「さて、それじゃあ俺も楽しませてもらおうかな?」
さっきまでシオンを後ろ手にロックしていたテニス部がシオンの眼前に佇んでいる 散々至近距離でシオンの苦悶する様子や声を聞かされ、いわば生殺し状態にあった彼の目は血走り、呼吸は極度の興奮のためか不規則に荒く、唇はわずかに震えていた。
「へへ…正面から見ると反則的に可愛いな…」
テニス部はシオンの顔に自分の鼻先がくっつきそうなほど近づき、シオンの顔を仔細に観察した。目の形や鼻筋から眉に至まで見事にシンメトリーに整い、「怖いぐらい」という表現が誇張ではないほどの容姿の上での、あどけなさの残る童顔。反則的。彼の表現は確かに的を得ていた。
「この顔が苦痛に崩れるんだぜ?まぁ、崩れてもすげぇ綺麗だけどな…。綺麗なものを汚す快感ってやつか?」
「それに、腹を殴ったあの感覚、すごく良かったな。セックスみたいに相手の身体の深い所で繋がっている気がしてさ…」
ボクシング部とサッカー部が口々に感想を言い合い、テニス部を煽る。シオンは強制的に覚醒させられた頭のモヤがやっと晴れ、自分の置かれる状況を理解する。今はサッカー部がシオンの腕をがっしりと閂で固め、口元を伝う唾液を拭うことも出来ない。
「はぁ…はぁ…じ…じゃあ…いくぜ…!」
シオンの唇が「や…やめ…」とかすかに声を発した瞬間、ズブリという音と共にテニス部のゴツゴツとした拳がシオンの腹部に侵入していた。
「か……かふっ……!」
体中の空気がすべて抜けきったような感覚の後。襲ってくるあの鈍痛と苦痛。空気が抜けた身体から、無理矢理内蔵がせり上がってくるような感覚がシオンを襲う。
「ぐっ!?うぐぅあぁぁ!!」
ガクンと身体がくの字に折れるが、後ろから閂締めにされているためダウンすることもままならない。
「甘めぇな…ボディーはこう打つんだよ。当たった瞬間捻るんだ…おらぁっ!!」
ボグリュゥッ!!
「ぐぶっ…!?ご……ごぶえぇぇぇぇっ!!?」
普段人を殴り慣れているボクシング部の打撃は、他のそれとは大きく様相を異なっていた。拳は長年の練習でタコが出来、石のような硬度に変化していた。さらに人に苦痛を与えるツボをピンポイントに突く技術、当たってから更なる苦痛を与える技術はシオンの思考を苦痛一色に染め上げるのに十分だった。
シオンのへそを中心に打ち込まれた拳は、周囲のなめらかな肌を巻き込むようにねじ込まれていた。恐ろしい悲鳴が口から漏れ、同時に口内に溜まっていた唾液が衝撃で一気に吐き出される。普段はアーモンド型の目は大きく見開かれ、緑色の瞳の半分が上まぶたに隠れる。舌が限界まで露出し、いわゆるアヘ顔に近い状態だ。普段の穏やかで清楚なシオンからは想像出来ない声と表情に、男達の興奮は昂って行った。
「あ…あうぅ……うあぁ……」
もはや何も考えられない状態なのだろう。目は泳ぎ、小刻みな痙攣は金髪をかすかに振るわせた。
「すごいな…会長の顔がこんなに崩れて…。俺も、サーブのつもりでやればいいのか…」
テニス部はアンダーサーブの要領で腕をしならせながら、シオンのくびれた脇腹をえぐる。ピンポイントでのレバーブローに肝臓が悲鳴を上げ、反射的に胃の内容物がせり上がった。
「うふぅぅぅっ……!!あっ……かはっ……!!?」
軽い呼吸困難陥るシオンを、ボクシング部の非情なボディーブローが突き上げる。
スボグッ!!
「ぐぅっ!?むぐぅっ!!?あ…ああ……」
「ほぉら…捕まえた」
顔中を苦痛に歪ませ、もはや悲鳴すら上げることの出来ないシオンの姿にサディスティックな笑みを浮かべるボクシング部。突き上げられた拳は抜かれずに数秒感苦痛を与え続けた後、捻るように胃を押しつぶした。
グギュルゥッ!!
「ごぷっ!?ぐ……ごぶぅぅっ!!」
シオンの喉から水音が響いたと思うと、空っぽになった胃から透明な胃液が強制的に排出された。身体はビクビクと痙攣し、一瞬顔を上げようとした後、ガクリと糸の切れた人形の様に失神した。
「あーあ…またやっちまった。さぁて…そろそろおっきする時間ですよっと」
「あ…あの…そろそろ僕もやっていいかな…」
ボクシング部が再びシオンを覚醒させよとすると、おずおずと後ろから見ていた相撲部が声をかける。眼前で繰り広げられた光景で彼の股間は既に破裂せんばかりだったが、驚いたのはその大きさだった。周囲の男子生徒達の2周りほど大きい。
「おお、もちろんだ。それにしてもお前…でけぇなぁ…。それで使ったこと無いなんて宝の持ち腐れだぜ?じゃあ、また眠り姫を起こしてやっか」
「それじゃあ、俺が押さえててやるか。せいぜい強烈な張り手を見せてくれよな」
ボクシング部とテニス部がシオンに近づく中、相撲部はもじもじしながらまるで遊んでいてガーデニングの壷を割ってしまった事実を母親に報告する時の子供の様な声で言った。
「ちょ、ちょっと待って!あの…僕…やってみたいことがあるんだ…」