あと、吸いながら舌を絡めて舐めまわしてぇ…」

「げほっ…うぇ…や、やめ…由里……こんな、こんなの…」

由羅は自分の足元で繰り広げられる痴態に涙を浮かべながら、自分のせいで由里をこんな目にあわせてしまったと思い、胸が張り裂けそうな気分を味わっていた。

「むちゅっ…んむ…ん…んん……んくっ……」

「そ、そうだよ…こ、このぎこちなさが…た、たまった唾液は音を立てて飲み込むんだよ…こ、こっちを見ながらね…」

「む…むぅ……ごきゅ……ごきゅ……ごきゅ……んふぅ…んんぅ……」

由里は素直に上目づかいで溜まった唾を音を立てて飲み干した。年端も行かぬ魔法少女のような格好をした少女が、許しを請うような視線を自分に向けながら肉棒に奉仕を続けている。その様子はたまらなく背徳的でいやらしかった。

「あ、ああ!あああ!た、たまらないよ!ゆ、由羅ちゃんも、き、協力して!!」

ズギュウ!ボグッ!!ズムッ!!

「ぐうっ!?がぶぅっ!!ぐぇあぁ!!!…あ……あああ」

「む!?んむぅぅぅ!!ん?んぐ!?んっ!んっ!んっ!んっ!」

男は熱に浮かされたように由羅に攻撃すると、由里の口の中で男根がビクリと跳ねた。由里は話が違うと抗議の目を男に向けるが、すぐさま頭を両手で押さえつけられ強引に前後に揺さぶられた。

「ああ!ああああ!!さ、最高だよ!!で、出る!!出るよぉ!!ぶっ!?ぶぎぃぃいいい!!!」

どびゅぅぅぅぅぅ!!ぶびゅっ!!ぶびゅぅぅぅ!!

「んぐぅぅぅぅぅ!!!??ごきゅっ…ごきゅっ…ごきゅっ…んんっ!?んんんん!!」

男は躊躇することなく、由里の小さい口に体液を吐き出した。たちまち由里の口内は男のものでいっぱいになり、飲みきれずに男根を吐き出すと顔じゅうを白濁で汚されていった。

「ああああああ…ゆ、由里ちゃんが、由里ちゃんが僕の汚いので……あああ」

「い、いやぁぁ…あぶっ!?な、なに、これぇ……んぶっ」

男の射精は数十秒続き、終わる頃には由里は顔だけでなく全身を真っ白に汚され、放心状態で男を見上げていた。

「お、おおぉ…す、すごい出たよ…き、気持ちいいぃ…。ど、どうだい由里ちゃん。初めての男の味は?お、美味しかったかい?」

由里はショックで遠くを向いたまま、男の言葉は耳に入っていないようであった。男は笑みを浮かべると

「ぐふふ、さて、由羅ちゃんも失神しちゃったし。由羅ちゃんにも味見をしてもらわないとねぇ…」

男は由羅を拘束しているロープを引きちぎると、今度は由里をボイラーに縛りつけ始めた。

「げっ…げうっ…うあぁぁ……」

数分後、男の猛攻を受け続け、地面に倒れこむ由羅の姿があった。左手で集中的にいたぶられた腹部を押さえ、あえぎ続ける。

「ぐ、ぐふふふ、よ、よく耐えたね。こ、こんなに強い女の子は、は、初めてだよ」

由羅はいまいち焦点の合わない目で前方を見ると、由里がよろよろと起き上がる姿が見えた。

「あ…えぅっ…ぐはっ…あ…はぁ…はぁ…由羅…大丈夫?」

「ゆ、由里こそ…立って大丈夫なの?くぅっ…」

その姿に励まされ、由羅も同じように立ち上がる。由里が由羅に歩み寄り、手を貸して起き上がるのを手伝う。

「こ…こいつ…何で…?急に強くなるなんて。今まで手加減してたってこと?」

「わ、わからないよ…。でも、倒すしかない…」

「由里…いける?」

「うん…」

2人は同時に男に対し、同時に構えを取る。男は余裕の表情で笑みを浮かべ、手招きをして挑発する。

「はあぁぁぁぁ!!」

「やあぁぁぁぁ!!」

由羅の蹴り、由里の突きが同時に襲い掛かるが、男は涼しい顔をして二人の攻撃をガードする。いや、数発は確かに当たっているが、全くダメージを感じていないようだ。しばらく黙って2人の攻撃を受けていたが、不意に攻撃の矛先を由羅に向けた。

「しぃっ!はっ!!…え?…」

ドギュッ!!

「ぐふぅぅ!!……うぐ……この……」

ズギュッ!!

「がはぁあ!!」

「ゆ、由羅!?大丈…」

「ぐふふ…よそ見してていいのかなぁ?」

ボグゥッ!!

「えっ……ぐ!?ぐぅあぁぁぁ!!」

スブゥッ!!

ドムッ!!

「うぐあぁぁ!!」

「あぐぅぅぅ!!」

「おっと、倒れるにはまだ早いよ」

男はダウンしかけた2人の胸倉を掴むと無理やり立たせ、舐めるように2人の体を凝視した・

「あ、あぅぅ…な、なんで…こんな…」

「げ、げほっ…す、すごい力…」

「ぶ、ぶふぅ…ふ、不思議がっているようだね?い、いいよ。教えてあげる。ぼ、僕の体や汗から出る体臭はね、人間の筋力を徐々に麻痺させる効果があるんだよぉ…。だ、だから、僕は手加減なんてしてないし、き、君達が勝手に、弱くなってるだけなんだよぉ…」

「な、なんですって…」

「嘘…そんなの、聞いてない…」

「ぶふふふ…や、やっと利いたみたいで、あ、安心したよ。こういう狭い部屋に逃げ込めば、たいてい数分時間稼ぎすれば効果があるのに、ぜ、ぜんぜん利かなかったから…」

「だ、だからあんなに…自分のことばかりべらべら喋ってたのね」

「わざと攻撃させてたのも…効果を確かめたかったからなの?」

「そ、その通りだよ…ぼ、僕は殴られて喜ぶ趣味は、な、無いからね!いやぁ、一時は本当に焦ったけど、こ、こうなったらもう2人は僕のものだからねぇ…さ、さっきはよくも苛めてくれたねぇ…たっぷりお礼をしてあげるよぉ…」

男はボイラーまで2人を連れて行き、由羅をボイラーの壁に背中をつけて立たせると、近くに落ちていた木片を由羅の腹部に押し当て、重なるように由里の背中を押して叩きつけた。

「ぐはぁぁっ!!」

「あぐぅぅぅ!!」

男は両手でボイラーを固定しているバーを握ると、由里の背中に自分の腹を押し当て、力任せに腕を引いた。由里と由羅はボイラーと男にサンドイッチのように挟まれ、ギュウギュウと締め付けられた。互いの腹部に挟まれた木片が絶えず苦痛を与え続ける。

「うぐっ!!あ…由里…由里ぃ……」

「由羅ぁぁ…ぐぅっ…あ、く、苦し…」

「ぐ、ぐふふ、どうだい?お互いの苦しんでいる顔がよぉく見えるだろ?お、おなかの力を抜けば、相手は苦しくなくなるかもねぇ…」

その言葉を聞いて、すぐさま由羅は腹筋を緩めた。途端に木片が自分の腹部に深くうずまる。

ズブゥゥッ!

「ぐ!?ぐぶぁぁっ!……ああ…」

「由羅!?ま、待って…私も…ああっ!?ぐぅぅぅ!」

二人はお互いを苦しめないように、ほぼ同時に腹筋を緩めたが、それは木片をますます2人の中にめり込ませただけだった。

「ふ、2人は本当に、お互いが大好きなんだね?ぐふふふ、いいことを思いついたよ。ちょっと眠ってもらうよぉ」

男は渾身の力で腕を引き付けた。同時に木片が見えなくなるほど由里と由羅の間にめり込み。短い悲鳴を上げるとほぼ同時に気を失った。

「ふぅぅ、ふぅぅ。た、楽しい夜になりそうだよ。さて、工事用のロープがその辺に…」

男は工事用の黄色と黒のロープを拾うと、気を失っている由羅をボイラーに縛りつけ始めた。

「いぎっ…いぎぃ……」

 

男はかれこれ1時間ほど2人の攻撃を受け続け、コンクリートの床に芋虫のように転がっていた。由羅に蹴られ、由里に殴られても、男は反撃らしい反撃を殆どせず、むしろ攻撃されるのを喜んでいるようであった。

 

「はぁ…はぁ…どうなの…?もう満足したでしょ?いい加減にくだばりなさいよ…」

 

由羅が息を切らしながら男に尋ねる。一方的に攻撃しているとはいえ、休む間もない攻撃の連続はかなりの体力を消耗する。しかし男はどんなに攻撃を受けても、何度も立ち上がり一向に力尽きる様子は無い。再びむくりと男が起き上がる。

 

「ふぅ…ふぅ…。す、すごいよ。2人とも、す、凄く強いんだね。ぐふふ。も、もっと、もっと攻撃して…ゆ、由里ちゃぁぁん!!」

 

男は由里に突進し、抱きつくように両手を広げる

 

「い、いやぁぁぁ!こ、来ないでください!」

 

由里のアッパーが男の顎にしたたかに入り、すぐさまがら空きのブヨブヨの腹に強烈なストレートを見舞った。

 

「何してんのよぉぉぉ!!」

 

後頭部めがけ由羅の飛び膝蹴りが決まり、前のめりに倒れかけたところを由里のボディブローが見事に入った。

 

「ぐぶぉぉぉぉ……ぐふ…ぐふふ…」

 

男はヨロヨロと数歩下がり腹をおさえて呻くが、その顔には笑みが浮かんでいた。

 

「え……?」

 

「た、倒れない…の?」

 

今まで由里か由羅のどちらか一方の攻撃を受けても昏倒していた男が、アンチレジストでもトップクラスの2人の連携技をまともに食らって倒れないはずがない。 様子が違う男の態度に2人は動揺していた。

 

「ど、どうしたんだい…は、早く、も、もっと殴ったり蹴ったりしてよ…ゆ、由羅ちゃんも、もっと罵ってよぉ…」

 

「こいつ!たまたま甘く入ったくらいで、調子に乗るんじゃないわよ!」

 

「もう…次で決めるから!」

 

2人は同時に男に向かって駆け出す。由羅は甘く入ったと言うが、そんなはずが無いことは自分が一番よく知っている。あれは確実に男の後頭部をとらえていた。それに加え直後に由里のボディーブローもまともに入っている。あれほどの攻撃で倒れないわけが無い。

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

左右から同時に由羅の蹴り、由里の突きが男にショットガンのように襲いかかる。しかし、見る見るうちに男の様子は変わって行った。

 

「ぐっ!痛い!い、痛いぃぃ!も、もっと…もっとだよぉ…」

 

「ぐっ!、こ、このぉ!!」

 

「えいっ!えいっ!…な、何で?」

 

男はもはやよろけることも無くなり、最初こそ痛がっていたものの、15秒ほど攻撃を受けている間には徐々にダメージすらも受けてないように見えなくなって行った。由里と由羅の表情に焦りと戸惑いの色が現れる。

 

「ほらぁ…もっと蹴ってぇ…由里ちゃんも、も、もう少し強く殴ってくれないと、ぜ、全然感じないよぉ…あれ?な、何でやめちゃうんだい?」

 

「はぁっ!はぁっ!はぁっ…な、何なの?」

 

「う…嘘…。全然…きいてない…」

 

「ほ、ほらぁ…な、なんで来てくれないの?こ、こここ、来ないなら…」

 

男の目がぎらりと光る。

 

「こ、こっちから行くよ!」

 

 

ズギュッ!!!

 

ドブゥッ!!!

 

「うぐぅっ!!??うぐぅあぁぁぁぁぁ!!」

 

「うぶぅっ!?……ぁ……ぁ……!!!」

 

男の左右の手が同時に高速で動き、脂肪で膨らんだ鈍器のような拳が正確に由里と由羅の腹部にめり込んだ。由羅は目を見開いて嘔吐き、由里は呼吸もままならないほどの衝撃を受け止めた。

 

「ぐふふふふ……ふ、2人とも…仲良く食らっちゃったねぇ…ど、どうだい?ぼ、僕の攻撃は?」

 

「あ…あぐ…ぁ…。ま、まぐれ当たりで…いい気になるんじゃ…ないわよ…。は、早く…これ…抜きなさいよぉ…」

 

男は2人の腹部に拳をうずめたまま、にやぁと下品な笑みを浮かべた。

 

「んん~。そ、そんなこと言っていいのかい、ゆ、由羅ちゃん?だ、大好きなお姉ちゃんが、く、苦しんじゃうよ?」

 

由羅はびくりとなって男にすがるような目を向ける。この日初めて見せた弱々しい表情だった。

 

「な、何する気?ゆ…うぐっ…由里を…離してよ」

 

由羅は自分も同じように拳を突き刺されたままの状態であるにもかかわらず、由里の解放を求める。由里は下を向いたまま、息が継げない状態で小刻みに痙攣していた。

 

「ほ、本当にお姉ちゃんが大好きなんだねぇ…由羅ちゃんは…。ぐふふ、ゆ、由里ちゃんの方が、こ、拳が深く入っちゃったから、く、苦しいだろうねぇ?」

 

「げ、外道!…うぅっ……ゆ、由里だけでも…離して」

 

「んふぅ~。そ、そうはいかないよ?んー、こ、これは由里ちゃんの胃かな?ぐふふ、隣でお姉ちゃんが苦しむ様子を見せてあげるからね…」

 

「な、なに…する…や、やめ…」

 

由羅が精一杯静止の言葉を口にするが、男は容赦なく由里の胃を捕まえ、強引に握りつぶした。

 

グギュゥゥゥゥゥ!!!

 

「ぐ!?ぐぶっ!!??ごぶぅぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「ゆ、由里!?由里ぃぃ!!」

 

ビクンと由里の身体が跳ねると、大きくガクガクと痙攣したまま黄色い胃液を吐いた。

 

「あ…ああ……ああああ……」

 

「い、いやぁぁぁぁ!」

 

白目を剥いて痙攣し続ける由里を見て、由羅が悲鳴を上げる。男は投げ捨てるように由里を地面に突き倒した。

 

「ゆ、由里!?んむぅぅぅぅ!!??」

 

由羅は慌てて由里に駆け寄ろうとするが、すぐさま男に捕まり、右手で口を塞がれる。喋れない状態のまま キッと男を睨みつけた。

 

「ん、んんー!!んー!!」

 

「ぐふぅ…ゆ、由羅ちゃん…さ、さっきはたくさんたくさん蹴ってくれたよねぇ…す、凄く気持ちよかったよ…ぐふふ、お、お礼に、こ、今度は僕がたくさんたくさんたくさんたくさん…蹴ってあげるからねぇ…」

 

「ん!?んん…んんー!」

 

由里の瞳に恐怖の色が浮かび、目が泳ぎはじめる。逃れようとするが、男の強い力で押さえつけられており、首をわずかに動かすことで精一杯だった。

 

「膝蹴りが凄く気持ちよかったよ…こ、こんな短い足で申し訳ないけど…ぼ、僕も膝で蹴ってあげるね…」

 

ズギュゥッ!!

 

「ぐっ!?ぐむぅぅぅぅ!!!」

 

男は強引に由羅の身体を直立させると、丸太のような膝を由羅の細い腹部にめり込ませた。想像を絶する衝撃に由羅の身体がくの字に折れ、男の手の間からくぐもった悲鳴が漏れる。

 

ズギュッ!ズギュッ!ズギュッ!ズギュゥゥッッ!!

 

「ぐぶっ!!ぐむっ!んむぅっ!!んぶぅぅぅっ!!!」

 

口を塞がれているせいで、まともに悲鳴すら出せない由羅。男の一撃一撃は非常に重く

、食らうたびに視界が狭くなって行くのを感じた。

 

「ゆ、由羅ちゃん、や、止めて欲しい時はいつでも言ってねぇ?あんまり我慢してると…」

 

男は笑みを浮かべると由羅の口をおさえている手に力を込めた。

 

「死んじゃうかもよ?ちゃあんと『止めて』って言ってねぇ…」

 

由羅の瞳が絶望に染まる。下を見るとものすごいスピードで男の膝が自分の腹に飛び込んでくる所だった。

ご機嫌いかがでしょうか?
number_55です。

おかげさまで開設当初から安定したアクセス数をいただき、右のロゴから行けるブログランキングも現在6位~8位という上位をいただいております。ありがとうございます。


さて、現在製作中のcase:TWINSですが、冒頭は腹パンチがほとんど無い状態で進行しており、期待されておられる方には申し訳なく面っています。

個人的に腹パンチはある程度のストーリーとシチュエーションあって引き立つものと考えており、今回はキャラクターにもある程度性格と個性を与えることを念頭において製作しております。


今回ので大体キャラ説明は書き終えたので、次回から腹パンチ劇場開幕です。


勝利間近になって調子に乗っていたら逆転されて、徐々に追い詰められていくシチュエーションは気合いが入りますね。


ではまた次回

様々なものが雑然と放置されている廃工場の中は、まるで機械で出来た動物の胃袋を思わせる。電気が通っているのか、ぽつぽつと等間隔に吊るされた裸電球が弱々しい光を落としながら、鉄骨とコンクリートの影を浮かび上がらせていた。

 

「明かりが付いてる…やっぱりこの中に居るんだ…」

 

「中に入ったきり出て来て無いって言ってたから、キモオタさんもきっと居るよ…」

 

「由里、そのキモオタさんって呼び方、もしかして気に入ってる?」

 

「…」

 

2人の足音だけが響くがらんと広い空間。所々横部屋はあるものの、でたらめにモノが放り込まれておりとても生活できるようなところは無かった。しかし、しばらく進むと「仮眠室」と書かれたプレートが貼り付いた扉があり、薄く開いたドアを覗き込むとそこには万年床の布団や服などが散らかすように置かれており、生活の気配を感じられた。

 

「由羅…これって…」

 

「人妖…の…?ホームレスとかが住み着いてるだけじゃない?奥まで見えないけど…」

 

「でも、これだけ布団や服があるのに、食べ物はひとつも落ちてないよ…」

 

「ちょっと待って、懐中電灯出すから」

 

由羅は胸に刺していたペンライトを捻り、明かをつけると部屋の奥の方を向かって照らした。2人が同時に息をのむ。

 

「!!!」

 

「酷い…」

 

「間違いなさそう…。でも、こんなこと…」

 

部屋の奥には、5~6人ほどの女性がほとんど全裸で、天井から吊るされた紐で手首を固定された状態で座っていた。頼りない光からでも、全身につけられた痣が見える。全員生気の無い瞳で暗い地面を見つめていた。慌てて由里が駆け寄る。

 

「だ、大丈夫ですか?なんて酷い…今助けますから!」

 

「…も……くだ………な……」

 

「え?何ですか?どこか痛いところがあったら?」

 

「もっと…もっと体液を下さいぃ……いっぱい……奉仕……しますから……濃いの……出して…くださいぃ……」

 

縛られた女性は、由里が肩を揺すっても全く反応を示さず、ただ地面を見たままうわごとのようにつぶやくだけであった。

 

「え?……な、何言って……」

 

「由里、もうダメだよ。完全に人妖に魅せられてる…。オペレーターから聞いたけど、人妖は人を魅了する力があるみたい…多分それでこの人達も…」

 

不意に、ガタンという音と共に入り口のドアから人が去る気配があった。

 

「由羅…」

 

「うん!間違いない!追うよ、由里!」

 

2人は急いでドアから出ると、音のした方へ向けて駆け出した。しばらくすると、荒い息づかいとともに男が必死に走っている後ろ姿が見えた、その男はちらりと後ろを振り返ると、ひぃっという小さな悲鳴を漏らして近くの部屋に逃げ込んでしまった。

 

「由羅、ここに入ったよ!」

 

「うん、ボイラー室か…。由里、気をつけて。私から入るから…」

 

すっかり油の乾いた蝶番がぎぃぃという音を立てて、立て付けの悪いアルミ製のドアが開かれる。中には数個の裸電球が吊るされていたが、それでもこの部屋を照らすのには十分だった。部屋の奥の大きなボイラーに手をついて、男が苦しそうに荒い息を吐いていた。

 

「ひぃー、ひぃー、ひぃー」

 

「ちょっとアンタ!こっちを見なさいよ!」

 

「はっ!はぁ、はぁ、ち、違う…ぼぼぼぼ、僕じゃないよ」

 

「まだ何も言ってないでしょ!人妖討伐機関アンチレジストの戦闘員、木附(きづき)由羅よ!アンタがあの部屋の女性達を監禁していたことの調べは付いてるんだから。おとなしく降伏しなさい!」

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃ…。ちちちち、ちがっ、ち、ちがぅう。ぼぼぼ、ぼく、ぼく、ぼくはぁ」

 

男は全身に汗をびっしょりかきながら、どもりの強い口調で必死に弁明していた。その姿は写真で見た通り大変醜いもので、でっぷりと太った体躯に無精髭が目立つ二重顎。眼鏡のレンズも曇って白くなっていた。肩までのびたぼさぼさの長髪はやたら量が多く、汗のために顔のあちこちには貼り付いていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…落ち着いて来た落ち着いて来た落ち着いて来た。も、もう、いきなり酷いじゃないか!ななな、なんで僕の家に、かかか勝手に、は、入ってくるんだよ!」

 

「キモオタさん!あなた何で女性を攫ったりしたの!?それにあんなに傷つけて」

 

珍しく由里が大きな声を出す。さっき見た光景がよほどショックだったのか、目に涙を浮かべ、握りしめられた拳は怒りに震えている。

 

「ぼぼぼ、僕だって、い、い、生きるためには仕方が、ななな、無いんだ。ききききき、君たち、アンチレジストだろ?ってことは、もう僕が賤妖だって、し、し、知ってるんだろ?」

 

「せん…?」

 

「よう…?」

 

2人の頭の上に、同時に?マークが浮かぶ。初めて耳にした言葉に、2人は顔を見合わせた。

 

「げ、下賎の賤に、妖怪の、よ、よ、妖だよ。ぼ、僕たちは、人妖の、お、お、落ちこぼれなんだ。人妖は、あ、あ、あいつらみたいに、全員が格好良くなんか、ないぞ!中には、ぼぼぼ、僕みたいに醜くて名前も無い出来損ないだっているんだ。あいつらは僕らを、め、め、召使いみたいに扱うか、それでもダメなら、すすすす、捨てられる。ぼ、僕がそうさ。僕は、り、り、涼っていう人妖に使われてたけど、す、捨てられたんだ」

 

「涼…確か以前隣の市の学校で校長先生をしていた人妖がそんな名前だったわね。レポートで読んだわ。悪いけど、アンタの生い立ちなんて興味無い。おとなしく捕まりなさい!」

 

由羅が前に出て男に近づく、しかし、男はバタバタと走ってもうひとつのボイラーまで逃げる。

 

「い、いやだ!ぼぼ、僕だって生きたいんだ!それに…そ、それに…」

 

「それに…なに…?」

 

由里も男に一歩歩み寄る。由羅とは違い、その目にはかすかに同情の色が見えるが、次の男の言葉で打ち砕かれることとなる。

 

「せ、せっかくこんなに可愛い、ししし、食料が、ふ、ふ、2人も来てくれたんだ。ぐふふふ…こ、このままおとなしく捕まるなんて……し、死んでも嫌だね!」

 

「キモオタさん…」

 

「お前……。由里、かまわないわ。こいつ少し痛めつけてやろうよ。捕まえるならその後でも出来るし」

 

「そそ、そんなに簡単に、い、い、いくかな。ぐふふ…み、見てよ…こ、これを」

 

男が正面を向くと、腰をぐいと前に突き出した。スラックスの上からでも分かるほど股間が大きく勃起している。

 

「さ、さっきから、ずずず、ずっとこのままなんだ。ぐふふ。な、なんて、いやらしい格好をしてるんだい?しかも、ふふ、2人とも凄く可愛いし…似てるから、ふ、双子かな?まとめて、まとめて、色々してあげるからねぇ」

 

にたぁと男がこれ以上無いくらいの下品な笑みを浮かべた。さすがの由里も顔がこわばるが、それより先に由羅の方から「ブチッ!」と音が聞こえ、男に突進して行った。

 

「お前ぇぇぇぇ!!!」

 

バキッ!ドガッ!ガッ!ガキィィィ!

 

「ぐびぃぃぃ!ぶふっ!!ぶっ!?ぼぎゅぅぅぅぅ!!」

 

頭への左回し蹴りから腹部へ右の前蹴り、下がった顎を膝で跳ね上げ、がら空きの腹へ後ろ蹴りを流れるように食らわせていった。ごろごろと男が地面を転がる。

 

「おぶっ!おぶぅぅ!、つ、強いぃ…」

 

「ふーん、報告通りちゃんとダメージあるじゃん?どう?今なら謝れば許してあげるけど?」

 

由羅はの目の前に近づき、腕を組んだ仁王立ちで見下しながら聞いた。男は由羅の顔と膝上まであるロングタイツに包まれたむっちりした太もも、レオタードとタイツの合間の肌を交互に見ながらにたぁと再び笑った。

 

「な、何よ?」

 

「も…もっと蹴ってくださぃぃぃ…」

 

男が言い終わると同時に再び由羅から「ブチィッ!」という音が聞こえ、男に見事なまでの右回し蹴りを食らわせてた。

 

「ひぎっ!!ひぎぃぃぃ!ぶぐぅ!」

 

「ほらほらほらぁ!!これで満足なの!!?」

 

ぶぎゃぁ!という大きな悲鳴を残し、男が吹っ飛ばされてボイラーにしたたかに背中を打ち付けた。そのままずるずると尻餅をつく。

 

「ほら…もっと蹴ってあげるからこっち来なさいよ!」

 

「ひ、ひぃぃぃ…」

 

男は這うようにして逃げ出すが、そこには由里の姿があった。

 

「キモオタさん…少し頭冷やした方がいいみたいですね」

 

ボイラー室の中に男の悲鳴がこだました。


「由里もかぁ…」

 

「うん…なんか、恥ずかしいかな…」

 

黒い絨毯に白い壁。どこかの会議室の用な部屋の一面は大きなモニターになっていた。2人はファーザーの指示通りそれぞれ控え室でオペレーターから手渡されたコスチュームに着替えるとこの部屋で合流し、お互いを見つめ合った。

基調としている色が由里がピンク、由羅がオレンジということを除けば全く同じデザインのコスチューム。レオタードのような身体にぴったりした服を基本にしながら、肩には羽根飾りのようなデザインが施され、同色の膝上のタイツを太ももの付け根からガーターベルトのようなもので繋いでいた。否応にも身体のラインが強調され、控えめな胸やキュウッとくびれた腹部の中心にある可愛いヘソ。むちむちの太ももを挑発的なまでに引き立てていた。2人の格好はさながら双子の魔法少女の様であった。

 

「噂には聞いてたけど、キワドいわねぇ。なんかアニメとかに出てきそうだし。まぁ蹴り技主体の私にとっては動きやすいけどさ」

 

「うん、私も袖が無いからパンチは出しやすいかな…。あぅ…でも恥ずかしい…」

 

「由里はプロポーションいいんだから自信持ちなって!まぁ双子の私も同じ体型だけどね~」

 

由羅はモニターの反射を鏡代わりにして思い思いにポーズをとっては満足そうに笑っている。由羅にとってこの格好はまんざらでもないらしい。

 

「由羅…顔がえっちな本見てるオジサンみたいになってるよ…」

 

「!?な、なんですってー!由里!あんた姉だからって調子に乗るんじゃないわよ!」

 

「ひゃあ!いらい(痛い)!いらいいらい!!」

 

由羅が由里のほっぺたをつねり、左右に引っ張る。由里が涙目になりながら手をパタパタさせていると、突然モニターが付いた。

 

「本当に仲がいいな?」

 

「「!!?? ファ、ファーザー!?」」

 

2人はあわてて敬礼をする。もちろん由里は涙目のまま。ファーザーの声には様々な種類があり、今回は抑揚が無いものの、よく通る若い男性の声だった。

「楽しんでいるところ悪いが、早速任務について説明させてもらう…」

 

話によると、2人の住んでいる町の外れにある廃工場付近で、最近女性の失踪事件が増えているとのことだった。若い女性が男に廃工場の中に連れ込まれたという目撃情報もあり、警察も調査に向かったがその警官も帰ってこなかった。人妖事件としてファーザーが情報を握り潰し、調査員のオペレーターを派遣しある程度調査をした上で、今回の2人の派遣に至ったという。しかも、オペレーターの調査によれば、今までの人妖とは容姿や波長が異なるという。

 

「今までの人妖は、男性タイプでも女性タイプでも、俗に言う容姿が端麗で社会活動もしており地位も上なケースが多かったが、今回のはやや違う。まぁ、見てもらった方が早い」

 

モニターに荒い画像だったが1枚の写真が写った。2人の顔が同時に引きつる。

 

「うぇー…」

 

「あぅ…キモオタさん…」

 

「由里…あんた意外と毒吐くわね…」

 

でっぷりと太った体躯にぼさぼさの頭髪、よれよれのポロシャツに汚れたジーンズの男性が、こそこそと廃工場に入って行く写真だった。確かに今までの人妖とは雰囲気が違った。

 

「あのー、コイツ本当に人妖なんですか?えと、その、男性タイプの人妖ってイケメンばかりだってデータを見たんですが」

 

「ふむ…確かに由羅の言う通り、今までの人妖にはそういうタイプが多かったが、今回の人妖は社会活動も一切していないらしい。しかも奇妙なことに、今回は人妖特有のバリヤーも検出されていない」

 

「…生身の人間と同じ耐久力ってことですか?」

 

「その通りだ由里。今までは対人妖グローブやレッグサポーターをしなければダメージを与えられなかったが、今回は大丈夫だろう」

 

「楽勝ってこと?なぁんだ、せっかく由里との初仕事だと思ったのに張り合いないなぁ。仮想エネミーの方がよっぽど強いんじゃない?」

 

「由羅…油断は禁物だよ~」

 

「その通りだ。もしものことがあったら身の安全を第一に考えてほしい。では、今夜23時に突入を開始する。手順は…」

 

 

 

 

 

「で、来てみたわけですが」

 

「あぅー、こんな格好してるところ近所の皆さんに見られないかなぁ…」

 

「だからチャッチャとやっつけて片付けちゃおうよ。それにね、由里」

 

「なに?」

 

「私達、同時に産まれて…まぁ由里の方が少し先だったけど、同時にアンチレジストにも入ってさ、やっと一緒に仕事ができるんだから、精一杯頑張ろうよ。いつまでも一緒だからね!由里姉さん!」

 

「う…うん!そうだね。忘れられない夜にしようね!」

 

2人は廃工場に向かって駆け出した。2人にとってはある意味忘れられない夜になるとも知らずに…。


廃墟のような空間に間隔を置いて響く肉と肉がぶつかる音。崩れ落ちそうな柱を縫う追うように俊敏に駆ける影が2つと、それを追う大柄な影が1つ。広場に吊るされた裸電球の下に3つの影がくると、それぞれのシルエットが浮かび上がった。

 

「グギィィィィィィィ!!!」

 

爬虫類と人間を融合させたような姿の大男。灰色の肌に太い尻尾、耳まで裂けた口からは先の割れた太い舌が、粘液にぬれて怪しい光を放っている。

 

「ギガァァァァァァァァ!!!」

 

「あーもう、うるさいわねぇ、ねぇ由里(ゆり)?そう思わない?」

 

「そ、そうだね、由羅(ゆら)。ちょっと…声大きいよね…」

 

「もうー、いつもハッキリしないんだから由里は!こんな奴ちゃっちゃとやっつけて早くシャワー浴びよ!」

 

「そ、そうだね由羅、じゃあ、やろうか?」

 

短い会話を交わす2人の少女。顔つきは幼く可愛らしい顔をしているが、会話を交わす間も怪物から目を離すことは無かった。由里と呼ばれた少女は薄いピンク色の、由羅と呼ばれた少女はオレンジ色のレオタードのような衣装を着ており、2人の可愛らしさを引き立てていた。

 

「しゅぅぅぅぅぅぅぅ…しゅぅぅぅぅぅぅぅ……しゅうっ!!」

 

怪物が2人をめがけて突進するが、2人は弾かれたように別々の方向へ走り出し、すぐに怪物の背後をとった。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「ええええええい!」

 

ガッ!グギィッ!!

 

「グギヤァァァァ!!」

 

由羅の蹴りが怪物の首筋を強打し、由里の突きが脇腹をえぐった。流れるように由羅が飛び膝蹴りを背中に見舞い、怪物が倒れかかったところに前に回り込んだ由里がボディーブローを決めた。怒濤のような連携攻撃に、怪物が倒れ込む

 

「ご、ごめんなさい…大丈夫?」

 

「こら由里!何そんな奴に同情してんの!?とっととトドメを刺すわよ!」

 

由里のとぼけた言動に一瞬緊張感が消えた瞬間、空気を裂くような音が響いた。

 

ヒュッ!!ドグッ!!

 

「え?…う…ぐふっ!?あ…えぐぅぅ!!」

 

怪物の尻尾が独立した生き物のように動き、目にも留まらぬスピードで由羅の腹部にめり込んでいた。

 

「ゆ、由羅ぁぁ!」

 

「くっ…油断した…由里…次で決めて…たぶん、一撃しか持たないから…」

 

「由羅!ダメだって!」

 

「…ほら、何してんの?全然効かないんだけど?もう少しカンジるの頂戴よ」

 

「ぐるるるるるるる…」

 

あからさまに不機嫌になった怪物が由羅の前に立ちふさがる。由羅は強がった態度を取っているが、その手は明らかに震えていた。

 

「…ほ、ほら…少しはカンジさせてよね…」

 

「シュアッ!!」

 

グリィィィィ!!

 

「げっ!?げぇうぅぅぅぅ!!?」

 

怪物は手のひらを無理矢理由羅の腹にめり込ませると、力任せに握った。

 

グチィィィィィ!!

 

「ぐうっ!?うげぁぁぁぁぁ!!!」

 

強烈に内蔵を圧迫されたためか、ボタボタと由羅の口から胃液がこぼれ、怪物の腕にかかる。しかし由羅は自分の腹部にめり込んだその腕を掴むと、無理矢理笑みを浮かべた。

 

「あ…ああ…。や、やる…じゃない…。でも、あんたも…終わりよ…」

 

「グゥゥ…?グギィィィ!!??」

 

後ろから駆け出してきた由里が、怪物の首に強烈な一撃を放っていた。

 

「由羅に…由羅に酷いことしないで!」

 

怪物の身体が白く光りながら、粒子になって消えていく。同時に空間が歪み始め、無機質な広い空間に2人だけけが残っていた。がくりと由羅が由里に倒れかかる。

 

「由羅!由羅ぁぁ!」

 

「もう…何であんたは私がやられないと本気出せないのよ?訓練用の仮想エネミーだって結構キツいんだから…」

 

「フタリトモ、ゴ苦労ダッタナ」

 

突如、部屋の中に機械が喋るような声が響き、2人が直立不動の姿勢になる。

 

「は、はい!ありがとうございます。ファーザー」

 

由羅が空中に向かって返事をする。ファーザーという名前意外は全くと言っていいほど情報が無い人物。相当な権力者という意外は、正直性別すらも定かではない。

 

「マダ問題モ多々アルガ、フタリノ連携技ハカナリ有効ナ武器ニナル。実ハ新シイたいぷノ人妖が出現シタ。早急ニ討伐シテ欲シイ」

 

「了解しました!」

 

2人が同時に敬礼をする。2人にとっては初めての実戦で正直怖さもあるが、それ以上に今までの訓練の成果を試せると思うと自然と気持ちが昂ってくる。早く戦いたい。もともと好戦的な由羅はもとより、由里も同じ気持ちを味わっていた。

 

「期待シテイルゾフタリトモ。こすちゅーむハ用意シテオイタ。場所ハ…」

居酒屋のトイレから携帯で更新してます。


会社の飲み会中に次回の構想が固まりました。



レジスタンス 第二章
case:TWINS



ご期待下さい

ご機嫌いかがでしょうか?

number_55です。

レジスタンスシリーズの冒頭に当たるcase:AYA、何とか書き上げることが出来ました。

最後まで拙い文章でしたが、4話くらいからキャラクターがひとりでに動き出してくれて、書いている方も楽しめました。特にラストはブログ開設前に書いたプロットとは全く違う形となり、私自身驚いています(友香の登場などは全くの予定外でした)。

メインの綾には最初からかなりひどい目に遭わせてしまった挙句、ほとんど活躍らしい活躍をさせてあげられませんでしたが、まぁ腹パンチ小説においては腹パンチを受けることがある意味活躍なので我慢してもらいました。
個人的に思い入れの強いキャラクターですので、皆さんに気に入っていただければ嬉しいです。



さて、「レジスタンス」は結構前から私の頭の中に構想はあったのですが、説明しきれてない用語とかを少し解説していきたいと思います。


・人妖
「じんよう」と読みます。レジスタンスシリーズの核ですね。彼らにとって人間は養分です。苦痛や快感という人間の感情の変化を、直接触れることによって養分として吸収しています。人間を殴ったり性交したりすることは彼らにとって食事と同等です。
そして一定の養分が溜まると老廃物を排出します。彼らの分泌液や老廃物には人間を魅了する力があります(チャーム)。生きていくために備えた技ですね。
様々な種類が存在し、今後は違う種類の人妖も登場します。


・アンチレジスト
綾や友香たちの所属する人妖討伐機関。トップは「ファーザー」と呼ばれ人物。格闘に特化した戦闘員と、戦闘員をバックアップするオペレーターがいるが、構成員の横のつながりはほとんど無い。綾と友香はかなり珍しい例。



今後も読みきりをはさみながらレジスタンスシリーズを続けていこうと思います。今後ともよろしくお願いします。

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