「げっ…げうっ…うあぁぁ……」

数分後、男の猛攻を受け続け、地面に倒れこむ由羅の姿があった。左手で集中的にいたぶられた腹部を押さえ、あえぎ続ける。

「ぐ、ぐふふふ、よ、よく耐えたね。こ、こんなに強い女の子は、は、初めてだよ」

由羅はいまいち焦点の合わない目で前方を見ると、由里がよろよろと起き上がる姿が見えた。

「あ…えぅっ…ぐはっ…あ…はぁ…はぁ…由羅…大丈夫?」

「ゆ、由里こそ…立って大丈夫なの?くぅっ…」

その姿に励まされ、由羅も同じように立ち上がる。由里が由羅に歩み寄り、手を貸して起き上がるのを手伝う。

「こ…こいつ…何で…?急に強くなるなんて。今まで手加減してたってこと?」

「わ、わからないよ…。でも、倒すしかない…」

「由里…いける?」

「うん…」

2人は同時に男に対し、同時に構えを取る。男は余裕の表情で笑みを浮かべ、手招きをして挑発する。

「はあぁぁぁぁ!!」

「やあぁぁぁぁ!!」

由羅の蹴り、由里の突きが同時に襲い掛かるが、男は涼しい顔をして二人の攻撃をガードする。いや、数発は確かに当たっているが、全くダメージを感じていないようだ。しばらく黙って2人の攻撃を受けていたが、不意に攻撃の矛先を由羅に向けた。

「しぃっ!はっ!!…え?…」

ドギュッ!!

「ぐふぅぅ!!……うぐ……この……」

ズギュッ!!

「がはぁあ!!」

「ゆ、由羅!?大丈…」

「ぐふふ…よそ見してていいのかなぁ?」

ボグゥッ!!

「えっ……ぐ!?ぐぅあぁぁぁ!!」

スブゥッ!!

ドムッ!!

「うぐあぁぁ!!」

「あぐぅぅぅ!!」

「おっと、倒れるにはまだ早いよ」

男はダウンしかけた2人の胸倉を掴むと無理やり立たせ、舐めるように2人の体を凝視した・

「あ、あぅぅ…な、なんで…こんな…」

「げ、げほっ…す、すごい力…」

「ぶ、ぶふぅ…ふ、不思議がっているようだね?い、いいよ。教えてあげる。ぼ、僕の体や汗から出る体臭はね、人間の筋力を徐々に麻痺させる効果があるんだよぉ…。だ、だから、僕は手加減なんてしてないし、き、君達が勝手に、弱くなってるだけなんだよぉ…」

「な、なんですって…」

「嘘…そんなの、聞いてない…」

「ぶふふふ…や、やっと利いたみたいで、あ、安心したよ。こういう狭い部屋に逃げ込めば、たいてい数分時間稼ぎすれば効果があるのに、ぜ、ぜんぜん利かなかったから…」

「だ、だからあんなに…自分のことばかりべらべら喋ってたのね」

「わざと攻撃させてたのも…効果を確かめたかったからなの?」

「そ、その通りだよ…ぼ、僕は殴られて喜ぶ趣味は、な、無いからね!いやぁ、一時は本当に焦ったけど、こ、こうなったらもう2人は僕のものだからねぇ…さ、さっきはよくも苛めてくれたねぇ…たっぷりお礼をしてあげるよぉ…」

男はボイラーまで2人を連れて行き、由羅をボイラーの壁に背中をつけて立たせると、近くに落ちていた木片を由羅の腹部に押し当て、重なるように由里の背中を押して叩きつけた。

「ぐはぁぁっ!!」

「あぐぅぅぅ!!」

男は両手でボイラーを固定しているバーを握ると、由里の背中に自分の腹を押し当て、力任せに腕を引いた。由里と由羅はボイラーと男にサンドイッチのように挟まれ、ギュウギュウと締め付けられた。互いの腹部に挟まれた木片が絶えず苦痛を与え続ける。

「うぐっ!!あ…由里…由里ぃ……」

「由羅ぁぁ…ぐぅっ…あ、く、苦し…」

「ぐ、ぐふふ、どうだい?お互いの苦しんでいる顔がよぉく見えるだろ?お、おなかの力を抜けば、相手は苦しくなくなるかもねぇ…」

その言葉を聞いて、すぐさま由羅は腹筋を緩めた。途端に木片が自分の腹部に深くうずまる。

ズブゥゥッ!

「ぐ!?ぐぶぁぁっ!……ああ…」

「由羅!?ま、待って…私も…ああっ!?ぐぅぅぅ!」

二人はお互いを苦しめないように、ほぼ同時に腹筋を緩めたが、それは木片をますます2人の中にめり込ませただけだった。

「ふ、2人は本当に、お互いが大好きなんだね?ぐふふふ、いいことを思いついたよ。ちょっと眠ってもらうよぉ」

男は渾身の力で腕を引き付けた。同時に木片が見えなくなるほど由里と由羅の間にめり込み。短い悲鳴を上げるとほぼ同時に気を失った。

「ふぅぅ、ふぅぅ。た、楽しい夜になりそうだよ。さて、工事用のロープがその辺に…」

男は工事用の黄色と黒のロープを拾うと、気を失っている由羅をボイラーに縛りつけ始めた。