この作品はウニコーンさんに有償依頼をいただき、二次創作として製作したものです。
ウニコーンさんのオリジナルキャラの瀬奈さんを主人公に、世界観や設定、ストーリーの大部分をお任せいただきました。
今後作品としてウニコーンさんが挿絵を付けて完全版として発売する予定ですが、今回私が書いた文章と制作中のイラストの掲載許可をいただきましたので、サンプルとしてお楽しみください。

第1話

第2話

第3話

第4話


「ああ、申し遅れてすまないね。君のいう通り、ここではグールーと呼ばれている。サンスクリット語で導師という意味だ。本名はあまり良い思い出が無いので、名乗るのは控えさせてもらうよ。あなたは瀬奈さんだったね。サエグサから優秀な人だと聞いている。このクズと違ってな」と言いながら、グールーはサジの背中に唾を吐いた。「こいつは腕力しか取り柄がない分際で、君に負けたらしいじゃないか。まったく、とんだ買いかぶりだったとはな……私は存在価値の無い人間が一番嫌いなんだ。こいつから腕力を取ったら、残るのはバカな頭と猿みたいな性欲だけだ。このゴミめ……生きていて恥ずかしくないのか?」
 瀬奈の視線の隅で、サエグサが目を伏せる。サジは震えているように見えたが、それが怒りなのか悔しさなのかはわからなかった。
 グールーが瀬奈を見て言った。「ところで使い古された表現だが、君は覚めない夢は現実と区別がつくと思うかね? 例えば植物状態の人間が延々と夢を見ているとしたら、その人間は自分が植物状態だと認識するだろうか? そして仮に君がその立場になったとしたら、夢と現実どちらの世界に幸福を感じると思うかね?」 
「夢の世界……」と、瀬奈は静かに言った。
「そうだろう。言うまでもないことだ。だがこれは健常者にも言える。下世話な話で申し訳ないが、憧れの相手との淫夢が中途半端に目覚めてしまった時の悔しさは、誰でも経験しているはずだ。君にもあるだろう?」
「なにが言いたいの……? こんな立派な施設作って、小さい子供達まで働かせて、やっていることはみんなでジャンキーになって変な夢見ましょうって言うの? 情けなくて涙が出そうね」
 瀬奈の言葉に、グールーは目を伏せて笑った。そしてリードを乱暴に引きながらサジに向かって顎をしゃくり「おい、やれ」と短く言った。サジが弾かれたように立ち上がり、瀬奈の正面に仁王立ちになった。瀬奈の顔に緊張が走る。サジは自分の今の扱いを逆恨みしているのか、憤怒の表情を浮かべて瀬奈を睨みつけている。サジはそのまま、瀬奈の腹部に鈍器のような拳を埋めた。素肌を打つ「ぼぢゅん」という水っぽい音が広い室内に響き渡る。
「げぶぅッ?!」
 瀬奈は電気ショックを受けたように身体を跳ねさせた。強引に直立させられた状態のため腹筋が伸びきり、サジの拳の威力がそのまま瀬奈の内臓を襲う。
「テメェのせいでな……!」と、サジは小声で言いながら連続して瀬奈の腹部を打った。拘束されて防御ができない状態に、元プロボクサーのパンチは背骨に届きそうなほどの威力で瀬奈の生腹をえぐり、成人男性でも一発で失神しそうなショックを瀬奈に与え続けた。
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「ごぇッ!? がッ!! ぐぼッ?! ゔっぶ!! ぶぇッ?! げぉッ!!」
 地獄のような責め苦を受ける瀬奈を、グールーは笑みを浮かべながら、サエグサは直立したまま無表情で見ている。途中、サジの黒いビキニパンツが山のように盛り上がりっているのをグールーが見て、「猿め」と吐き捨てた。瀬奈はあまりの威力にすぐさま意識が飛び始め、思考が鈍って視界も狭まりはじめた。腹責めはものの数十秒だったが、瀬奈には永遠のように感じられ、失神寸前でようやくグールーが「やめろ」と言った。
「ぶげぇッ! ごぶッ……おぐ……うぇ……」
 拷問が終わった後も、瀬奈はしばらく身体をよじってもがき苦しんだ。サジが二人の後方に下がり、再び四つん這いになる。
「少しは口を慎んだ方がいい……。グールーの崇高な使命を愚弄することは許されん」と、サエグサが言った。
「まぁいい。新しいものは、誰でも最初は受け入れられぬものだ。それがどんなに素晴らしいものであってもな。瀬奈さん、君も私の考えを理解すれば、きっと協力したくなるはずだ。いや、ぜひ協力してほしい。これから私の使命を君に話そう」
 グールーがサエグサに目配せをすると、サエグサはサジを連れて部屋から出て行った。広い部屋にはグールーと瀬奈だけが残され、わずかな沈黙が流れた。見えないように部屋の中に設置された空調が稼働し、瀬奈への拷問によって生じた湿度が徐々に下がっていく。グールーは一旦瀬奈から離れると、壁に設置されたバーカウンターの棚から高級そうなブランデーを取り出し、大きめなグラスに注いて演技っぽく飲んだ。瀬奈は一連の動作を見守っている。グールーは何かの儀式のようにブランデーを半分ほど飲むと、さて、と言いながら瀬奈に近づいた。
「あまり言いたくはないのだがね、少し私の話をしよう。私は生まれてから最近まで、ずっと不当な扱いを受けていた。グールーになったのもここ五年ほど前からで、それまではただの会社員だった。会社員と言っても大したものではなく、地方のキノコ製造会社の契約社員だ。毎日毎日汚い作業着を着て、カビ臭くて蒸し暑い栽培場を歩き回り、生育状況を記録したり、腐ったキノコを取り除いたり、温度や湿度の管理したりしていた。少し覚えれば誰にでも出来る仕事だ。待遇も悪く、同僚にもろくな奴はおらず、毎日辛い思いをしながら、狭く汚い家とカビ臭い職場を往復していた。いつ死のうかと、いつも考えていたよ」
 そこまで言うと、グールーは残ったブランデーを一息に空け、新しくグラスに注いだ。
「……子供の頃から、私はいつか大きいことを成し遂げる人間だと信じていた。この酷い状況は何かの途中で、いつか事態が好転して周囲がうらやむ状況になるのだと……。しかし四十歳を過ぎる頃になってようやく、どうやら私は大した人間ではないのかもしれないと薄々思うようになってきた。一般家庭の生まれで、昔から勉強は出来たが気が弱かった。世の中で気が弱いということは致命的だ。頭の中に知識はあっても、それを発信する勇気がないのだからな。誰も助けてはくれない。子供の頃からずっといじめられ、社会に出ても爪弾きにされた。ダラダラと月日が流れた。そして五十歳の誕生日の前日に、私はいよいよ自殺しようと決心した。何者にもなれないまま、四十代を終えたくはなかったんだ。そして、どうせ死ぬのなら会社も道連れにしようと思い、栽培場の地下に潜ってガソリンを撒いて火をつけようと考えた。建物の基礎が燃えれば、うまくいけば社屋は倒壊するだろうし、倒壊しないにしても心臓部である栽培場に壊滅的な被害は与えられるはずだと考えた。深夜に私はガソリンの入ったポリタンクを抱えて地下に潜ったのだが、そこで予想外のものを見つけた……」
「……オリジン」と、瀬奈が言った。
「そうだ……。栽培場の地下には、薄く発光する緑色の不気味なキノコが足の踏み場もないほど群生していた。とても気持ち悪かったよ。まるで蛆虫の化け物のように見えた。おそらく直上の栽培場から降ってきた様々なキノコの菌糸や胞子が混ざり合って、突然変異したんだろう。ヤコウタケの一種かと思ったが、そのキノコは幹が太くて、傘の形が明らかに違っていた。そして、自暴自棄になっていた私は、無性にそれを食べてみたくなった。どうせあと一時間と経たぬうちに自分は死ぬのだし、誰にも知られず、誰にも見られない場所で光っている名前も付いていないキノコに親近感を覚えたのかもしれん。キノコはカビと泥の混ざったような酷い味がした。そして猛烈な吐き気に襲われた。私はたまらずポリタンクを放り投げて嘔吐したよ。緑色に光るゲロが出た。それが可笑しくてね、笑いながら吐き続けたよ。情けないやら訳がわからないやら……自分に似合いの最期だと思ったらとても可笑しくてね。そして、世界が一変した。自分の笑い声が何重にもなったエコーの様に頭の中で鳴り響き続け、視界がぐにゃりと歪んだかと思ったら、私は上等なスーツを着て会社の社長室の椅子に座っていた。私がなにが起こったのかわからず戸惑っていると、足元で何かがもぞもぞと動いている。机の下を見ると、職場で一番の美人が私のモノにしゃぶりついていた。訳がわからなかったが、それはとてもリアルな感触と快感だった。しかも気がつくと、周りには子供の頃から今まで生きてきた中で気に入っていた女達が私を取り囲んで、奪い合う様に私にキスをしたり、抱きついたりしてきた。彼女達の舌の感触はおろか、一人ひとり違う肌の匂いまではっきりと感じることができたよ。私は射精し続け、いつの間にか失神した。何時間か経った後、気がついたら最初にいた地下で、不気味に光るキノコに囲まれながら自分の出した精液の中に浸かっていた」
 グールーが三杯目のブランデーを飲み始めた。酒に強いのか、顔色には全く変化がない。瀬奈は黙って話の続きを待った。
「私はそのキノコを持ち帰り、家でも食べてみた。大体似たような効果が出て、数時間後にゲロと精液に塗れた状態で目が覚めた。そして私は自分を実験台にして、そのキノコの最も効果的な摂取方法を見つけ出した。乾燥させて粉末にした状態で鼻粘膜から吸収すると、激しい吐き気が起こらずに効果が出ることがわかった。そして摂取前に念じることで、まるでこれから遊ぶゲームを選ぶかのように、ある程度夢の内容を内容を具体的に決めることができることもわかった。願いを具現化する奇跡の物質……私はWISHと名付けた。くだらない宗教や薬物で得られる”ちゃち”な幸福感を超える、まさに新たな神の誕生だ」
「ずいぶん大袈裟な話になったわね……。そんな幻覚剤で何が解決するっていうの?」
「解決するさ。私はダークウェブを使って、狭い部屋で作ったWISHを少しずつ売り始めた。WISHはたちまち評判になり、転売が相次いで末端価格はとんでもない額になった。私の作ったもので私以外の人間が儲けることは我慢ができんので、私はすぐに購入者の会員制度と売人の公認制度を作り、強固な偽造防止技術を使って直販システムを作り上げた。会社員での経験が役に立ったよ。そのうち水道の蛇口をひねるように金が流れ込んでくるようになって、程なくして私はこの施設を作り上げて、今に至るわけだ。一番WISHを使っている人間は誰だと思うかね? 金のある政治家や財界人でも、ましてやゴロツキ共でもないぞ。むしろその逆で、気が弱くて日の目を見ない人間達の間で評判になった。彼らが少ない給料を切り詰めて、高価なWISHを買ってくれているのだ。しかもWISHによって願いが叶ったことで、現実世界でも前向きになり、またWISHを買うために頑張る気持ちになることができたという感謝の言葉も何件も届いている。私はハッとしたよ。私もそうだったと。そして、これこそが私の使命だと気がついた。私は間違っていたんだ。私は『大きいことを成し遂げる人間』などという小さな存在ではない。私こそがキリストのように不当な受難を乗り越え、WISHという奇跡をこの世界にもたらすために地上に降り立った、救われない者達を救う神だったのだと……気がついたのだ」
 グールーは大仰に手を広げ、天井を見上げた。自分の言葉に酔っているのか、瞳を閉じて、口元には笑みが浮かんでいる。
「さて……」と、グールーが言った。「ここからが本題だ。君に協力してほしいと言ったね? なに、簡単なことだ。サエグサのように前線に立つ危険な仕事をさせるつもりはない。君にしかできないことをしてほしい。具体的に言うと、私の子供を産んでもらいたい」
「なっ……!?」
「WISHを創ってから女に困ったことはない。いや、抱いてほしいと群がる女達を選別するのには少し困っているがな……。毎日違う女を抱いたが、私の子供を産むに相応しい女性は一人もいなかった。当然だ、神の子供を産むわけだから、並大抵の女では務まる訳が無い。だが、君にはどうやらその資格がありそうだ……あの筋肉猿を倒す強さ、その容姿の美しさ、そしてなによりWISHで淫欲な効果を出さない清楚さ。君こそ、私の子を産む資格がある女性だ」
「ふざけないで! 誰があなたの子供なんか!」と言いながら瀬奈が身をよじった。鎖が擦れる硬い音が部屋に響く。
「なにを言う? これ以上無い名誉だぞ。君のことは無理やり犯すこともできるが、子供に影響が出たら台無しだ。君は私を愛し、私の子供を産めることを涙を流して喜ばねばならん。その魅力的な身体で私に奉仕して、私に快感を与え、私が褒美として与える精液を喜んで受け入れるのだ。まぁ、最初は反抗的でも面白いかも知れんな。どうせ肌を重ねるうちに私の虜になるのだから……」
 ゴリッ……という感触が、瀬奈の体内に広がった。グールーの拳が、正確に瀬奈の鳩尾に食い込んだのだ。
「ゔッぶ?!」と、瀬奈の口から聞いたことがないような悲鳴が漏れた。
 グールーのパンチは威力こそ強くはないものの、肥満体の身体を生かした体重を乗せた一撃は重いものだった。グールーは無防備に身体を開いた状態の瀬奈の鳩尾を正確に何発もえぐり込み、瀬奈の意識を途切れさせる寸前まで痛ぶる。息をつかせないようなタイミングで嬲り、効率的に瀬奈の意識を体外に弾き飛ばしていく。瀬奈がグロッキーになると、グールーは瀬奈の手足の拘束を解いた。崩れ落ちる瀬奈の身体を抱きかかえ、慣れた手つきで後ろ手に手錠を嵌めると、そのまま瀬奈の身体を肩に担ぎ上げてベッドの中央に放り投げる。滑らかな黒いシルクのシーツはまるで粘液に濡れているようにシャンデリアの淡い光を反射していて、瀬奈の身体をほとんど摩擦なくふわりと受け止めた。瀬奈は呻きながら、ぐらつく視界の隅でグールーが近づいて来るのをなす術なく見るしかなかった。
「さて……たっぷり可愛がってやろう」と言いながらグールーが瀬奈の近くに屈み込み、顔を覗き込んだ。「期待していいぞ。毎日違う女を抱いているうちに性技とスタミナが付いてきてな、今では一晩で最低六回は出来るようになったわ。ま、私が六回射精する間に女は何十回とイカされることになるから、最後の方になると全員泣き叫んで失神してしまう。人形を抱いているみたいでつまらんもんだ。それに私は一度抱いた女をもう一度抱くことはほとんど無い。可哀相に、私に抱かれた女はもう他の男では満足できなくなるから、いつもWISHで慰めることになる。君は幸せだぞ? 孕むまで何回でも私に抱いてもらえるんだからな」
「……一回だって、絶対に嫌」と、瀬奈は歯を食いしばってグールーを睨みつけた。
「ほっほ……まぁそう言うな。君が白眼を剥いてヨガリ狂うのが楽しみだよ」
「絶対にそんなこと……んむぅッ?!」
 グールーが獲物を襲う蛇のような素早さで瀬奈の唇を奪った。驚いている暇もなく、瀬奈の口内にグールーの粘ついた舌が侵入し、瀬奈の舌や口内を捕食する別の生き物のように蹂躙し始める。ブランデーの香りと生臭い唾液の味が頭蓋骨の中に充満し、頭がおかしくなりそうだった。
「んぶぅッ……! んむっ……んんんんん!!」
 瀬奈は必死に目を見開いて首を振って抵抗したが、グールーにがっしりと頭を押さえられて動けず、吸われるままに舌を吸われ、唇や唾液を味わわれた。
「んんむ……んふふふふ……ほれ……飲ませてやろう」
 グールーは口内で瀬奈と自分の唾液を混ぜ合わせると、舌で一気に瀬奈の口内に押し込んだ。ごぷッ……と瀬奈の口の端から唾液が溢れる。さらに唾液を押し込まれ、無理やりそれを嚥下するしかなかった。グールーは瀬奈の喉が鳴るのを満足げに聞くと、糸を引きながらようやく瀬奈の唇を解放した。
「んぶはぁぁぁ……ふぅ……なかなか美味かったぞ。どうだ? 愛し合う恋人同士のキスは? 他の男よりも濃厚だったろう?」
「あ……ぁ……私……こんな……」
「んん? なんだ、まさか初めてだったのか? そうかそうか! 私で女になれるとは、それは良かったな! はははは! 初物とは、ますます気に入ったぞ」
 グールーが放心して震えている瀬奈の唇を再び奪い、そのままベッドに押し倒した。瀬奈を押しつぶすようにのしかかり、必死に逃げる瀬奈の顔を両手で挟むように固定しながら、一回目よりも念入りに瀬奈の口を愛撫する。瀬奈はたまらずに涙を流しながら必死に口を閉じようとするが、グールーの太いナマコのようなおぞましい舌は、白魚の様な瀬奈の舌を逃さずに絡みついて締め上げた。瀬奈の舌は喉から抜かれるのではと思うほど強く吸引され、再び大量の唾液を流し込まれる。瀬奈はおぞましさに背中を泡立たせながら耐え、グールーが口を離すと同時にシーツの上に唾液を吐き出した。
「なんだその態度は……? まだ私を受け入れんと言うのか!?」
 さっきまでの余裕のあるグールーの顔つきが一気に険しくなり、仰向けになっている瀬奈の土手っ腹に力任せに拳を突き込んだ。
「ゔッぶぇぇ!? ごぶッ! ごぇッ! ゔッ?! ゔぇッ!!」
「誰に! 抱いて! もらえると! 思っとるんだ! えぇ?! クソが! クソアマが! 調子に! 乗るな! 私を! 拒否! するな!」
「がぶッ!? ぐぇッ! ゔぐッ! ごぇッ!」
 大きなベッドがギシギシと音を立てて軋み、ヒステリックに叫ぶグールーの声と瀬奈の悲鳴を後押しした。グールーは散々殴り終えると、肩で息をしながら瀬奈の上半身を起こしてベッドの上に座らせる。瀬奈は後ろ手に手錠を嵌められ、ダメージで膝が笑って立ち上がることができず、涙と唾液で濡れた顔で憎々しげにグールーを睨みつけことしかできない。
「ほぉ……まだそんな顔ができるのか。コイツを見ても同じ態度でいられるか見ものだな……」
 グールーがゆっくりと白いローブを脱ぐと、女性向けの黒いレースの下着が瀬奈の目の前に現れた。腹の肉が乗った小さい面積の下着は生地が破れそうなほど持ち上がり、かろうじて亀頭を隠しているだけで男性器の大部分が露出している。あまりのおぞましさに瀬奈の身体が強張った。グールーはもったいぶるように腰紐に手をかけると、ジリジリと瀬奈の顔の前で下着を下ろした。ある瞬間、ぶるんと弾かれるように勃起しきった男根が跳ね上がり、グールーの突き出た腹にバチンと音を立てて当たった。
「ひ、ひぃッ?!」と、瀬奈が悲鳴をあげた。傘がせり出した赤黒い男根はまるで凶悪な毒キノコのように見えた。瀬奈の想像よりも何割も増して太く長いそれは、強さを誇るように天井を向いて瀬奈を見下ろしている。
「ふふふふ……気に入ったかね?」と言いながら、グールーは自分の男根を瀬奈に見せつけるようにしごきあげた。男根はますますボリュームを増し、発する熱が瀬奈の顔にも届いている。「さて、この極太で君のをほじくりまくって、子宮の中まで精液漬けにしてやろう。まずは挨拶がわりにコイツをしゃぶってもらおう。フェラチオくらい知っているだろう? これから自分を失神するまで気持ちよくしてくれる魔羅だ。愛情を持って奉仕するんだぞ」
「で……できるわけないでしょ……こ、こんなの、無理……」と、瀬奈はカチカチと歯を鳴らしながら震える声で答えた。
「何が無理だ。最初は私が手伝ってやろう」
 グールーは瀬奈の頭を掴むと、強引に亀頭を瀬奈の唇に押し当てた。「いやぁッ!」と言いながら瀬奈が必死に顔を逸らす。
「大人しくせんか!」
「いやッ! やだぁッ!」
 グールーが右手を振り上げ、瀬奈の頬を張る。パァンと言う破裂音が響き、瀬奈は顔を横に向けたまま、虚を突かれたように動きが止まった。その隙にグールーは、半開きになった瀬奈の口に、強引に極限まで勃起した男根を突っ込んだ。
「ぶぐッ?! んむぅッ!? んぐうぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「歯を立てるな! また殴られたいのか?!」
 まるで肉の巻かれた熱した鉄棒を口の中にねじ込まれた感覚だった。瀬奈は今まで味わったことのない強烈な嫌悪感に全身に鳥肌が立ち、限界まで目を見開きながら首を振る。その度に瀬奈の歯が男根を擦り、グールーの眉が吊り上がった。
「んぶぅぅぅッ?! んぶッ! おぐぇぇッ!」
「えぇぃ、歯を立てるなと言っているだろうが!」
 グールーは瀬奈の口から男根を引き抜くと、激しくむせる瀬奈の髪を掴んで力任せに横顔を張った。両手を後ろ手に拘束されている瀬奈は当然ガードすることは出来ず、頬を貼られた衝撃で頭からベッドに倒れこんだ。グールーはすぐさま瀬奈の髪の毛を掴み、口に無理やり男根をねじ込むと、瀬奈の喉を突き破らん勢いで腰を打ち付けた。瀬奈が呼吸困難で白目を剥き始めると、一方的に男根を引き抜き、力任せに数発頬を張る。そしてまだ男根をねじ込む。何回も。何回も。
「むぐぅッ!? ごっ……ゔぐッ……ごえぇぇぇッ! ぷはぁッ! あ……ぎゃんッ! 痛ッ! やぶッ! やだッ! あ……んぐぅッ!?」
「誰に逆らっとるんだ?! ガキを孕むだけの穴袋の分際でフェラチオもまともに出来んとは、今ここで歯を全部ブチ抜いてやってもいいんだぞ!?」
「おえぇぇッ!? ぎゃあッ! あがッ!?」
 首がもげる程の勢いで何発も頬を張られ、瀬奈が勢いよくベッドに倒れた。グールーも肩で息をしながら、瀬奈の髪を掴んで引き起こした。瀬奈は涙と汗で顔をグシャグシャにしながらも、気丈な顔でグールーを睨む。
「まだ自分の立場がわからんのか? 私は拒まれるのが一番嫌いなんだ。おとなしく私を愛したほうが身のためだぞ?」
 瀬奈はグールーの男根に唾を吐いた。
 グールーの顔色が一気に変わり、張り手のように瀬奈の顔を正面から平手で打った。瀬奈はそのまま仰向けに倒れこむ。グールーは自ら腕立て伏せの体勢になると、脳震盪を起こしている瀬奈の口に杭を打ち込むように男根を突き入れた。何をされるか察した瀬奈は瞬時に顔色が真っ青になる。
「まったく、素直になっておればいいものを……。自分がただのチンポを擦るだけの穴だということ教えやろう」
 グールーが体重をかけて腰を瀬奈の顔に打ち付けると、ゴリュッ……という音とともに男根が喉奥まで一気に突き込まれた。「ゔぶぇッ!?」と、瀬奈の喉から蛙が潰れたような汚い音が漏れる。そのままズルズルと男根が引き抜かれると、再び杭を打ち込まれるように喉が犯された。男根の根元と隠毛が瀬奈の鼻に触れるたび、瀬奈の喉がボコボコと膨らむ。グールーは何の躊躇いもなく、通常の性交を行うように瀬奈の口にピストンを繰り返した。
「ぎゅぶぇッ!? えごろおぉぉぉぉぉっ?! ぼぎゅぇッ! ごげぶッ!!」
「吐くなよぉ……そのまま喉を締めてチンポを擦りあげろ」と、言いながらグールーが腰の動きを早めた。轢かれた猫のような悲鳴を上げる瀬奈のことなど何もかまわず、瀬奈の口と喉をモノのように扱って快楽を貪る。
「ぶぇぼごぇええ?! うぐげぁぁ!! ごろぇげぉおぐぇ!! ぎょぐゔぇぇぇえぇ?!!」
「おっほ! 痙攣してるのか? 良い締め付け具合だな……その調子だぞ」
 グールーは瀬奈の味わっている地獄のような苦痛など全く意に介さず、自らの快感だけを優先して瀬奈の喉壁を擦り上げていく。瀬奈は猛烈な吐き気と呼吸困難を同時に味わい、普段の彼女を知っている人間でも瀬奈だと判別がつかないほどの汚い声を漏らしながら、白目を剥いて全身を痙攣させた。そして、皮肉にもその痙攣は絶妙な快感をグールーに与えることになった。グールーの足がピンと伸びたまま浮き、全体重が瀬奈の顔にかかる。
「お……おぉ……いいぞ……おほッ! 出すぞ……精子出すぞ……一滴残らずありがたく飲むんだ……おほぉッ……おぉッ!」
「ごぶげっ……! ぐむぐぶぇッ……! ごッ……ぎょぼッ!? ごぶえぇぇぇぇ!!」
「おぉ……出る出る……止まらん……まだ出る……」
 グールーは瀬奈の喉の一番奥まで男根を突き込むと、まるで蛇口を捻ったかのように精液を一気に放出した。
 失神寸前だった瀬奈は喉奥という危険領域で大量の粘液をぶちまけられ、不幸にも瀬奈の脳は死ぬまいと身体中に覚醒を命じた。意識は一気に現実に引き戻され、瀬奈はクリアな状態で自分の喉奥で男根が脈打ちながら大量の生臭い粘液を放出している感覚を味わった。凄まじい嫌悪感に、瀬奈は今まで感じたことのない猛烈な嘔吐感に支配される。
「う……ゔぶ……ぶぎゅッ!? ぶべぇろろろろろろろろ……! おうげぇ……! げぼッ……!」
 グールーの男根が逆流してきた精液に押し返され、瀬奈の口から抜ける。瀬奈は痙攣して身悶えながら、白目を剥いて大量の精液を黒いシーツの上に吐き出した。グールーは嘔吐している瀬奈を蹴り飛ばし、瀬奈は悲鳴をあげながらベッドの上を転がった。
 瀬奈は仰向けに身体を開いた状態でひゅうひゅうと喉を鳴らして喘いでいる。視線は定まらず、身体は弛緩しきって小刻みに震えていた。グールーは瀬奈の緩みきった腹部を、体重をかけた足全体で容赦無く踏みつける。
「ぶッぎゅえッ!? うぶぇろろろろろ……」
「一滴残らず飲めと言っただろうが! 私の高貴な精液を汚い胃液まみれで吐き出しおって! そんなに吐きたいのなら好きなだけ吐かせてやる!」
 ごぢゅ、ごぢゅ、ごぢゅ……とグールーは気が触れたように瀬奈の腹を踏みつけた。その度に瀬奈の腹は痛々しく潰れ、ベットに沈没する様に身体がくの字に折れ曲がる。
「ぼぎょッ?! ごぶぇッ! べぐぉッ!」
 踏まれるたびに瀬奈の口から精液が噴水の様に吹き上がり、黒いシーツにシミを作った。
 部屋の温度と湿度が上がったため、自動調整された空調はフル稼働している。グールーは肩で息をしながらベッドから降り、バーカウンターから瓶に入った水を持って再びベッドに上がった。仁王立ちであおるように自分が水を飲み、そのまま口に含んだ水を瀬奈の口に押し込む。敵に口移しで水を飲まされるという屈辱は本来の瀬奈なら意地でも回避するはずだが、朦朧とする意識の中で噎(む)せながらも押し込まれた水をなんとか飲み込んだ。グールーはゴミの様に瓶をベッドの外に放った。